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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第六章~異世界その2~
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7.ギルドへ

「ま…まぁそのお蔭で会えたんだけど…」


 こんな理由はみゅうも納得いかなかったのだろうが死んだときの損傷が激しかったことは聞いていたし、ことわりから外れている今村が転生するには大幅に能力を減らさないといけなかったという事は分かっていたので結構苦しい決断だったのだろうと思う。


「まぁでもパパの転生しなかった本当の理由が面倒だったってのがありありと分かったのには怒りたいところなんだけど…あ、パパには記憶とか見たの内緒にしてね?」

「え、はい…」

「『神核合成』したばっかりらしいし…昔に比べれば防御が甘かったけど…やっぱり虚脱感が酷かったなぁ~前は死にかけたけど…」


 子供姿で昔を懐かしまれても反応に困る所なのだが、そこでふとみゅうが何かに気付いた。


「あ、流石にパパが怪しみ始めたみたい。じゃあハーレムについて簡単に説明したら解散しよ?」

「…はい。」

「みゅうが言うハーレムはね。一人一人なら簡単に逃げられるけどいっぱいで囲めばパパも逃げられないと思ってね!協力者ぼしゅー中なの。考えててね!」

「…あぁ?何の話だ?」


 終了と同時に今村の声が聞こえてきた。祓は黙って頷くだけで声には出さない。

その様子を今村は少し訝しんだがまぁいいことにして全員で洞窟に帰ることにする。


















 翌日


「…さぁて、ギルドに行きましょうか。」


 今村は張り切ってギルドに向かうことにした。基本ギルドはどの町にもあるので今村が向かうのはどこでもよかったが、ここは何となくギルド本拠地に向かうことにする。


「で!どこ?」

「…『スカイウォーク』付いて来てください。」


 ミーシャが何となく諦観と呆れを混合させた目で今村を見ると先導し始める。が、今村とみゅうからすれば遅すぎて動くのに飽きてきた。


「引っ張って~」

「あ、それ楽でいいな。」


 みゅうが尾を出してミーシャの腕に絡ませて引かれていくのを見て今村もローブで同じことをしてみる。


「あぁ!もう!」


 ミーシャは帝国でも面倒だったのにこっちでも…と思ったが、こちらに関しては悪い気分でもないか…と思い直して全員を連れて冒険者の町。アベントゥラに入った。


「さて、俺は迷子になる自信があるからミーシャに任せた!」

「任せてばっかりですね!別にいいですけど!」


 目視できないスピードで上空から城壁内に入るとしれっと町の中に降り立ち、一行は人通りの多い道に出た。

 すると人々の視線が絡まりつき始める。今村は自身に向けられる物以外は黙殺した。他の者も全部黙殺していく。


 しばらくすると、一行を中心として少し離れた所に円が出来上がり、それを伴ってギルドに向かう。


「ん?あっちみたいだな。」

「そだね。あの辺のが言ってたし…」


 今村とみゅうがのんびりしながら言っているが、祓とミーシャはそうはいかない。注目を集めているので少し落ち着かないのだ。


「あのー…今村さんはどうして平気で…」

「もっといっぱいの奴らの前に立ってたしな。」

「いっぱいいたもんね~みゅうも神子みこ様!って呼ばれて色々あったもん!」


 そんな感じのことを話しているとギルドに到着した。



「お…おおおおおぉおぉぉおきゃきゃか…おおおここfんごjgヴいfh…」

「まただ!次の鑑定士連れて来い!」

「これ以上を計れる方はギルドマスターしかいません!」

「起こせぇっ!今日は流石にサボりはさせれん!」


 ギルドは登録に際して能力に応じたクラスを与えるのでその為に能力を鑑定していたのだが…


「もっと抑えなきゃダメだったか…」

「ん~みゅうはまだかなぁ…」


 主にこの二人の所為で鑑定士たちが倒れていた。ミーシャはクラス最高位のSを今壊れた鑑定士から貰っているが、いたたまれなさが半端ない。


「ふぁあ…ダクソン…俺じゃないと計れないってのは誰…ってあぁこの二人さんかぁ…」

「フォルトナ!今日は働いて…」

「無理!これ俺の力の範疇を超してる。寝ていい?」


 他の味気ないカウンターとは違い、観葉植物のあるカウンターの奥から髭面の男が出て来るが、今村とみゅうを見てすぐに鑑定を諦めた。


「なっ!お前でも無理って言うんか!?」

「うん。こらあっちのあんちゃんの気配…首都で会った【護国龍】と相対した時より逃げたいって気分にするし。ってかあっちの女の子【護国龍】と同じ気配がする。」


 驚く今回、何か緑があるからあっちのカウンターにしようと今村たちの登録場所に決められたという不幸に巻き込まれたダクソンという男はフォルトナという髭面男の言葉を一笑に付す。


「それは流石にないだろ…あんな可愛い子が国が出来るより前に生まれたというあの龍なわけない…」


 可愛いって!とはしゃいで今村にじゃれつくみゅうを生暖かい目で見てダクソンはフォルトナの方を向き直して真剣な顔で続ける。


「それで…お前が鑑定できないってなるならこの人たちのランクはどうするんだよ?」

「また特例のSS出す?…あ、良いこと考えた!本人たちに訊いてみようぜ!おーい。」

「なっ!馬鹿てめぇ!」


 ダクソンの言葉も虚しく今村たちはフォルトナの方にやって来た。


「聞こえてた。ランクがないなら適当でいいよ。」

「みゅうはパパと同じならなんでもいいよ~」

「じゃ、Sってことでいいかい?」

「いいよ。」

「パパがいいなら~」

「じゃ、おっけ。ほれダクソン俺の華麗な仕事捌き見たか!」


 ダクソンが顔を真っ赤にして黙った後、大声を出した。


「Sって十分おかしいだろうがぁっ!軽く決めてんじゃねぇっ!一騎当千の人外をS扱いにするんだぞ!?冒険者成り立てって言ったら良くてD!普通はF!ギリギリ受け付けれる範囲でHだぞ!魔獣殺してないやつらが…」

「あ、ダクソンの話で思い出した。何か魔獣狩ってたらモノにもよるけど買うぞ?」

「聞けよ俺の話!」


 ダクソンがまた叫ぶが、今村は反応を楽しみながら話を進める。


「あ、キャナールアンフェールを虐殺したな。買い取る?」

「あの【害毒の災鳥】を!?」


 ダクソンが驚きの声を上げるが、フォルトナは談笑を続ける。


「へ~どこの部分があるんだ?」

「フォルトナぁっ!テメェ少しは驚けよ!」

「あ、焼き鳥にしたんだった。」


 今村のとんでも発言にダクソンが悲鳴のような声を上げ、震える声で尋ねた。


「はぁっ!?毒はぁっ!?」

「あっはっは!美味しいのかい?」

「だからてめぇフォルトナぁっ!」

「食う?【状態異常耐性】無いと死ぬけど。」

「遠慮しておこう。」


 因みにみゅうは先程じゃれついた際に今村から10本程焼き鳥(タレ)を渡されており、それが今話題に上がっているモノだと気付く者は今村一行しかいない。


「はぁ…とりあえず軽く説明しとくけど…Sランカーだからなぁ。指名依頼が来るかもしれないからそれは出来るだけ受けて欲しい。個人で依頼を取ってもらっても結構だが、出来ればギルドを通して貰うと嬉しい…細々としたのはAから外れてSで撤廃されてるから今のを守ればいい。」

「出来ればでいいのか?」

「君等みたいなのを無理に働かせると世界滅亡大戦争になりそうだからね!」


 フォルトナが実に良い笑顔で言ってくれたのでダクソンがその頭を殴りつけた。


「はっはっは…はぁ…で、君ら向けの依頼は今の所ないけど、どうする?」

「ここは薬草採取に行こう!」

「…えーと…」


 今村の実に歪んだいい笑顔にダクソンは思考がフリーズする。


「全員異存は!?」

「「「ないです!」」」


 ということで一行の初依頼は薬草採取になった。




 ここまでありがとうございました!


 やはり冒険者は薬草採取かゴブリン退治に始まるものですよね。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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