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プロローグ・・・来訪者の末裔

この国には、創世神話にも載らない“もうひとつの歴史”が存在する。

それを記した一冊の古いファイルが、江波家の地下書庫にひっそりと保管されていた。


「江波家録・相伝書」


門外不出のその資料は、代々“裏方”として一族を支えてきた者たちによって、密かに更新され続けてきたという。


これは、その記録に隠された真実に巻き込まれ、人生を狂わされた一人の少女の物語である。

江波家のルーツは深く、古代の創世記にすら恐れられた一派の末裔だとされている。

表の歴史に名前が出ることはほとんどないが、〇〇文明と呼ばれる遺跡の一部に、彼らの痕跡が残っているらしい。

しかし、その詳細は徹底的に隠されてきた。


“江波(Enami)”という表記は、“Enemy”をもじったものだという説もある。

外宇宙からの侵略者を示す資料が残っていることから、彼らが地球外知的生命体の来訪者だった可能性すら示唆されている。



江波家は昔から子どもの多い家系で、日本の中でも“繁栄の象徴”のように扱われてきた。

だが、それは単なる家族計画ではなく、侵略の一環ではないかと揶揄されたこともある。


しかし、数代前から“異変”が起き始めた。


忌みいみご

そう呼ばれた子どもたちは、先祖返りのように常識外れの能力を発現した。


ある者は人魚のように変身し、

ある者は猫へと姿を変え、

ある者は女郎蜘蛛となり、親族を襲ってでも子を残そうとした。


共通していたのは、

全員が女性であり、幼少期から異常な知識欲と身体能力を持っていたこと。


だが、ある時期を境に忌み子は生まれなくなった。


長年の研究の結果、

「20歳になる前に出産すれば忌み子は生まれない」

という結論に至ったからだ。


しかし、その“予防策”が効かないケースも稀に存在した。

現代では人権問題として大騒ぎになるため、これ以上の調査は不可能だった。



そんなある日、前代未聞の事件が起きる。


江波家と内田家の老夫婦、そしてその子世代の夫婦――計6人が、親族の集まりの場で突然こう宣言した。


「我々は、神の眷属である」


親族たちは冗談だと思ったが、近づこうとした瞬間、光の壁が立ち上がり、誰一人触れることすらできなかった。


そして6人は続けた。


「数年後、我らの子として忌み子が生まれる。名は“梨華”。その子を育てよ」


それは、予言だった。



「梨華が16歳になる年、我らは“事故”に見せかけて姿を消す。

翌年、梨華は友を連れてこの地を離れ、彼の地へ旅立つだろう。

迷惑はかけぬ。しばし見守れ」


一度言葉を切ったあと、さらに続けた。


「江波の者よ。汝らは我らの大切な末裔だ。

我らは創造神の眷属にして、異界の神の一柱。

目的はただひとつ――後継となる神を育てること。

願いが叶うその時まで、我らを助けよ。

さすれば永劫に守護しよう」


光が消えると同時に、6人は倒れ込んだ。

意識は混濁し、体力も極端に消耗していた。


親族たちは“奇跡”を目の当たりにし、

生まれてくる子――梨華のために、万全の体制を整えることを決めた。



そして、ある年の8月10日。

梨華は誕生した。


同じ日、江波銀行の梨華名義の口座に、

10兆円

という謎の入金があった。


数年後、6人が“失踪する旅行”に出発する前夜。

彼らは総本家を訪れ、短く告げた。


「神の宣託が行われる」


その後、梨華の母・来夏の直筆で、


「梨華には話さないでください。お願いします。来夏」


という手紙が郵便受けに残されていた。


そして――

“神”を名乗る存在の宣託が、ついに実行された。

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