第40話
俺はクランシャルデさんと連絡を取って会う約束を取りつけた。クランシャルデさんはこころよく応じてくれた。
そして迎えた約束の日。
平日ではなく休日だ。私服にそでを通して学生寮の部屋を後にした。
向かった先は魔法の研究施設だ。山のごとくそびえ立つ建物を見上げて入口へ向かう。
エントランスに踏み入って、受付の魔族に待ち合わせている旨を伝えた。
受付の案内を受けて談話室に通された。
品ある内装を眺めているとノックの音が三回連続した。
「どうぞ」
開くドアが廊下の内装をのぞかせる。
さらっとした桃色の髪が映った。不敵な微笑が室内を華やがせる。
俺はソファーから腰を浮かせた。
「こんにちはニーゲライテさん。また会えてうれしいわ」
「こちらこそですよ。今日はお時間をいただきありがとうございます」
「そうかしこまらなくていいわ。私とあなたはビジネス話を交わす間柄なのだから」
クランシャルデさんがソファーに腰かけた。形のいい脚が組まれて白い太ももをのぞかせる。。
美人はソファーに座るだけでも絵になるなぁと思っていると、テーブルの上に茶を出された。
お礼を告げて一口。
この世界にしては上質な風味と味があった。
「ニーゲライテさんからの呼びかけだから時間を作ったわけだけれど、いい返事が聞けると思っていいのかしら?」
「はい。術式を提供することは構いません。それで報酬なんですが、学生寮を出る前は適当に金貨を要求するつもりでした」
「でしたってことは、今は違うのね?」
「ええ。休日だけでいいので、俺に研究室の機器を触らせてもらえないでしょうか?」
「ここの?」
ツリ目がちの目が丸みを帯びる。
「はい。見たところ立派な研究施設なので、ここでならスキルビルダーじゃできないこともできるんじゃないかと思ったんです」
具体的に何を作るかは決めてないけど。
「なるほどね。じゃあ施設内を見学してみる?」
「いいんですか⁉」
意図せず声が張り上がった。
細い首が縦に揺れる。
「もちろん。早速行きましょう」
「いいんですか? 施設見学のアポ取ってないのに」
「難しい言葉知ってるのね。問題ないわ、責任者は私だから」
まじか。
魔法部の特別顧問なんて言うからその手のスペシャリストなんだろうとは思ってたけど、まさかそこまで偉い人だったとは。




