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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第七章~地球編~
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9.六日目前半、深夜徘徊を行う。

「…成程…もうみゅうちゃんに回復するの為に動いてもらってるんなら…納得はするけど…」


 アーラムが痴態を晒した後、正常になって男に戻り今村の話を訊くことになった。

 その話を聞いてかなり不承不承ながらアーラムは今村の行動を認めた。…因みに疲れ切ったアーラムが昨日寝てしまったので今日の朝から説明して現在時刻はすでに夕方だ。


「…全く…ようやく次の行動に移れるなぁ…」

「…いきなり反応が消失したんだからぃが悪い…」


 不貞腐れるアーラム。隣には恋華がべったりでアーラムにくっついている。朝から全で月曜で学校があるというのに行くのを渋り、一緒のベッドに入って看護すると言い張っていたりしていたのだ。

 彼女の言い分としては自身がやっていた18禁百合ゲーの影響の所為だから私が監護する義務があるという事。

 だが、そんなことは知ったこっちゃないと今村は恋華を鈴音と一緒に家から出した。

 そしてその反動がこれだ。離れない。アーラムもかなり嫌がっていたが今村の口添えもあり途中で諦めた。


「…で?兄ぃは何するの?」

「深夜徘徊。少し貿易についてやりたいことがあるからな。…干してやったヤクザの中で復興気味な所を飲み込んでるから、後は少し人材発掘。」

「…え、そんな事してたんですか…?」


 今村はこの世界に来てから初日以外基本寝ていない。やりたいことが多かったため、そんな場合じゃないという気分だったのだ。


「ん。力づくの所は放置してるけどいいコネ持ってた所とか、新しいビジネス始めた所はリサイクル。借金してまで売る薬の量増やしたりしてる所は…まぁ今俺が統合してる会社…YKZに駆逐されるだろ。」


 ネーミングセンスが壊滅的で語呂も悪いが、売っている物は世界初のVRMMOの装置で資金も(奪ったものが)万全にある。

 また、最近息を吹き返してきた神々の加護まで加わっている(主に商業)為、気が付けばもの凄い会社となる事間違いなしの会社だ。


 実際、会社形態は今村が所有する個人企業なのだが、有名会社から合名企業にしないか?という申し出や、ウチから融資を受けないか?とか株式会社にしないか?ともの凄い数の申し出が来ている。


 実質の支配者である今村は全部拒否した。だが、これから今村はゲネシス・ムンドゥスに帰る。その後会社を潰さずにいさせるは目先の利益に囚われず、大企業の圧力に屈しない人物で、ここから更に革新的なことを生す人物を据える必要があると今村は思っている。


 その人材探しの為に深夜徘徊だ。…尤も、今から行うのは少しばかり違うことなのだが…


「まずは、次世代の子供たちを育てようプログラム。孤児院行こう。…あ、児童養護施設って言った方がいいのか?まぁ、どっちでもいいけどね。」

「…僕も行く。」

「じゃあ私も行きますね。」


 一行は児童養護施設に向かった。



















「…あれは一体何だったんですか…?」

「…まぁ、下手すれば洗脳だね。仕方ない。幼少期の教育はえてして催眠のようなものなんだよ。」

「でも、選択肢はあげてたし兄ぃは悪くない。」


 一行は何だかんだあって幾つかの児童養護施設を回り、資金がなく経営が苦しくなっていた所にお邪魔して、独立してYKZの傘下に入らないか?と申し出た。


 今村が選んだところはほとんどがこれに応じ、その中でも「アレ?これはちょっといけるんじゃね?」と判断した子供たちは養成機関に入れることになっている。

 今回は人道的な修行や訓練となっており、特に問題はない筈だ。


「児童虐待とか面倒なのがいっぱいあるからなぁこの国…ところで、これ行政法に区分されるのに何で家族法でやるんだろ。」

「…何言ってるんですか?」

「独り言。」


 こんな感じでアーラムの乗り物で移動していた今村たちだが、現在時刻は23時を回ったところ。場所は都内の眠らないとか言われている所だ。


「さぁて、人材発掘の旅に出ようか!アーラムはその格好だと補導されるから帰れ。朝倉姉は…何か…帰れ。」

「酷くないですか?危ないからとか言葉はありますよね?」

「いいからさっさと帰れ~」

「…んしょっと。」


 今村と恋華が言い争っている内にアーラムが少し今村より年上な感じの美少女に化けた。


「…何してんだ?」

「付いてく。これだったら周りから浮かないでしょ?」

「うっふぉぉぉぉ!」


 その姿に恋華がまた壊れた。今村は素早く沈めるとアーラムにこれを投げ渡した。


「持って帰れ。その後の事はその後決めよう。」

「…ここで待っててね。」


 アーラムは恋華を抱えて消えた。そして今村は夜の町に消えていく…


「言うこと聞くわけねぇじゃん。この俺が。」


 そして少し歩いたところで制服姿の少女に声をかけられて今村は立ち止まる。顔立ち…普通。特筆すべきこと…微妙に胸が大きい?という感じの少女だ。


「ねぇねぇ。今夜暇?私と遊ばない?」

「…遊びに依るな。」


 今村は少し考えて返事した。遊ぶとは今村の生きる糧。会社に関しては別に明日でも大丈夫だ。これが自分の知らない面白い遊びなら今村は大歓迎。用事は捨てる。


「お~乗り気だね!じゃ!ホ込みの3万でどうかな?」

「…何だ金目当ての花売りか。面白くない…」


 今村は財布から5万出して女に握らせた。


「はいじゃーね。」

「…え?ちょ…」


 そして去ろうとしたところで少女に捕まる。


「待ってよ。お金だけ貰ってはいじゃあね。って何か後味悪すぎるし…」

「…ん~…アレだな。何かアレ…『アナリシス』」

「え?そっちの方はまだ…前だけに…」


 何か勘違いをしている少女の言葉を遮って今村はその少女の解析結果をもの凄い喋り始めた。


「…城西高校2年B組鈴木晴乃。親しい友人が付けたあだ名はハルハル。得意科目は数学。苦手科目は国語。性格は社交的で人当たりもよいが、自己評価がかなり低い。将来の夢は保育士。また、家庭環境は劣悪。実父はすでに他界しており、母親の手で引き取られたが、最近母親が再婚。再婚相手の養父に肉体関係を迫られ母親にその旨を訴え出るも信じてもらえず家出。現在は友人の家を転々とするか、売春行為を行ったところに寝ている。尚、現在の心境は恐怖。ざっとこんな感じ?」


 今村は目を閉じた。


「な…何…?」

「世の中怖いこともあるってこと。…あ、そうそう。何か花を売るのはもうやだってなったらうちの事務所に身を寄せても良いぜ?」

「じ…むしょ…?」


 全く理解していない少女に今村は目を開いて言った。


「そうだ。じゃ、将来の夢を叶えてやるよ。児童養護施設が色々あってウチの所に合体してるからそこに住み込みで働きな。なぁに…学校が終わってから子供たちの相手をする簡単なお仕事だ。」

「え…え…」

「信じるか信じないかは君次第。さ、この世界の幸運の女神様は前髪しか生えてないらしいぜ?チャンスは今回のみ。さぁどうする?」


 今村は3分間待つつもりだ。この世界の何かの影響で。そして時間が…


「…やります。」

「…えー…いいよ。」


 来る前に言われたので何かもやっとして帰って来たばかりのアーラムに少女を押し付けてまた帰ってもらった。


「さて、人材探しの続きといこうか…」


 今村は夜の町に消えていった。





 ここまでありがとうございます!

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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