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人間嫌いの転生貴族 ~散々恋破れたので美少女に言い寄られてもなびきません~  作者: 藍色黄色


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第26話


 フランスキー伯爵の許可を得て夜中にラピアと中庭に出た。


 月の光降り注ぐ空に向けて魔法を放つ。


 離れた箇所に小さな氷のかたまりができた。氷の殻が少しずつ重なって大きさを増す。


 前世で生きた世界には、氷のように冷たく輝く月に特殊な名称がついていた。


 すなわち氷輪。でき上がった魔法はまさしくそれだ。


「きれい……」


 ラピアがうっとりと言った様子でつぶやく。


 氷の球体に色はないけど、月の光を反射して幻想的な様相をかもし出している。男性の俺から見てもすごくきれいだ。


「これだけじゃないよ。見てて」


 手をかざして魔力球を放つ。


 属性がないどころかろくな殺傷力もない球。


 それでも命中のトリガーを満たすには十分だった。氷輪がバラバラに砕け散って中庭の歩行スペースに降り注ぐ。


 粉みじんになった氷が光を乱反射してダイヤモンドダストのような光景を作り出す。


「わぁ、わぁ……っ」


 ラピアが目を輝かせる。


 今使った魔法はどちらかと言えば氷属性だ。


 基本属性となる水を応用する必要がある。修得難易度は少し高い。


 でも興味を持たせることには成功した。これで明日からの授業が楽になるに違いない。


 氷の破片が歩行スペースに落下してパキパキと小気味いい音を鳴らす。もし誰かが立っていたら体の肉という肉が削ぎ落されていそうだ。


 ピンときた。


 これは攻撃に使える。


 範囲攻撃する魔法はクラスターがあるけど、魔物によっては火属性魔法に対する耐性があるかもしれない。氷の範囲攻撃もあった方がいい。


 それに氷は目立たない。魔物が来ると分かっている場所に設置しておけばトラップになる。


 光を反射するのが欠点だけど、それは氷に色を付けることで対処できる。


 こうしちゃいられない。早速アイデアを形にしないと!


「今日の授業はこれで終わりだ。ラピアもすぐに帰って寝るんだよ?」

「え、もうですか?」

「何言ってるんだ。今日はもう遅い。寝るんだ」

「でもあんなにきれいなものを見た後ですし、少し語らいませんか?」

「夜更かしは美容に悪いし、君のお父さんも心配するよ。寝るんだ」

「はい、分かりました」


 残念そうなラピアを連れて屋敷に戻った。ラピアを部屋の前まで送っておやすみを交わす。


 俺は早足で自室に戻った。スキルビルダーを起動して術式編集メソッドエディターを展開する。


 明日はまた授業がある。夜更かしはできない。


 インスピレーションを一通り形にして、その日はおとなしく床についた。

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