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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第六章~異世界その2~
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23.隣町へ

「と、言う事で出発。」


 今村がそう言ってパラディーソの町へ出ると領民が勝手にパレードを行って城下街がにぎわった。最近では流民がちらほら入って来て元奴隷の子供たちの下に従っている。


「…ん~まだ計画より早いけどまぁいいか。」


 流れて来た人々の戸籍を作って様々な書類に目を通したとき今村はそう呟いたという。

 因みに上に立っている子供たちだが今村の教育の成果が出たのかリーダーシップも取れるし実務も出来る子たちになっていたので今村も機は熟した。今こそ独立させようか!とか思っていたりする。


「何か良くないことを考えてませんか…?」

「全く。」


 良くないこととは思っていないので即否定した。訝しげな視線を向けられていたがしばらくすれば向こうから諦めてくれたのでこの話はそれ以上広がらなかった。


 今回の旅はアン、祓、ミーシャ、みゅう、メイ、それにアイドル勇者御一行(勇者含めて4人)となっている。男性3人、女性7人の大所帯だ。


「…で、次の目的地はどこ?場所によって話す内容変えるけど。」

「…ちょっと前にも言った気がするんですが…具体的に言えば昨日…」


 アイドル勇者が今村をジト目で見る。今村は目をそらさず言い返した。


「地名なんざ知らん!こっからどれくらいかかるか訊いてんだよ。」

「半日とちょっとですね。それから帝国領です。気を付けましょう。」

「王国の方が気を付けないといけなかったと思うけどね。」


 今村の皮肉気な笑みを浮かべてアンに言い返す。アンは肩を竦めるとそれきり何も言わなくなった。


「それはさておき、何から話すかねぇ…半日なら魔力の手に入れ方にしておくか…」


 そして道中の時間は過ぎていく。


 迫り来る魔物たち。緊張感の欠片もない今村たち。勇者のパーティだというのにパラディーソの美少女達しか守らない勇者の男組。毎回今村に守られることになる勇者女性組。


 今村が動く前に今村のお付きどもが動こうとするが勇者男組のサポートと言う名の邪魔が入り邪魔だ!と感じる今村お付きの女性陣。今までとの対応に露骨な差を感じる勇者女性陣。女性陣全体がイライラして来たところで小休憩となった。





「空気が悪いなぁ…」


 今村はそんな中楽しげにそう呟いた。自分は全く関係ない修羅場だ。とおもっているからだ。


(イケメン騎士どもはアレだな。馬鹿だな。もうちょっと上手くやればいいのに。強引過ぎな上に露骨に出てるから両者に不満が出てる。前パーティは言わずもがな待遇の違いに。新パーティは邪魔扱いで…)


 結果、今騎士たちはちょっと隔離されている。町まであと少しというのに疲れをねぎらったり、町が楽しみだという話題がなく本当に空気が悪い。


「今村さん。こんな感じですかね?」

「ん?ちょっと手ぇ貸して?」


 鈴音(アイドル勇者)の手を包むようにして今村は魔力を通す。一瞬顔を朱に染められたのに今村は気付かずに感覚を教え込むと何故か今村お付きメンバーに同じことを要求され。手を包みながら会話をすることになった。


「そう言えば次行く町はカトリーヌさんが居る所じゃ…?」


 アンが思い出したかのように今村に手を包まれながらそう言った。今村は初期に比べて大分魔力の通りがよくなったなぁと感慨深く思いながら魔力を通し終わる。

 そして全員が終わると出発ということになった。


(…俺だけ休憩してねぇ。)


 若干の不満があったがまぁ特に疲れているというわけでもないので大人しく付いて行った。



















「…っと。身分証明書をお願いします。」


 そうしていると予定より少し早く隣町に着いた。かなりの距離を歩いたが歩法と魔力による身体強化で大した疲れもなく全員が元気に城門前で入城を待つ。


 門兵たちがやたら美少女群を見ていたが、やがてそれが今村への嫉妬の視線に変わり、その後恐れの表情になるなど楽しいイベントがあったが、無事に皆が入ることが出来た。


「それではギルドで情報を買いましょう!」

「元気いいねぇ…俺ぁもう歳だから元気がいいのを見ると何か疲れる。」


 アイドル勇者が先頭をきり今村が精神面だけ疲れを見せてそれに続く。そしてアン、祓、ミーシャ、みゅう、メイが今村に引っ付いてその後から勇者イケメン陣(笑)が続き、その後ろに最後の一人が続いてた。

 この集団は言うまでもなくかなり目立っている。


「そろそろ視線を感じ過ぎてイライラしてきた。」

「皆殺し?」


 みゅうがこてんと首を傾げて物騒なことを言ってくる。メイもそれに続く気がありそうだ。因みにこの二人が現在密着度が一番高い。


「…それはしなくていいから少し離れろ動き辛い。」

「え~」

「ウザい。」


 実力行使に出てみるが「魔力障壁」と「龍壁」に阻まれており退かない。仕方がないので今村は「ワープホール」に二人をぶち込んだ。


「頭冷やしてろ。」


 パラディーソに強制送還して進むと程なくしてギルドに着いた。ギルドにはゴシックロリータの衣装に身を包んだおっさんが虚ろな目で受付をしていた。


「…えぇと…」


 あまりの衝撃にアイドル勇者は反応に困った。今村は精神的疲労を吹き飛ばして「自聴他黙」を使用して誰にも聞こえないように爆笑する。


「いらっしゃいませ…ご用件は何でしょうか…」

「えぇと…その…この町にいる今噂の防具職人の…情報を…」

「…あぁ、あの悪魔の情報を…フフフフフ…」

「悪魔…?」


 訝しげな噂を聞いてアイドル勇者の眉間に皺が寄る。その話を聞いてアンが冷静に、そしてその中に怒りを忍ばせて反論した。


「カトリーヌのどこが悪魔だっていうのか教えていただけませんか?」


 すると何が可笑しいのか少し頭皮が自己主張し気味のゴスロリおっさんが乾いた笑いを上げた。


「私にこんなものを着せる辺りですかね。」


 しばしの無言が訪れてアンはそっと目を逸らした。


「ギルド職員の受付はこの制服を着用するのを義務とする。これが彼女のこの町に居る条件でした。その所為で…こんなことに…あぁ、関係ないことまで言っていましたね。お見苦しい所をお見せしました。」


 途中感情が出て来ていたが、最後の方になると虚ろな感じに戻りすらすらと情報を暗唱してくれた。

 一行は何も見なかったことにしてギルドを去ると(少しだけ情報料をプラスして)カトリーヌの下へ向かった。


「あーウケた。」


 町の少し外れに来てカトリーヌの店がある所まで後少しというところで今村は「自聴他黙」を解いて歩き始める。


「いや~無駄に忙しくなったりしないように牽制の意味を込めて適当な奴に依頼されたら変な装備を送れって言っといたが…あれは威力強めだった。」


 元凶がいた。若干の呆れ顔を浮かべられる中カトリーヌの店に着くとアイドル勇者はノックした。

 中から軽い返事があり、中からこれまた中々の美少女が出て来る。


「どちら様で…?」

「久しぶりですカトリーヌ。」


 アンが一歩出て挨拶するとカトリーヌは顔を明るくさせた。


「アンお姉さま!お久し振りです!」

「はい。…ですがそれよりもご主人様に挨拶を…」


 アンがそう言って今村に目を向ける。…が、今村は薄い笑みを浮かべてカトリーヌに言った。


初めまして・・・・・

「…?初めまして・・・・・…ところでアンお姉さま。ご主人様はいらっしゃられないようですが…この人の後ろですか?」

「何を…?」


 今村と一緒に行動して来た少女たちの顔が疑問でいっぱいになる。そんな中カトリーヌも疑問のある顔で一行に訊く。


「ご主人様…みゅう様・・・・はどこに居るんですか?」


 と。




 



 ここまでありがとうございます!

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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