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人間嫌いの転生貴族 ~散々恋破れたので美少女に言い寄られてもなびきません~  作者: 藍色黄色


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第9話


 後日レベッカが屋敷にやってきた。


 訪問すると聞いてなかったから驚いた。慌てて談話室でむかえると、俺が浮気したから婚約解消すると一方的に告げられた。


 思わず「は?」って言葉が口から飛び出た。浮気ってワードに全く心当たりがない。


 レベッカの言動から察するに、ラピアとの一件が不貞行為に映ったらしい。


 俺は思いつく限りの弁解をした。


 婚約が破棄になったらロールレイン伯爵家とのつながりがなくなる。


 両親やオイデイン兄さんは俺を責めるだろう。家から追い出す話に発展したら、まだ小さい俺じゃ生きていけない。


 弁解は意味不明な理屈で跳ね除けられた。その末に、つながりを保ちたいならライデリット兄さんとの婚約を受け入れると言ってきた。


 きっとレベッカは俺と別れる口実を待っていたんだ。


 不貞行為が真実かどうかは関係ない。俺との婚約を断ち切って、本命のライデリット兄さんとつながることが狙いだった。


 ライデリット兄さんが首を縦に振ってくれて、この一件は事なきを得た。

 

 その一方で、両親とオイデイン兄さんの俺に対する当たり方がきつくなった。


 あわや一家おしまいになりかけたんだ。俺のことをうとむ気持ちは分かるから、理不尽だと思いながらも言い返すことはしなかった。


 魔法学園に通わせてもらえない。そんな未来図が脳裏に浮かぶ。


 俺は全属性の魔法を使える。最低限魔法を抑えた。


 でも戦闘経験はない。一人で生きることを考えて真っ先に浮かぶのは、冒険者として活動する道だ。


 俺は一人でやれるのか。事前に確かめておく必要がある。


 久しぶりに育成トレインを解いて魔力を温存。お忍びで街に出かけた。


 平民は読み書きできない人が多い。身元の証明も困難だ。後ろめたい経歴のある者やあらくれ者が流れ着くことも多いと聞く。


 経歴を聞かないのは暗黙の了解。ギルドでの冒険者登録は簡単にできた。


 早速ボードの前に立って依頼書を眺めていると、建物内が急に騒がしくなった。


 それほど離れていない場所で大型の魔物が発見されたらしい。ニーゲライテ領に向かっているらしく、迎撃のためギルドが緊急依頼を張り出した。

 

 定められた報酬額は高い。


 幅広い等級の冒険者が対象だ。視界内に映る人影がカウンターに殺到した。


 俺も緊急の依頼に志願した。ギルドが手配した馬車に乗って出発する。


 低級の冒険者と石だたみの上を走り回る。 


 ランクの低い冒険者は物資の運搬係。


 前線に送る支援物資の確保だけじゃない。大砲も並べていざという時に備えた。


 そのいざという時が来た。


 ランクの高い冒険者たちは失敗したらしい。


 小さな地響きに遅れて山のような巨体が見える。

 

 依頼書にはエンシェントドラゴンって書いてあった。長い眠りから目覚めて領土に向かっているそうだ。


「あれがエンシェントドラゴンか」


 すぐに号令がかけられた。


 砲台に弾を運ぶように指示が出されて、しかし指示を出された大半の冒険者が逃げ惑う。


 高ランクの冒険者が失敗したんだ。今さら砲弾を集めたところでって話だろう。

 

 今も足元で魔法が飛び交っているけど焼け石に水。大樹の幹じみた脚は微動だにしない。


 気付いた。


 魔法が当たる直前にエンシェントドラゴンの近くで光が発生している。


 火球が当たる際には水色。


 水流が当たる際には緑色。

 

 風の刃には茶、岩弾には赤い光を帯びる。


 全部その魔法に対する有利属性の色だ。対の属性を当てて相殺しているに違いない。


 だったらやりようはあるかもしれない。

 

 全属性の魔法を使える、俺になら。

読んでいただきありがとうございます。


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