表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人間嫌いの転生貴族 ~散々恋破れたので美少女に言い寄られてもなびきません~  作者: 藍色黄色


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/77

第49話


 結局リザードマンの集落を壊滅させた犯人は分からなかった。


 焦げた瓦礫や地面を大きくえぐった後から察するに、何かしらの魔法が使われたのは明白だ。


 でも魔法なんて人間魔族の両種族があつかう。犯人を断定するに至るような証拠じゃない。リザードマンをひどい目に遭わせたやつはいまだ野放しのままだ。


 俺は憤りを感じつつも、頭は現場で得たインスピレーションを形にしようと動いていた。


 きっかけはリザードマンの集落跡で見たつむじ風だ。


 砂や落ち葉を吸い込むようにして旋回する突風。全てを巻き上げんとうなっていたあれを見てピンときた。


 簡単なことだったんだ。枯渇するなら周りからかき集めればいい。


 早速術式の改良に取りかかった。


 魔素は風を起こしさえすれば勝手に集まる。惑星箇所を台風の目にするだけで問題は解決だ。


 俺は風属性の魔法ハリケーンに目をつけた。


 魔物の群れの中心に放って、弱い魔物を巻き上げて効率よく処理するための上級魔法。


 そのままじゃ使えない。俺はハリケーンの術式から攻撃性に関する情報を取り除く作業にいそしんだ。


 必要な情報と不要なものを選り分ける。


 簡単なようで難しい。無駄な式を取り除いて満足したら別のところでバグが発生する。


 無駄がそこに在ることで安定する情報もある。何がどこに影響をもたらすのか吟味する必要性に駆られた。


 研究チームの人にも協力してもらった。クランシャルデさんにも相談して考えを聞かせてもらった。


 後日参考になりそうな論文を取り寄せてもらった。時間の経過も忘れて、他の研究者がつづった文章を読みふけった。


 週が変わる頃には答えを出した。

 

 無駄と断じているのは研究者の俺たちだ。術式から外せないなら別の用途を探して役立たせればよかった。


 その手法は他の研究者たちが編み出している。


 外せないなら役立つように式を配置すればいい。


 魔素が特定の場所にとどまらないように配置することで、魔力を注いだ際に術式全体の安定化につながった。


 そそいだ魔力が集中して負荷がかかる箇所には、結びつきの強い式を置くことで発動不全を回避した。

 

 その他の工夫を積み重ねて、ついに惑星魔法のプロトタイプが完成した。


 クランシャルデさんたちは祝ってくれた。


 惑星魔法はその仕様上破壊力が絶大だ。街中で使おうものなら周囲に多大な迷惑をかける。


 惑星魔法の試運用は遠出した先で行うことが決まった。


 魔法の実験は来週の休日に遠出してピクニックがてらに行う。


 その日に何を持って行こうか。遠足を楽しみに待つ小学生のようにわくわくして平日を過ごした。

 

 惑星魔法の試運用をひかえた休日が迫ったある日。街中にけたたましい警報が鳴り響いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ