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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第七章~地球編~
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2.やってきました

「あ~…とりあえず失礼。」

「へ?きゃあぁっ!な…ななな…何をしてるんですか!?今私汗かいてて…」

「こっちの方だなぁ…」


 今村は鈴音の匂いからおおよその見当をつけて移動。そしてついに銀河系に入った。そして、太陽系に入り…


「あっ!多分これです!」


 ついに地球を発見。そして着陸用意が始まった。


「ゆっくり降りないとねぇ…あ、カメラに俺を映すな!魂が減る!」

「速いですし、何言ってるんですか!ってぎゃああぁぁぁぁぁぁっ!」


 今村的にゆっくり降りて、後は重力任せで太平洋に突っ込んだ。人工衛星に対する隠蔽工作はばっちりで誰にもばれることなく到着完了。

 同時に水柱が上がって水蒸気で辺りの視界が悪くなる。


「あっちの方だが…交代交代で引っ張って泳がね?いい加減疲れて来た。動けば疲れるし、エネルギーが減るって法則に捕まったみたいでなぁ…」

「…今まで何だったんですか…それにここがどこなのか分からないんですけど…」

「海。日本はあっち。」


 全然説明になっていない台詞を受けて鈴音は頑張って泳いだ。が、すぐに止まる。何回かそれを繰り返して今村が飽きた。


「はぁ。目を瞑って俺の首に手を回せ。」

「え…あ、はい。」


 そして今村は鈴音の太腿を持って立ち泳ぎで上体を水面から出すと激しく足を動かして完全に水面へと出た。そうすると鈴音がお姫様抱っこ状態になる。


「いっくぜぇぃっ!」

「ふぎゃぁぁあぁぁぁぁぁっ!」


 お馴染みの無茶な机上の空論。右足が沈む前に左足を出して左足が沈む前に右足を出すことで水面を走るという事をやり始めた今村。

 色んな力の兼ね合いを無視してしばらく進んでいると今村は鈴音の方を見ずに呟いた。


「ん~音の反射的にあと4キロくらいで陸っぽいのがあるはず…この状況を見られたらあんまりよろしくないかなぁ…ということで!よいさぁっ!」

「んにゃぁぁぁぁぁぁっ!」

「んにゅぅ~…うるさいぃ!」


 今村が空中に跳び上がってそのまま空中を猛スピードで駆け始めた。それによって驚き叫んだ鈴音をみゅうが殴って黙らせる。

 静かになったのでみゅうはもう一度眠り。鈴音は気絶したので実に穏やかな顔で空中を進んだ。

 その間今村は誰も聞いていないと知っておきながらも何故「魔素」がない世界でこんな感じに飛べているのか勝手に説明し続けた。

















 鈴音は気絶から復活すると何やら住宅路のような狭い場所にいることを確認して今村に視線を合わせた。


「…ここは…?」

「よく分からんけどよく分からん所。何となく懐かしい気がする。デジャヴって感じ?」


 今村の回答を聞いて結局何もわからないという事を知った鈴音だが、異世界にはなかった町並みを見て自身の携帯電話を慌てて開いた。

 だが、電源が入っておらず使えない。鈴音は異世界でやっていたように電撃系の魔術を行使して充電しようとするが、そこで気付く。


「…あ、魔法が使えないんだ…」

「…元から使えなかっただろ…で?何したいんだ?」


 結構長めの付き合いだった気がしている今村は一応「魔素」についての説明をしていたつもりだったのでその言葉に違和感を感じ、それとなく訂正をするように伝えたが、鈴音はそれに気付かなかったようで今村に携帯電話を渡して頼んだ。


「これにゆっくり小さく極僅かに壊さないようにここから雷魔法を入れてくれませんか?」

「…魔法入れたら壊れるだろ…」


 若干魔術と魔法に対する認識の差が出ていたがあんまりぐちぐちいう事でもないか。と今村は割り切って電気を入れた。

 そして、電源を入れると圏外の文字が消えて検索中となってアイコンが浮かんだ。


「っっっ~!圏外じゃない…!帰って来たんだ…」


 思わず薄く涙が滲む鈴音。だが、感動に浸っている時間も長くはなかった。電波が入るともの凄い数の着信とメッセージが出て来たのだ。


「あ…あの!今村さん!マネージャーの真似をしていただけませんか…?」

「わかった。あーうーあー…こんな感じだったよな?ヴァカみてぇな喋り方すれば良かったはず…」

「…まぁ…普段はそうですけど、仕事の時は真面目でしたから…」

「おっけ~」


 了承し、電話をかける。鈴音はまず姉から電話をかけた。


『鈴音!無事なの!?』

「うん…」


 久し振りに聞く姉の声に鈴音はまた涙ぐむ。そして姉には全ての事情を話した。


「あのね?信じて欲しい話なんだけど…異世界に行ってたの。」

『…は?』


 説明を聞いても全くもって訳が分からない姉。今村は埒が明かないし直接話した方が早いんじゃないかなぁ…?と思ったので鈴音の匂いが濃い所に「ワープホール」を繋げた。


「お~い。これで行こうや。」

「え…あ、はい!」

『え?今の声…』

「お姉ちゃん今からそっちに行くから!」


 二人は揃って「ワープホール」に入って行った。



















「ただい…うわっ!ちょ…今村さん!少しの間目を瞑っててください!」

「え?あ~…うん。」


 部屋の惨状を目の当たりにして鈴音は慌てて片付けを始めた。干し終わった下着がベッドの上に散乱しているのなど見られたくない。それに綺麗な部屋じゃないと恥ずかしい!

 そんなことで今までの事が吹き飛んだ鈴音は姉のことを忘れて部屋の片付けを急いで行う。すると何者かが足音を殺してこの部屋に忍び寄って来るのが今村の感覚にひっかかった。


(…まぁ、弱そうだしいいか。そんな事よりどんどん能力に制限がかかり始めて来たなぁ…まぁ無理矢理ぶち壊そうと思えばできんこともないけど…世界が混乱するだろうし…俺的にどうでもいい世界ならぶっ壊してもいいけどここはまぁ駄目だからなぁ…)


 でも捨て置くことにして別の思考に移って忍び寄って来る者を待っていると勢いよくドアが開かれ、そこに金属バッドを持った女の子がいた。

 その姿を見るや否や鈴音は鋭く言った。


「あ!お姉ちゃん!片付けるの手伝って!」

「…えっと…え?」


 呆然とする少女。


「早く!お願い!」

「鈴音…?この人は…?それと…何してるの?後どうやってここに…?え…え?」


 呆然に次いで目の前の光景を処理しようと努める彼女が掃除に動き出さないのを見て鈴音は本来の目的(姉を安心させること)のことを思い出した。

 それで片付けをする時間はないと考え直し、下の部屋に降りてから話をすることにする。


「あ、今村さん…その、私の手を握ってもらっていいですか?ここ2階で、今から降りるので…」

「ん?いや別に必要ないけど…階段位なら勘で行けるし。」


 ついでに自分の欲求も叶えようとする鈴音。今村は普通に断った。しかし、鈴音は引き下がらない。


「いやいや!その…そう!散らかってますので!手を引いた方が…」

「…エコーロケーション使えばいいし…大体万が一こけた時両手が開いてた方がいいし…聞いてないみたいだが…」


 ごちゃごちゃ言っている間に手を絡ませられた今村。別に積極的に好意を無下にするつもりもないのでまぁいいかと降りて行く。

 その姿を見て唖然とした鈴音の姉も我に返るとそれに付いて行った。




 ここまでありがとうございます!

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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