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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
章間7
163/644

矛盾の化物・その心

 珍しく今村くん視点で行ってみたいと思います。

「…何かイラッと来たからその元凶に一撃くれてやったが…何だったんだろうな?」


 俺はゲネシス・ムンドゥスに帰っていた。それで大半の力を使い果たしてテンションももう残り少なくなって来ていたが、やることを済ませておく必要がある。


「…まずは、タナトスの所か…」


 口封じだ。




















「おっけぃ?」

「勿論黙っておきますよね。タナトス様?」

「…いや、でもなぁ…」

「おい寧々。こいつ正妻である寧々を蔑ろにしてウチの姉貴のポイント稼ぎたいみたいだぞ?」

「タ・ナ・ト・ス・さ・ま…?」

「いや、そんな訳じゃなくて…」

「え…もしかして…アーラムの方?少年愛至上主義になってたのか…?オイ。早いところ性癖を寧々が…」

「はいっ!」

「ちょ…待って!わかりました!黙ります!死んでも大将が帰って来たの黙っておきます!」


 タナトスは快く説得に応じてくれた。次に行こう。











「いいか?」

「…そのアリス様と言う方にどれほどの脅威があるのか分かりませんが…」

「お願いします!勘弁してください!これ以上攻められたらマジで理性がもたないんスよ!」

「じゃ、お前のアーラムにも黙ってる?」

「勿論ですって!」

「フム…何か面白くないけど…まぁいいか。」


 俺が去ろうとするとハーレムの中で一番くらいが高い何か梨がついた(気がする)名前の女が俺を止めて来た。


「…そう簡単に逃がすと思いますか?」

「そうですよぅ?あなたがどれだけ強いか知りませんがぁ…」

「そぉれ『ヲチ水』!」


 俺は若返りの水をばらまいてそいつらをポイして立ち去った。勿論中身は「ヲチ水」じゃない。精力剤だ。頑張れ!イグニス!


「さて、次々。」










「…むぅ。正直、お兄様と秤にかけても困るんですよねぇ…アレだけ心配なされているお二方を騙すというのは…」

「あっそう。じゃあ…」

「いえいえ!全く!これっぽっちもあなた様に逆らうつもりはございませんけど!」


 フム。何でそこまで怯えてんのか知らんがまぁいいや。


 …それにあいつ等のは心配じゃなくて罪の意識から来る物だしなぁ。何か上から目線で保護してやる感がウザい。

 俺も大概色んな奴を救ってるが…基本助けるのは自分で助かる意思がある奴で、俺しかその場に於いて助けることが出来る奴がいない場合だけだし。


 一回善意で助けたら「何故天命を邪魔した!?」ってその町全体を敵に回した世界があったな。そこん中にぶち込んでやったらいいかな?…まぁ、今の俺じゃ異世界に行くだけの力も残ってないから無理だけど。


「っとお?」


 締めすぎていつの間にか落ちてたみたいだ。ん~実際の力関係じゃ俺の攻撃なんざ全く効かないはずなんだけどねぇ…もしかして鈍ってんじゃねこいつら。


「仕方ないから添い寝でもしてやれブラコン。」

「…ブラコンじゃないんですけど…」


 戯言を聞き流して俺はこの場を去ることにする。…まぁ実際の所こいつは兄のアーラムとは仲悪いし、姉貴にはアプローチかけたいはずだから危険度はなかったんだがね。


 実際は血のつながりが無くて、実の兄妹ではないエレボスが義兄のアーラムの点数稼ぎに走らないように釘打ちに来ただけだ。締めた意味は特にない。何となく虐めたくなっただけだ。



















 あ~何か痛めつけたいなぁ…アレだな。理性が押され気味。「八大罪はちだいざい」とか「殺神皇帝さつじんこうてい」とか、色々発現しそうな気分。


 そんなことを思いながらトーイの所から出て街中を歩いていると…ようやく気付いたことがある。


「車が…魔力で動いてね…?いや、水素燃料も入ってるけど…ってアレ?技術発展ってそこまで行ってたか…?」


 正直俺はかなりの弱視だから周りの風景なんざほとんど気にしていなかったから気付くのに遅れた。

 因みに、もう少し若かったころは心眼を鍛えるとか言って目を閉じて歩いていて母親に怒られていたくらいだ。

 …まぁ、今日の今となっては唯の他人だが…


「ってかそういう事か。」


 俺は一人で納得する。


 俺はこの世界に帰って来てすぐに自宅に帰った。で、思いっきり怯えられて妹に至っては俺の存在を認識して吐いた。

 その瞬間俺は「あ、やべぇかな?何か知らんけど何かが蝕んでるし…仕方ない。『復讐法ハンムラビ』契約の時だ」

 って言って、両親と俺の家族から俺と言う存在の記憶を全ていただいておいた。


 調べてもその場では何もわからなかったから何が蝕んだのかね?と思っていたが、あれは俺の「魔力」が見えてたんだな。

 それなら仕方ない。自宅だったし若干気が緩んでたからな。


 その後、住民票やら戸籍やら何やらかんやらの改竄を終えて、親戚一同から記憶を抜いて俺はちょうどいいからと言って存在の隠蔽を開始していたのだ。


「うん。『復讐法ハンムラビ』便利だったな。俺ともう関係がない人限定で自動で記憶吸ってたし…」


 この世界は基本緩い。だから、身分証系統もかなり適当。だから書類が無くて天涯孤独でも大丈夫。

 最悪、自分の世界に籠ればいい。


「…ま、まだいろいろ責任をとることが残ってんだがな~」


 俺はまだ祓とかサーベルライガー、それに子供奴隷たち…そう言う奴等に対する独力で生きていけるようになるまで教育をする義務がある。

 幸いと言っていいか悪いか、アーラムとアリスは子供たちと面識はない。(と言うか吸ったから)大丈夫だろう。

 祓は…まぁ、一時的に目晦ましがてら相馬がいる世界に行ってもらうか。


 …それでくっ付いてもらえばいいんだがなぁ…あいつ精神年齢お子様というか…精神が不安定だから支えていける奴に側に居てもらえれば「スレイバーアンデッド」の権利の譲渡もできるんだが…あいつはいかんせん美人なのに異性に対する壁が無いからなぁ…下手なのに迂闊に渡すとそいつの理性ぶっ壊れそうだし…


 溜息が出る。事実として、あの二人の相性自体はそこまで悪いわけじゃない。むしろ良い所まで行っている。相馬の方も祓にぞっこんで前の駄目だった相馬とはレベルが違うところまで来ているし、後は本当に祓の問題だ。


「…何か切っ掛けがあれば…と言うより…あいつがまず外の世界を見れば…」


 祓は圧倒的に外を知らない。ずっと貴族の館かなんかに籠められていた上、出て来たらずっと俺の世話をしている。

 それじゃ駄目なんだ。


「…あいつ等と違って俺には寿命があるしな。」


 ふと遠い目になった。俺が死ねるのはいつのことか分からないが、俺には目標がある。長い自分の生きる意味を探した最後に決めた目標が。

 それを達成する為に生きていると言ってもいい。そして、それを達成したと同時に俺は死ぬ。


「はぁ…実際、別世界に行ってしまえば楽なんだが…」


 そうすればこの世界から俺と言う概念は消え、世界の理が勝手に補完と保全をして代替品が送られて何とかなるだろう。…だが、それは逃げだ。それに、仮に理から完全に外れていれば行き場を無くして消滅する。


「全く…俺は矛盾ばっかりなんだよなぁ…殺したい。死にたい。クスクス…あぁまたか。」


 抑えが効かなくなってくる自身の感情。だが、俺はそれを決して否定することはない。どれも俺なのだから。


「…最悪全て捨てて逃げてもいいって辺りが俺を堕落させようとするんだよねぇ…まぁ…やったことは自分で何とかするけど。…それにしても、欺き過ぎたかな?本心がどこに行ったか分かりゃしねぇ…」


 まぁ、そんなんだから俺は俺が嫌いで大好きで大っ嫌いなんだ。何でも出来て何にもできない。そして、矛盾を死ぬほど抱えている。


「フム。少し色々思い出し過ぎたな…」


 ふと我に返った。一応これが自分という事は分かっている。


「気分転換と回復を兼ねて呪いと記憶類を祓に預けて異世界に行くか…祓は死なないために持って行かせるけど…呪いは近くにあるだけで気分が悪くなるからまぁ…多少目覚めてくれるといいな…」


 この後、祓は長いこと分かれていたのにまた一緒に居られないのか。ともの凄く悲しんだが、今村の呪いを預けると聞いてそれだけ信じてもらっているなら…と納得して引き下がった。


 勿論、信頼を得ているという事だけ感じて嫌うという結果には全くならなかった。




 ここまでありがとうございます!

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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