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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第七章~地球編~
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17.狂い人壊れ人化物

「ん~ちゅっ」


 今村の先制攻撃はあっさりと躱され、対するアリスは今村の顔に思いっきりキスをした。今村はげんなりする。


「…マジで様子見から入るんじゃなかった…最悪…」

「…ちょっと待って…今の…ひとくんのじゃない…?」

「あぁ。アーラムの。」


 アリスは驚愕して固まった。そして信じられないとばかりに今村を見る。


「そんなぁ…私はひとくん専用なのに…」

「行き過ぎた親愛の念は引くぞ。マジで。ってか現在進行形で引いてる。別に弟として見るなとか言う気はないが、弟として見るならそれ相応の対応しろ。」


 そこで口を光らせて殺菌消毒、ついでに作り替えていたアリスがなんか恥ずかしそうに小声で口走った。


「…別に…ずっと前からひとくんのこと大好きだったもん…でも…イヴさんが…」

「アレに習うのはマジでやめろ。」


 殺気がこの場を覆い尽くす。序でに声が割れていた。今村は微妙な顔をしてアリスを見る。


「…俺は何か聞こえなかったが…俺の聴覚を一時的に取ったアーラムがお怒りだ。何かイヴについて怒ってるが…そこまで怒らなくても俺は死のうがどうでもいいんだけどねぇ…形あるものはいずれ滅びるってのは決まり事だし…」

「…絶対それだけは許さないから…絶対。絶対だよ?ひとくんは滅びなんて受け入れちゃ駄目。」

「はっ!この世に絶対というものなんざねぇよ!」


(大体、すでに呪いの代償として俺は一定条件を満たせば消滅できる・・・ようにしてるしなぁ…)


 その心の流れがアーラムに伝わった途端、今村の「御導転輪王」が解除された。


「…おや?」

ぇ。ぃを縛り付けるよ。僕が知らない情報が入って来た。…兄ぃは消える気だ。」

「…ことがことね…仕方ないわ…」

「オイオイ何マジモードになってんだ?馬鹿か?」


 今までの激しい中にも何か弛んだ所のあった空気が一転。下級神であっても息をするのが苦しいと思えるピリピリした空気に変わった。

 それに対して今村だけが納得いかないようにしていたが、合成状態で漏らしたのが不味かったな~と舌打ちしたい気分になる。


 思っている以上に状態が思わしくないらしい。死にかけてからというものの判断も行動も上手くいかなくなっている。


「あーあ…『死にて謳いて呪いて笑え』『死よ在れ』!『王よ在れ』!この二人でいいか…」

「「御前に。」」


 突如現れるアストーとアリア。その二人がアリスとアーラムを見て露骨に顔を顰める。


「…あら。役立たずのお二方じゃないですか?何してるんです?」

「…あぁ。何でオヤジの前におめおめと顔を出せるんだろうな?」


 アリアとアストーの毛嫌いする様子がありありと見える言葉に対する二人は顔を逸らすことしかできなかった。


「…それで?『魔神大帝』様。どうなされたのですか?この二人を八つ裂きにしてよいなら私たちはいつにも増して喜んでそれを行うのですが…ぁっ!」


 突然の衝撃にアリアが美しい声に苦痛を滲ませてのけ反る。攻撃を加えたのはアリスのようだ。

 衝撃を殺し終えたアリアが美しい顔に激情を滲みだしてアリスを睨みつけながら顔を今村に向けて懇願するように訊いた。


「…お父様…本気で…殺したいんですが…ダメ…ですか…?」

「殺したら駄目だな。」


 かなり不本意であろう彼女はそれでも顔から全ての表情を落とすことで今村の言葉に否を唱えなかった。


「まぁ…後に残らない怪我ならいいってことだけどな。」

「お父様っ!愛してますっ!」


 喜んで今村に抱きつくアリア。今村はアストーにも同様に許可を出す視線を向け、両者が敵意を最大に出してアリスとアーラムの方に向かう。


「さぁ…『魔神大帝』様のお許しが出た所で…」

「3兆年前の怒りも込めて…ぶちのめさせてもらおうか…」

「…やってみるがいいわ。」

「…いい気になってんじゃねぇ…甘く見るなよ?」


 いい感じにヒートアップしている4者の後ろで今村はライアーの方に移動した。


「『自聴他黙→リンク』オッケィ。さぁ始めようか。」

「…もしかして…」

「そのもしかしてが当たる可能性が高いな。『我、魔を統べる者の神たる存在の覇者として命じる。【ディシーヴァーの生き残り】よ、我が命によって真価を告げよ。』」

「うわ~…本気出すとかキャラじゃない…」

「うっせぇ。『ここに解放の儀を持って我が身にその力を宿さん。』【偽王光臨】」


 4者が激闘を繰り広げる中、今村とライアーは人知れずモードを解放していた。


「…ついでにっと、【虚飾王】、【偽王】臨時合成で…おぉ、今回は大当たりだな【欺く嘲笑いし神】…」


 ふと、今村は地球のとある小説のことを思い出し、自分の顔と体を映してみた。今村の姿は黒ローブを纏った美青年となっている。


「…これは何でか知らんが今回は前世の顔だな…自分で言うのもアレだが知的で細身の筋肉質の美男子…やっぱ【黒い人】じゃね?ナイアルラトホテップっぽい。」


 そこで今村は自分の今の状態の名前を変えた。


「【欺く嘲笑いし神ナイアルラトホテップ】!じゃあ…餓狼も今回は特別仕様で…『死を以て貴しとなし我が衣手を血に濡らせ!』【闇に吠えし者】!」


 ノリと勢いで今村は元々ある技から新しい技を創ってみた。効果は抜群で、全員地面に縫い付けた。


「で…ん~…やっぱちょっと違うな。誰かに仕えるとか本性にかなり近い状態でやるのには抵抗がある。従者は無理だ。都仕えなんて肩が凝る。」


 今村はへらへら笑いながら早速ナイアルラトホテップを辞めた。さっきのに特に意味はない。この状態の今村は巫山戯ける性格が突出して遊んで生きている。


「やっぱ名前はルーデンスだな。うん。狂い人、壊れ人、化物ってねアハ八八ハハ八ハハハ八ハ八ハ八!ァハハハ八ハハ八ハ…あぁ…面白くねぇ…皆死ねばいいのに…フフフ…あ、行ってらっしゃい。」


 とりあえず今村は呼びつけたアリアとアストーを適当な所に飛ばした。そして地面にうつ伏せ状態のアリスとアーラムを歪んだ笑みで見る。


「元気?俺ぁ死にかけだから超元気!アハハァ…はぁ…あぁやってられんね。全く以て…ふぅ。という事で今から意味のないことをして遊びましょ♪」

「ひと…」

「発言権は与えてない。」


 急に真顔でそう言って今村はアリスを黙らせた。


「質問!俺が消滅する条件は何でしょう?ヒント俺が生きる意味!答え!死ぬほど面白いことに合って死ぬこと!ア八ハハ八八ハハ!不正解だったので!今の部分に関する記憶を消しましょう!」


 今村は…いや、14番目の災厄の申し子はそう言って両者の頭に手を添えた。すると二人の目から光が一瞬消える。


「終わり。次、俺が生まれたのは何故でしょう?答え、俺が正気じゃ死んでたから。これは難しかったかな?最後の質問行ってみよう!…あ、面倒だし止めた。アハ?終わり。終わり。終わり。『終わりより巡る輪廻の歯車、廻れ廻れ』はいは~い。これにて閉演また今度!『しん行方不知ゆくえしらず』!主演は【イカレた道化師マッドクラウン】でした!それじゃこの幕の間の記憶を失ってね♪」


 陽気な声でそう告げると急に空間を底冷えする冷たい目で見て凍りつくような厳しい口調で言った。


「さっきからそこで見てるお前もな。」


 そして壊れた化物の織り成した舞台は終焉を迎えた。




 ここまでありがとうございます!



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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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