2人の少女
休日の午後、珠洲は一人で街を歩いていた。
三毒会の拠点ビルから少し離れた商店街。平日とは違い、多くの人々で賑わっている。家族連れ、カップル、友人同士。みんな楽しそうに笑っている。
珠洲はそんな光景を、感情のない目で眺めていた。
珠洲にとって、他人の幸せは遠い世界のものだった。感じることも共感することも難しい。ただ観察するだけ。それが珠洲の日常だった。
買い物をするわけでもなく、目的地があるわけでもない。ただなんとなく、外に出たかった。拠点に一人でいるのは暇だったからだ。
珠洲は無表情のまま、商店街を歩き続けた。
その時、視界に見覚えのある人物が映った。
茶色のふわふわした髪、明るい色のワンピース、手にはクレープを持ち、嬉しそうに食べている少女。
「満服、乙葉。昴の……友達?」
珠洲は小さく呟いた。
八罪管理局にいる暴食の半魔、満服乙葉。昴が最近よく話題にする、恋人だという人物。
珠洲は少し迷った。声をかけるべきか、それとも無視するべきか。
管理局と三毒会は今でこそ協力関係になったが、まだまだ溝はある。街中で出会っても、通常は関わらない。だが、珠洲は昴の話をよく聞いていた。乙葉がどんな人物なのか、興味があった。
珠洲は決断した。
「満服乙葉」
珠洲は乙葉に近づき、声をかけた。
乙葉は驚いて振り向いた。クレープを持ったまま、珠洲を見つめる。
「え……?」
「私は珠洲。三毒会」
珠洲は淡々と自己紹介した。乙葉は一瞬警戒した表情を見せたが、すぐに柔らかい笑顔に戻った。
「あ、珠洲ちゃん? 昴から話聞いてます」
「昴の恋人」
「はい。恋人です」
乙葉は恥ずかしそうに言った。珠洲は小さく頷いた。
「そう。昴から、聞いた」
「本当ですか?」
「ん。乙葉可愛いって」
珠洲の言葉に、乙葉は嬉しそうに笑った。
「昴も、珠洲ちゃんのこと話してましたよ。大切な友達だって」
「……そう。ふふ」
珠洲は少しだけ口角が上がる。そして、心の中では少しだけ温かいものを感じていた。
乙葉はクレープをまた一口食べてから、珠洲に尋ねた。珠洲は、会話をしていてしかも初対面なのに食べるのをやめないんだなぁと、不思議に思っていた。
「珠洲ちゃんは、今何してるんですか?」
「散歩」
「じゃあ、一緒に食べ歩きしませんか?」
乙葉の提案に、珠洲は少し驚いた。
「……いいの? 三毒会だよ」
「大丈夫です。今日は休日ですし、美味しいものが待ってますから」
乙葉は笑顔で言った。その笑顔は純粋で、警戒心がまったく感じられなかった。
珠洲は少し考えてから、頷いた。
「ん。いこ」
「やった! じゃあ、まずはたこ焼き屋さんに行きましょう」
乙葉は嬉しそうに珠洲の手を引いた。珠洲は戸惑いながらも、その手を振り払わなかった。
二人はたこ焼き屋に向かった。乙葉は迷わずたこ焼きを二パック注文した。
「珠洲ちゃんも食べますか? 食べたことありますよね」
「ん。美味しいやつ」
「じゃあ、半分こしましょう」
乙葉は一パックを珠洲に渡した。珠洲は受け取り、一つ口に入れた。
「美味しい」
「でしょう? このお店、すごく美味しいんです」
乙葉は満面の笑みでたこ焼きを頬張った。その姿を見て、珠洲は少しだけ表情を緩めた。
「乙葉、食べるの好き?」
「はい。食べることが一番の幸せです」
「それは……良いこと」
珠洲は小さく言った。乙葉は不思議そうに珠洲を見た。
「珠洲ちゃんは、何が好きですか?」
「?」
乙葉の質問の意味がよくわからず首を傾ける。
「え?」
「好きって、よくわからない」
珠洲の言葉に、乙葉は少し悲しそうな表情を見せた。
「そうなんですね……」
「でも、昴といると、楽しい」
珠洲は正直に言った。乙葉は再び笑顔になった。
「昴も、珠洲ちゃんといる時楽しいって言ってました」
「本当?」 休日の午後、珠洲は一人で街を歩いていた。
三毒会の拠点ビルから少し離れた商店街。平日とは違い、多くの人々で賑わっている。家族連れ、カップル、友人同士。みんな楽しそうに笑っている。
珠洲はそんな光景を、感情のない目で眺めていた。
珠洲にとって、他人の幸せは遠い世界のものだった。感じることも共感することも難しい。ただ観察するだけ。それが珠洲の日常だった。
買い物をするわけでもなく、目的地があるわけでもない。ただなんとなく、外に出たかった。拠点に一人でいるのは暇だったからだ。
珠洲は無表情のまま、商店街を歩き続けた。
その時、視界に見覚えのある人物が映った。
茶色のふわふわした髪、明るい色のワンピース、手にはクレープを持ち、嬉しそうに食べている少女。
「満服、乙葉。昴の……友達?」
珠洲は小さく呟いた。
八罪管理局にいる暴食の半魔、満服乙葉。昴が最近よく話題にする、恋人だという人物。
珠洲は少し迷った。声をかけるべきか、それとも無視するべきか。
管理局と三毒会は今でこそ協力関係になったが、まだまだ溝はある。街中で出会っても、通常は関わらない。だが、珠洲は昴の話をよく聞いていた。乙葉がどんな人物なのか、興味があった。
珠洲は決断した。
「満服乙葉」
珠洲は乙葉に近づき、声をかけた。
乙葉は驚いて振り向いた。クレープを持ったまま、珠洲を見つめる。
「え……?」
「私は珠洲。三毒会」
珠洲は淡々と自己紹介した。乙葉は一瞬警戒した表情を見せたが、すぐに柔らかい笑顔に戻った。
「あ、珠洲ちゃん? 昴から話聞いてます」
「昴の恋人」
「はい。恋人です」
乙葉は恥ずかしそうに言った。珠洲は小さく頷いた。
「そう。昴から、聞いた」
「本当ですか?」
「ん。乙葉可愛いって」
珠洲の言葉に、乙葉は嬉しそうに笑った。
「昴も、珠洲ちゃんのこと話してましたよ。大切な友達だって」
「……そう。ふふ」
珠洲は少しだけ口角が上がる。そして、心の中では少しだけ温かいものを感じていた。
乙葉はクレープをまた一口食べてから、珠洲に尋ねた。珠洲は、会話をしていてしかも初対面なのに食べるのをやめないんだなぁと、不思議に思っていた。
「珠洲ちゃんは、今何してるんですか?」
「散歩」
「じゃあ、一緒に食べ歩きしませんか?」
乙葉の提案に、珠洲は少し驚いた。
「……いいの? 三毒会だよ」
「大丈夫です。今日は休日ですし、美味しいものが待ってますから」
乙葉は笑顔で言った。その笑顔は純粋で、警戒心がまったく感じられなかった。
珠洲は少し考えてから、頷いた。
「ん。いこ」
「やった! じゃあ、まずはたこ焼き屋さんに行きましょう」
乙葉は嬉しそうに珠洲の手を引いた。珠洲は戸惑いながらも、その手を振り払わなかった。
二人はたこ焼き屋に向かった。乙葉は迷わずたこ焼きを二パック注文した。
「珠洲ちゃんも食べますか? 食べたことありますよね」
「ん」
「じゃあ、半分こしましょう」
乙葉は一パックを珠洲に渡した。珠洲は受け取り、一つ口に入れた。
「美味しい」
「でしょう? このお店、すごく美味しいんです」
乙葉は満面の笑みでたこ焼きを頬張った。その姿を見て、珠洲は少しだけ表情を緩めた。
「乙葉、食べるの好き?」
「はい。食べることが一番の幸せです」
「それは……良いこと」
珠洲は小さく言った。乙葉は不思議そうに珠洲を見た。
「珠洲ちゃんは、何が好きですか?」
「うーん」
答えがよくわからず首を傾ける。
「え?」
「好きって、よくわからない」
珠洲の言葉に、乙葉は少し悲しそうな表情を見せた。
「そうなんですね……」
「でも、昴といると、楽しい」
珠洲は正直に言った。乙葉は再び笑顔になった。
「きっとそれが好きって事なんだと思いますよ」
「本当?」
「はい。それに昴も珠洲ちゃんは大切な友達だって」
乙葉の言葉に、珠洲は小さく微笑んだ。
「ふふ」
二人はたこ焼きを食べ終えてから、次の店へ向かった。クレープ屋、唐揚げ屋、タピオカ屋。乙葉は次々と食べ物を買い、珠洲にも分けた。
珠洲は最初は戸惑っていたが、徐々に乙葉のペースに慣れていった。乙葉の明るさは、どこか心地よかった。
「珠洲ちゃん、次はどこに行きたいですか?」
「乙葉、決めて」
「じゃあ、あのアイス屋さん行きましょう」
乙葉は珠洲の手を引いて、アイス屋に向かった。珠洲は無表情のまま、乙葉に引かれていった。
アイスを食べ終えた頃、珠洲は唐突に口を開いた。
「そうだ、うち、来る?」
「え?」
乙葉は驚いて珠洲を見た。珠洲は相変わらず無表情だった。
「珠洲のお家、くる?」
「でも……今日初めて会ったばかりですよ?」
「ん。大丈夫」
「昴が……?」
「ん、前来た」
珠洲の言葉に、乙葉は少し考えた。確かに、昴から珠洲の家に泊まった話は聞いていた。だが、それは昴だから許されたのではないか。
「大丈夫なんですか?」
「大丈夫。竜司も紅葉も優しい」
珠洲は淡々と言った。乙葉は迷ったが、結局頷いた。
「じゃあ、お邪魔します」
「ん」
珠洲は小さく頷いた。
珠洲の家は、商店街から少し離れた場所にあるビルだった。看板も何もない、普通のビルに見える。
「ここが……?」
「ん。おうち」
珠洲は平然と言った。乙葉は少し緊張した。
「上に行く」
珠洲はエレベーターに乗り込む。乙葉もそれに続いた。
「ただいま」
珠洲が言うと、キッチンから女性が顔を出した。
「おかえり、珠洲。……あら、お客さん?」
女性は蘭堂紅葉だった。乙葉は以前、資料で顔を見たことがあった。
「こんにちは。満服乙葉です」
「あら、管理局の……いえ、違うわね」
紅葉は少し驚いた様子だったが、すぐに笑顔になった。
「いらっしゃい。珠洲の友達?」
「昴の恋人」
珠洲が淡々と言った。紅葉は目を丸くした。
「あら、昴くんの! そしたら珠洲のライバルじゃない」
紅葉は嬉しそうに乙葉を迎え入れた。
その時、別の部屋から男性が出てきた。松元竜司だ。三毒会のリーダー。
「おう、珠洲。帰ったか……って、誰だ?」
竜司は乙葉を見て、一瞬警戒した表情を見せた。
「昴の恋人」
珠洲が再び説明すると、竜司は安堵した表情になった。
「なんだ、昴の恋人か。じゃあ大丈夫だな。……って珠洲のライバルじゃねぇか。仲良くしていいのか?」
「ん。乙葉、好き」
「お、おう。珠洲がいいなら良いけどな」
「はい。満服乙葉です。よろしくお願いします」
乙葉は丁寧に挨拶した。竜司は豪快に笑った。
「おう、よろしくな。昴のやつ、恋人がいながら珠洲にちょっかいかけてたのか……」
「珠洲ちゃんが誘ってくれました」
「そうか。珠洲がねぇ……珍しいな」
竜司は珠洲を見た。珠洲は無表情のまま頷いた。
「乙葉と食べ歩きした。楽しかったから」
「そうか。なら歓迎するぜ」
竜司はそう言って、乙葉の肩を叩いた。乙葉は少し驚いたが、すぐに笑顔になった。
「ありがとうございます」
「夕飯、一緒にどうだ?」
「え、いいんですか?」
「おう。珠洲が連れてきた友達なら、歓迎するさ」
竜司の言葉に、乙葉は嬉しくなった。こんなに温かく迎えてくれるとは思っていなかったからだ。
「じゃあ、お言葉に甘えます」
「おう。紅葉、夕飯頼むぜ」
「はいはい」
紅葉は笑いながらキッチンに戻った。
夕飯の準備ができるまで、珠洲と乙葉は珠洲の部屋で過ごした。
珠洲の部屋は、シンプルだった。テレビ、ベッド、机、本棚。装飾品はほとんどなく、無機質な印象を受ける。
しかし、テレビゲームや漫画小説など時間を潰せるものが多くおいてあった。
「珠洲ちゃんの部屋、シンプルですね」
「しんぷるいずざべすと」
「そ、そうなんですね」
乙葉はベッドに座り、部屋を見回した。本棚には、漫画だけでなく哲学書や心理学の本も並んでいる。
「珠洲ちゃん、本が好きなんですか?」
「暇つぶし」
「難しそうな本も多くありますね」
「漫画、登場人物の気持ちよく分かんない時に見る」
珠洲の言葉に、乙葉は少し切なくなった。
「感情を理解するため……」
「ん」
「そうなんですね……」
乙葉は珠洲を見つめた。珠洲は相変わらず無表情だった。
「珠洲ちゃん」
「ん?」
「昴と一緒にいる時、楽しいって言ってましたよね」
「ん」
「それって、すごく大切なことだと思います」
乙葉は優しく言った。珠洲は、少し考えると答える。
「乙葉といても楽しい」
「はい。私も、今日は楽しかったです」
乙葉は笑顔で言った。珠洲は小さく頷いた。
「ふふ。昴、乙葉のそう言うとこ好きだって」
「え?」
「素直で優しくて明るいとこ」
珠洲の言葉に、乙葉は顔を赤くした。
「そ、そうですか?」
「ん、珠洲も乙葉のそういうとこ好き」
珠洲は再び無表情に戻った。だが、その雰囲気は少しだけ柔らかくなっていた。
夕飯の時間になり、全員がリビングに集まった。竜司、紅葉、珠洲、そして紅蓮寺灯も加わった。
「管理局の奴が来てるって言ってたけど、マジだったんだな」
灯は乙葉を見て、少し驚いた表情を見せた。
「はい。満服乙葉です」
「紅蓮寺灯だ。よろしくしなくてもいいぞ」
灯は短く挨拶した。乙葉も挨拶を返した。
「夕飯、できたわよ」
紅葉がテーブルに料理を並べた。カレー、サラダ、スープ。どれも美味しそうだった。
「わぁ、美味しそう!」
乙葉は目を輝かせた。竜司は豪快に笑った。
「おう、遠慮すんなよ。たくさん食え」
「はい!」
乙葉は嬉しそうにカレーを食べ始めた。その様子を見て、全員が微笑んだ。
「本当によく食べるわね」
紅葉が笑いながら言った。
「すみません。私、食べることが大好きで」
「いいのよ。美味しそうに食べてくれると、作った甲斐があるわ」
紅葉は優しく言った。
だが、おかわりが5杯10杯といくうちに顔色が変わっていく。
数日分作り置きしたつもりが、全て乙葉に食べ尽くされてしまった。
「ほ、本当によく食べたわねぇ」
食事中、乙葉は三毒会のメンバーと会話を交わした。竜司の豪快な笑い声、紅葉の優しい言葉、灯の少し素っ気ない態度、珠洲の無表情。みんな個性的だが、温かかった。
「管理局の奴はいけすかないない奴が多いと思ったが、お前はいい子だな」
竜司が言った。乙葉は少し複雑な表情を見せた。
「ありがとうございます」
「まあな。でも、人間同士だ。組織が仲良くなくても、全部嫌いになる必要はない」
竜司の言葉に、乙葉は頷いた。
「そうですね」
「管理局は規則に縛られすぎてる。俺たちは、もっと自由に人間らしく生きたいんだ」
「人間らしく……」
「ああ。規則も大事だけど、心も大事だろ?」
竜司の言葉は力強かった。乙葉は少し考えてから、頷いた。
「わかります。私も、ルールだけじゃなくて、人の気持ちを大切にしたいです」
「おう、その心を忘れるなよ」
竜司は満足そうに笑った。
食事が終わり、片付けをしていると、外はすっかり暗くなっていた。
「あ、もうこんな時間……」
乙葉は時計を見て驚いた。
「泊まっていくか?」
珠洲が唐突に言った。乙葉は戸惑った。
「え、でも……」
「昴も泊まっていった。大丈夫」
「そうですけど……」
「泊まっていきなさいよ。もう遅いし、危ないわ」
紅葉も優しく言った。乙葉は迷ったが、結局頷いた。
「じゃあ、お言葉に甘えます。連絡だけさせてください」
「おう、普通はちゃんと連絡するよな。あいつがおかしいんだよな」
乙葉は携帯を取り出し、管理局に連絡した。
「もしもし、いろはさん? 私、今日泊まりで外出します。大丈夫です、心配しないでください」
電話の向こうで、いろはが驚いた声を上げた。乙葉は笑いながら説明した。
「友達の家です。はい、大丈夫です。明日帰ります」
電話を切ると、珠洲が乙葉を見ていた。
「連絡した?」
「はい。大丈夫です」
「珠洲の部屋、いこ」
「え、珠洲ちゃんの部屋でいいんですか?」
「ん、ベットいいよ」
「ありがとうございます」
乙葉は嬉しそうに笑った。
夜、珠洲の部屋で二人は並んで寝転んでいた。
「珠洲ちゃん、大丈夫ですか?」
「乙葉、ぬくぬく」
「そうですか……」
珠洲は無表情のまま答えた。
「あと、柔らかくて気持ちいい」
「ちょ、くすぐったいですよ」
その後、しばらく沈黙が続いた後、珠洲が口を開いた。
「乙葉」
「はい?」
「今日、楽しかった」
「私も楽しかったです」
「ん、良かった」
珠洲は小さく頷いた。そして、少し考えてから続けた。
「珠洲、昴好き」
「はい」
「乙葉も好き」
珠洲の言葉に、乙葉は胸が熱くなった。
「珠洲ちゃん……」
「昴と乙葉、ずっと仲良しでいたい」
珠洲は無表情のまま言った。だが、その声には確かな温かさがあった。
「私も、珠洲ちゃんとずっと仲良しでいたいです」
「嬉し」
珠洲は小さく笑った。その笑顔は、今まで見たことがないほど優しかった。
乙葉も笑顔で答えた。
「こちらこそ、ありがとうございます」
二人は静かに夜を過ごした。
翌朝、乙葉は三毒会のメンバーに見送られながら、ビルを出た。
「また来いよ」
竜司が豪快に手を振った。
「はい、また来ます」
「気をつけてね」
紅葉が優しく言った。
「ありがとうございました」
灯も小さく手を振った。
そして、珠洲が乙葉の前に立った。
「またね」
「はい。また会いましょう」
乙葉は笑顔で答えた。珠洲も小さく笑った。
「昴は、ハーレム好きかな」
「はい……はい?」
困惑している乙葉に構わず、珠洲は微笑んで手を振っていた。
ほんわか




