4.初日、本屋行って巫山戯る
150話です~まだまだ続きます~
結局その日はそのまま鈴音の家に泊まることになり、そこから翌日の朝10時まで就寝という事になった。
そして、
「来たぜ!ひゃっはー!」
「あ…もう少し声を落としてください…」
現在、今村は約束通り本屋に来ていた。因みに今村がまずやって来たのは「本を手放す所」だ。中古の本などを取り揃えている。
そこでとりあえず今村は周りの目を気にすることなく楽しんだ。構ってほしいみゅう(目立たないように現在黒髪。但し、超美幼女でなのでどちらにせよ目立っている)がじゃれついて周りから嫉妬の視線が刺さるように向いているのを完全に黙殺して貪るように小説から読んで行った。
「…ふぅ。」
「ど…どうでした?」
鈴音にとってもの凄いスピードで、今村にとって普通に本棚を制覇した時今村は清々しい顔をしていた。
「この店いくらかな?」
「…お気に召されたなら幸いですけど…この店はチェーン店なので…」
「…じゃ、本を買おう。こっからここまでいくらかな?」
あっさり切り替えた今村が示す範囲は一つのスペース丸ごとだった。鈴音は一応考え、提案を行う。
「…いくらですかね?…でも明らかにダブっている本があるので1冊ずつにしたらどうですか?」
「…どれくらいかなぁ?」
「い…今の手持ちは2万円ですから…その範囲でお願いしますね?」
思っていたより買うつもりの今村に鈴音は財布の中を確認してそう言ったが今村はきょとんとした顔を返す。
「え?人の金に手を付ける気はないぞ?俺が欲しい分だけ買う金が欲しいなって目標を立てようと思ってね。」
その返しは考えておらず、鈴音は何とか言いくるめようと思考を巡らせた。
「え…その…私…恩返しとそれに…その…アレです!頼りすぎていたので今回は少し返させてください!」
「え~俺は俺の都合で動いただけだから恩とか感じなくていいし、面倒だからこの程度の貸し借りは気にしなくていいよ。」
「あ…あなたにとってはそうかもしれませんが!私にとっては一生の恩…」
今村は興味なさそうに別ブースへ移動した。そこで「金銀プラチナなどアクセサリー買います!」という文字を見て速攻で金の指輪7セットと腕輪3セットを生成。 用意していた金塊が複雑な文様を施されていたりするもの凄い技術を込められた一級品の装飾具になった。
「これ売ったらどれくらい本買えるかなぁ…」
「身分証がないと売れません!後私の話を聞いてください。」
鈴音が大きな声を上げて今村を追って来たので今村は顔を顰めた。
「ここでは静かに。何か知らんけど人の気配を敏感に感じ取る人が多いみたいだしなにより読書の邪魔。」
「あ…はい。すみません。」
鈴音が来るときに今村にした注意を今村から受けて鈴音はすぐに謝る。
「…ふむ。身分証はないな…じゃあ売れないか…ん?あ、じゃあアイドル勇者。」
「鈴音です。この世界じゃ勇者じゃないですからもうそれは止めてください…恥ずかしいです。」
「…名字なんだっけ?」
「…姉と同じなので名前で呼んだ方が早いと思いますよ?」
「ん~…ま、いっか。鈴音。これと所持金の半分交換しない?」
今村が手渡したのはどう考えても1万円じゃ買えなさそうな金の指輪。流石に鈴音も引いた。
「これは…買えないですよ…」
「じゃあ差引金額はプレゼントでいいよ。」
その言葉で鈴音の目の色は変わった。指輪・プレゼント・同棲(一夜だけ)状態から導き出されるワードは鈴音の顔を真っ赤に染める。
「え…と、その…あ、っと…ご…5号の指輪…」
「ほい。…何かリクエストの宝石とかあればつけるけど?」
「え!…じゃ…じゃあ…その…だ…ダイアモンド…」
「…フム。そんなんでいいのか。」
今村はそう言って自身の頭をわしゃわしゃして手に付いた髪を少しとって鈴音を見た。
「悪いけど髪頂戴。」
「え…え…あ…はい…」
鈴音は今村に一部の髪を取られた。そして今村はそれを手の上で混ぜて手ごとローブの内ポケットらしきところに一度入れると手を出した。
するとそこには嫌味じゃない大きさだが、十分に大きいと言えるブリリアンカットが済まされたピンクダイアモンドが出来上がっていた。
「はいよ。」
「え…うわ…うぅ…」
何か感激する鈴音とそれを見て自分も!とみゅうが飛びついた。
「パパ!みゅうにも!みゅうにも!みゅう頑張ったよね!みゅうも!」
「…いいけど…」
指輪は装備品と思っている今村が彼女たちはこれから何と戦う気なのか訝しげに思っている間に少し脱線。
ダイアモンドの石言葉は「永遠の絆・純潔・不屈」など色々あるが婚約指輪でよく使われる物だ。壊れない愛を誓うという意味で。
ついでに言うならば今村がこっちの方がなんか女の子らしいだろという理由で無色透明ではなくしたピンクダイアモンドは地球ではまだ何故色が付いたのか分かっていない。
今村はこれを作るに当たって少しだが「創造の力」を使用していた。圧力やら高温やら化学やらで炭素を弄ってダイアモンドにするという方法を下地にこんな所で出来ないことを無理に押し通す力がこの世界の法則と喧嘩しないように使ったのだ。
結果…このダイアモンドは目視でも顕微鏡でも赤外・紫外線レーザーに電気伝達、分光法でも天然と出るようにされた。
鈴音は何となくテレビで髪からダイアが出来ることを見たことがあったのでこういうのも出来るんだろうな。で済ませているが実際色々イカレきっており、色んな所に喧嘩を売っている。
鑑定価格はおっそろしく精密で鮮やかな文様が施されておきながらしっかりとした形状を留めている金の土台を含めて時価1億円くらいだろうか?
話が逸れすぎたので戻す。
「みゅうは…今作った金の指輪じゃ入らんしミスリルにでもするかぁ…」
「パパとお揃いのがいい!」
「…俺が手に付けるのはちょっと特殊な武器か防具なんだが…」
こっちはこっちで色んなところを滅ぼしかねない危険物質が作りかけられているが、今村の付けている装備を作るならこの世界では無理だ。
「ぶ~…」
隣で色んな角度から指輪を眺めて愛おしそうにそっと指に嵌めた鈴音を見てみゅうがもの凄く拗ねる。
対する今村は1万円貰って中古本を買いあさった。
この日は2月11日の水曜日で平日だったので客は少なかったが、今村たちに注目が集まったのは言うまでもない。
「さぁて、お金が欲しいぞ~…悪いことしてる奴らから巻き上げるか~!」
「…うふふ…ウフフフ・・・・えへへ~」
「むぅ~…」
本屋を後にした一行はひょいひょい走ってヤクザのお家の奥の方にこっそり来ていた。
「…ごふっ!」
「はいは~い。麻薬っぽい匂いがするので失礼しま~す。多分クシャスルリャリアの葉っぱかな?まぁあの草は人間が食べると死ぬから違うか。これはただのラリる草だね~」
金庫番らしかった男が目の前に居たので速攻で沈めて金庫の前に立つ。因みに今村たちは念の為に仮面をつけている。狐の仮面だ。後、念には念を置いて現在の今村の声は鈴音の元マネージャーとなっている。
「はい、開け。」
こじ開けても良かったし、魔術を使っても良かったのだが余力はあんまりないので普通にピッキングして開けると中から札束を5個ほど抜いて行く。
「お~分厚い。どうせよろしくないお金だからもらっていこ~っと。」
「えへへ~」
「ていっ!」
そして消えた。途中あまりにも幸せですオーラがきつかった鈴音をみゅうが沈めたりしたが基本無事にお金の回収を済ませると今度は鈴音の家に向かって帰り始めた。
どうもありがとうございます!




