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幕間 騒がしき日々は、かけがえなき日常 その二・前編

 ――それは。

 暖かな春の陽気に包まれた学園での、ある昼の出来事。


「お姉ちゃん…………見つかる?」

 小さな女の子だった。

 四、五歳程の少女が、潤んだ瞳で半べそをかいている。

「大丈夫よ。私が、絶対に見つけてあげるからね」

 少女の頭上から優しい声が降りてきた。

 細くて白い指が、そっと頭を撫でる。

 手の主は、夜闇を梳いたような黒髪に、凛々しい美貌の少女。

 ウズメだった。

 彼女は、普段は使わない女らしい口調で幼い少女を慰めると、

「約束だから、お姉ちゃんを信じて?」

 と、そう言って、穏やかに微笑んでいた。


 ◇ ◇ ◇


「…………肝試し?」

 授業の合間の休み時間、〈三の風〉の教室である。

 ゴウタの発した単語に、フウガは怪訝な声を上げた。

「肝試しって……終わりかけてるとは言え、今は、まだ春だぞ。あれは普通、夏にやるもんじゃないのか?」

「駄目やなぁ。フウちゃん、駄目駄目や。そんな常識に囚われるなんて、全く持って凡人やで」

 わざとらしく大袈裟な仕草で肩を竦ませて、ゴウタが嘆息した。

 そして、がっと拳を握ると、天へ向けて突き上げる。

「やる気があれば春だろうが、秋だろうが、冬だろうが、一年中問題なしや! 舞台は、今は使われてない旧校舎! 時間は、もちろん夜! 嬉し恥ずかし肝試し! ポロリもあるかもね!」

「一体、何が嬉しくて恥ずかしいのよ?」

「さすがにポロリはないと思いますけど……」

 暇潰しに〈三の水〉の教室から顔を出していたレナとミヨも、さすがに胡散臭げに突っ込みを入れる。

 すると、ライがにっこり笑って、ゴウタの肩に手を乗せた。

「大丈夫。ポロリ担当は、ゴウタがやるから」

「俺!? ――ちゃうやん! ポロリは女の子の特権! 男の子の僕には無理です!」

「僕はゴウタを信じてるよ。ガンバ!」

「いらんわ、そんな信頼!」

 さっそく話が脱線を始めて、フウガは溜息を吐く。

 放っておけば、このまま際限なく話が逸れていくのは想像するまでもない。

 仕方なしに、手を振って投げやりに続きを促した。

「……どうでもいいから、まず、肝試しをやろうなんて言い出した理由を説明してくれ、ポロリ担当」

「フウちゃんまで!? せえへんよ! 俺はせえへんからな!」

「いいよ、別にやらなくて。どうせ誰も見たくないし。それより早く説明」

「そ、それも何だか凹むんやけど……」

 がっくりと肩を落とす。

 それでも、ゴウタは気を持ち直して、理由を口にした。

「ま、まあ、あれや。フウちゃんもようやく怪我から復帰したわけやし、そのお祝いと息抜きも兼ねてと思ってな」

 むう、と、フウガは眉根を寄せた。

「主旨はわかるけど、それが肝試しをする理由にはならないような気がするぞ」

「たぶん、あれでしょ」

 と、そこに再びライが口を挟む。

「最近、候補生の間で噂になってるからね。旧校舎に出る幽霊」

「幽霊、ですか?」

 初耳だったのか、ミヨが怪訝な声で訊いた。

「そう。変な呻き声を聞いたとか、夜な夜な何かの這いずる音がするとか。……ま、ありがちなやつだね。実際に幽霊自体を見た人は居ないらしいけど」

「いわゆる怪談話か」

 さほど興味もなさそうに、フウガは相槌を打った。

 そういえば、三年に上がってすぐくらいから、それらしい噂を何度か耳にした事はあった気がした。ただ、オロチに取り憑かれたり、ウズメに告白されたり、シラユリに命を狙われたりと、怒涛の如く問題が山積したので、そんな些細な事など、とっくの昔に忘れ去っていたのだ。

「なるほど。それで、復帰祝いとか息抜きとか適当に理由をつけて、幽霊の正体を確かめてやろうとか思ってるわけね」

 腕を組んだレナが、呆れ返った視線をゴウタへ送る。

 対して、ゴウタは慌てて顔の前で手を振った。

「ちゃ、ちゃうぞっ。いや、ちょっとはそんな気持ちもあるけど、俺は純粋にフウちゃんに元気になってもらおうと思って……でも、一応、謝っておこうと思うんや。うん、ごめんなさい」

「つまり、図星って事かい」

 何だかもう怒る気にもならなくて、ただフウガは半眼になる。その視線の先で、ゴウタは「あはははー」と誤魔化すように笑っていた。

「しかし、旧校舎ね……あそこかぁ……」

 不意に、レナが複雑そうな顔で呟いた。

 それに気づいたフウガが、声を掛ける。

「どうしたんだ、レナ?」

 口にされるのは、自然と苗字ではなく名前。

 今では、五人は全員、名前で呼び合っているのだ。

 それは、あのキジムとの戦いの後、この五人の間で、明確に変わった所でもあった。その変化も最初は、フウガ、レナ、ミヨの間だけだったが、そのうちゴウタやライも、それに倣うようになったのだ。

 きっとそれは、フウガが自身の過去を打ち明けた事をきっかけに、皆の間の目には見えない距離が、少しだけ近づいた証明なのだろう。

 しかし、未だにレナだけは、何故かフウガに名前を呼ばれる際には、落ち着かない様子を見せる事が多かった。

 今回も少しだけ間があってから、返事がある。

「え、ええ……。実は、あの旧校舎ね。ずっと以前から、取り壊しの予定があるの。この学園、無駄に敷地は広いから別に残していても問題はないんだけど――あそこは随分と古くなってるから、もしも崩れたときに危ないって」

「ああ、そういえば、取り壊すべきだとか教頭が言っていたのを聞いた事あるかな」

 ふと、ライが思い出したように掌を打つ。

「確かに一番、それを言ってるのはタワラ教頭なんだけど……ただ、おばあちゃんがね」

「レナのおばあちゃんって……学園長?」

 フウガの問いに、レナは困った顔で頷いた。

「そう。なんか学園には、ああいうスポットが一つくらいはないと駄目だって言い張って、ずっと取り壊しの予定を引き伸ばしてるらしいの」

「……わけのわからんこだわりを、また……」

 フウガは、頭痛でもしたように掌で顔を覆う。

 普段のシズネは、間違いなく慕うに値する良き学園長だ。しかし、オロチの呪いの件のときもそうだったが、時折、その評価を覆したくなるような困った一面を見せるときがある。それが、この学園のどこか緩い空気の遠因になっているのは間違いない。

 ゴウタは、まるで感銘を受けたかのように目を輝かせる。

「いやー、正論やなぁ。確かに、必要やで。でかい学園には、いかにも怪しく不気味な旧校舎がな!」

「そ、そうなのかなぁ……」

 曖昧な笑顔で、ミヨが首を傾げる。

 だが、そんな反応は気にせず、ゴウタはびしっと旧校舎の方へと指を向ける。

「これはもう、暗に学園長も肝試しをしろと言ってるようなもんやろ! って事で、早速、今日の夜にな!」

「…………やれやれ」

 もうどうにでもしてくれ、という気分で、フウガは肩を竦める。

 そして、結局。

 ほぼゴウタに押し切られる形で、この日の夜の肝試しが決定したのであった。


 * * *


「――で、まさか俺が一番手とは」

 夜の十一時半過ぎ。

 黒く染まった空には、欠けた月がぼんやりと浮かんでいる。

 消灯時間の後、寮を抜け出したフウガは、ランタンを手にして、学園の敷地の端にある旧校舎の前に立っていた。

 およそ五十年近く前までは使われていたらしい古い校舎は、現在、使われている校舎に比べるとかなり規模は小さい。そもそも、すでに大部分は取り壊れていて、今、残っている建物は、ほんの一部らしかった。

 その姿は、過ごした長い時間を体現するように、見事なまでに朽ちている。

 しかも、夜の暗さも相まって、確かに幽霊の一人や二人くらいは住んで居そうな薄気味悪い雰囲気を漂わせていた。実際、陽が暮れてからは、学園の候補生達はもちろん、教官達もまず近づかないような場所なのだ。

 何気に、ここに来る途中で、目の前を黒猫に三回ほど横切られ、頭上ではずっとやかましく鴉が鳴き続けている辺り、不吉な事この上なかった。

「それでなくても俺は運が良い方じゃないんだけどな……」

 冗談抜きで嫌な予感を感じつつ、フウガは旧校舎を見上げる。

 肝試しのルールは、くじ引きで決めた順に一人ずつ旧校舎の最奥の部屋まで行って、証拠の印を刻んでくるという単純なものである。後の人間が先に行った人間が刻んだ印があるかどうかを確認するので、ズルをして途中で逃げ帰ってくる事も出来ないという仕組みらしい。まあ、全員が途中で戻ってきたら、確認も何もない気はするが。

 ちなみに他の四人は、皆が旧校舎の傍に居ると緊張感がないとゴウタが主張するので、離れた場所で待機している。

「……っというか、ライ達は、俺を出来る限り一人にしないようにって教官達に言われてるんじゃないのか?」

『ああ、すっかり忘れてるんだろうな、きっと』

 と、すかさずオロチが愉快そうに呟く。

「当たり前のように、切なくなる事を言うなっ!」

『おおっと、失敬』

 くっくと喉の奥で笑いながら、オロチは心ない謝罪をする。

「たくっ……。もうさっさと印をつけて帰るぞ」

『おや、お前は幽霊は怖くないようだな』

「当然だろ。幽霊より、そこらの妖魔の方がよっぽど怖い。実際に、俺はこうやって誰かさんに憑かれてるんだしな」

 最後には、しっかりと皮肉を込めて、返してやる。

 しかし、当然そんなものはさらりと流して、オロチはさらに訊いてきた。

『では、噂にあった呻き声や這いずる音は、本当に幽霊の仕業と思うか?』

「俺に訊くなよ。……まあ、よくあるやつだと風の音とか、入り込んだ野良猫とかその辺りじゃないのか? 少なくともやたらと幽霊だと騒ぎ立ててるときの方が、実際は違う場合の方が多いもんだろ」

 別に、フウガ自身は、幽霊の存在を否定する気はない。人には理解しがたいという意味では妖魔の存在とて在るし、他にも理屈では説明出来ない物事は、それこそ世にはごまんとある。ならば、人の死後、魂だけの存在となった幽霊だって居ても不思議はないはずだ。

 ただ、こういう騒動に関しては、原因を全部幽霊のせいにするというのは、あまりに早計だとは思っていた。今も言ったように、呻き声や這いずる音などというものは、他の物音でも十分勘違い出来る程度の代物なのだ。

『妥当な答えだな。ただ、私としてはどうにもつまらんのだが』

「一体、どうしたら楽しいってんだ、お前は」

『それはもう、今の時点で卒倒寸前なくらいに怖がってくれた方が、見ていて楽しいな。……五十年前も、怖がりな人間を見つけては、気絶するまで何度も驚かしたものだよ。いやはや、今となっては良い思い出だ……』

 しみじみと、何とも酷い思い出をオロチは語る。

「こんのド外道め……」

 フウガは、口の端を盛大に引きつらせた。

 やはりこの妖魔は、今すぐ退治した方が世のためだと、心からそう思う。

(まあ、それが出来ないから、俺はツクヨミ先輩に勝たなきゃいけないハメになったんだけど……)

 嫌な現実を思い出して、独りで凹みそうになる。

 どんよりとした空気を背負いつつも、フウガは旧校舎の入り口の前に辿り着いた。

「――まあ、こんな所で、落ち込んでいても仕方がない。早く終わらせよ」

 気を取り直して、顔を上げる。

 そして、一歩踏み出そうとした寸前――

「…………フウガ?」

 およそ聞き慣れた――しかし、この場所、この時間に聞くとは思わなかった声が横手から届いた。

「え?」

 顔を向けると、そこには近づいてくる一つの人影。そして、月光によって露になったのは、漆黒の鞘に収まった長刀を手にした、ウズメの姿だった。

「先輩!? 何で、こんな所に!」

「それはこっちの台詞だ、フウガ。もう消灯時間を過ぎてる上に、ここは立ち入り禁止だぞ?」

「それを言ったら、先輩だって」

「え? あ……いや、私は……その……」

 珍しくウズメは言い淀む。

 さらに、何故か頬を少し紅く染めて、目を逸らした。

「先輩?」

「…………むう」

 しばらく逡巡した後。

「……と、とりあえず君の理由から聞かせてくれるか? 私もその後に話すから」

 ウズメは、どこか観念したように、そう提案したのだった。


 * * *


「……というわけなんですけど」

 今に至るまで経緯を、フウガがかいつまんで説明すると、ウズメは可笑しそうに笑った。

「なるほど。フドウらしい。君の復帰祝いや息抜きという理由も、たぶん嘘ではないんだろうな」

「さて、それはどうですかね」

 フウガは、わざと曖昧に返して、苦笑する。

 ゴウタが、この肝試しをやろうと言い出した理由の一つが、あの噂への好奇心故なのは間違いない。だが、最近、気を張り詰める事の多かったフウガに少しでも気を緩めてもらおうと思ってくれた事も確かに事実なのだろう。だからこそ、何だかんだと文句を言いつつも、フウガもこうやって参加している。

「それで先輩が、この旧校舎にきた理由は何なんです?」

 自分の方の説明を終えて、ウズメに問う。

「む……実は、な」

 途端に、また目を泳がせて、ウズメは話し始めた。

「君も当然知っているだろうが、食堂のおばちゃんが居るだろう?」

「ああ。あの人ですか」

 言われてフウガは、ふくよかな体型で、齢五十前後の人の良い女性の姿を思い出す。先日まで医務室で寝込んでいた少年に、林檎を見舞いにくれたのは記憶に新しい。食堂の厨房を一手に仕切る彼女は、その人柄から候補生達に慕われており、フウガにとっても、学園の中では気兼ねなく話せる人物の一人だった。

 ただ、そのわりには実際の年齢やら、本名やら、彼女の素性に関わる事柄は、誰一人知らないという変わった人物でもある。なので、教官達も含めて候補生は皆、“食堂のおばちゃん”と呼ぶのが定着していた。

「実は、そのおばちゃんの知り合いの娘さんを、諸事情で、この学園で数日ほど預かる事になったそうなんだ。その子は神聖騎士に憧れていて、学園を見てみたいという自身の要望もあったかららしいんだが……まあ、学園長としては、将来、騎士候補生になるかもしれない子供の気持ちは反故に出来なかったんだろうな」

 そこまで説明して、ウズメは先を言い辛そうに頬を掻いた。

「で、私が今日の昼頃に、たまたま泣きじゃくってるその子に出会ったんだ。泣いている理由を訊くと、どうやら立ち入り禁止の旧校舎に好奇心で忍び込んで、そのときに不気味な呻き声を聞いたらしい」

「呻き声……ですか」

「ああ、君も聞いた事ぐらいはあるだろう? 春になってから、ずっと騒ぎになってる幽霊のやつだ。それでその子は、呻き声に驚いて逃げ出すときに、旧校舎の中にお気に入りのぬいぐるみを落としてきてしまったみたいでな」

「ははあ……じゃあ、つまり……」

 そこまで聞いて、ウズメの理由を察したフウガは言った。

「その子に頼まれて、わざわざぬいぐるみを取りにきたんですか?」

「あ、ああ……。もうあの声が怖くて、旧校舎には近づきたくないと言うし、どのみちあんな危ない場所に、子供をまた一人で行かせるわけにはいかないだろう? だから、咄嗟に私が取ってきてあげると言ってしまったんだ」

 フウガは、さっきから妙に挙動不審なウズメをじっと見つめる。

「――何だか先輩って……」

「な、何だ?」

 どこか慌てて、少女が問うてくる。

「あ、いえ……やっぱり優しいんだなぁ、と……」

「っ……。そ、そんな事はないと思うぞ?」

「いえ、そうだと思いますよ? だけど、何もそんなに恥ずかしそうにしなくて良いんじゃ」

「……だが、何だか照れ臭くてな。特に君に知られたというのが。――お人好しだと、君も思っただろう?」

 困った顔で上目遣いに見てくるウズメの姿が微笑ましくて、フウガは思わず吹き出してしまう。普段、どこか大人びた彼女のそんな子供地味た仕草が、どうにも可愛らしかったのだ。

「わ、笑う事はないだろう」

「すいません。――でも、お人好しと言うなら、お互い様ですよ。たぶん、その状況なら、俺も同じ事をしちゃったでしょうし、恥ずかしがらなくても大丈夫です」

「……確かに、君なら間違いなくそうするだろうな」

 妙に納得した風に言って、ウズメも淡く笑う。

 どことなく、フウガと同じという部分に喜んでいるようにも見えた。

「だけど、何でこんな時間に? その子に頼まれたときに、すぐにくれば良かったんじゃないんですか?」

「いや、さすがに立ち入り禁止となっている場所に、昼間から堂々と入るのは気が引けてな。それで、夜になってから、人目を避けて、こっそりと回収するつもりだったんだ」

「で、たまたま肝試しをきていた俺とばったり出くわした、と」

「ああ、そういう事らしい」

 とりあえず互いの事情を把握した二人は、改めて一緒に旧校舎を眺める。夜闇に沈む朽ち果てた建物は、相変わらず気味の悪い空気を纏っていた。

 狙い済ましたように、頭上を飛翔する鴉が一匹、一際高い声で鳴く。

 時刻は、ちょうど正子。

 まさに肝試しに向いた、絶好の時機の到来である。……別に嬉しくはなかったが。

「まあ、こうやって出会ったのも縁という事で」

「……一緒に行くか?」

「そうしましょうか。探し物なら二人の方が効率良いでしょうしね」

 話も決まって、早速フウガは歩き出そうとする。

 だが、何故かウズメは立ち止まったまま、何かを考え込んでいた。

「……確かにフウガが居れば心強いが……いや、しかし……」

「先輩? どうしたんですか?」

「…………え? あ、何でもないんだっ。そ、それより早く中に入ろう。こんな所を、誰かに見られたらまずいしな」

 弁解するように早口で言って、ウズメは早足で旧校舎の中へと入って行ってしまう。何事かと、問う暇さえもなかった。

「……一体、どうしたんだろ?」

 もういつも通りかと思った少女は、やはりどこかおかしかった。

 まさか幽霊が怖いという事もないだろうし、はっきり言って謎である。

『フウガ。早く行かんとウズメとはぐれるぞ』

「あ、ああ……」

 オロチに急かされて、フウガは我に返って頷く。

 そして、首を捻りながらも、先に行ってしまった、どこか様子の変な少女の後を追うのだった。

お読み頂きありがとうございました。

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