第17話
リッチのロッドを回収して妖精界の入り口に戻った。
通路の奥に着くなり例の光円が現れた。
フェリアからもらった妖精の眼がトリガーになっていたのかもしれない。
案内を受けて王城へ足を運び、洞窟内での出来事を一部始終話す。
フェリアがふっと微笑んだ。
「リッチの討伐お疲れさまでした。何か褒美を取らせなくてはなりませんね」
「いいよそんなの。それっぽい物を自分で拾ったし」
リッチが落としたロッドをかざす。
藍色の宝玉がこしらえられた杖。禍々しいところが厨二っぽいけどかっこいい。宝玉の頭を囲むような銀の装飾なんて王冠みたいだ。
「それでは私たちの気がすみません。そうだ! 妖精の眼をあなたに差し上げましょう」
「眼を? それは助かるけど、いいのか?」
「はい。ただし眼のことは他の人間には内緒にしてください。この妖精界のこともです。約束していただけますか?」
「分かった、約束するよ」
「ありがとうございます」
話をつけて城を出た。
リッチ討伐のお礼にパーティーを開くと言われたけど遠慮した。
元々ここで一晩を明かす予定はなかった。すぐに帰らないと家族に心配をかける。
俺は妖精界を後にして帰途についた。
屋敷に戻ると使用人や父が殺到した。
どこで何をしていた?
そのロッドは?
そんな問いかけに一つ一つ言葉を返して自室に入った。
妖精界のことは内緒にしたけど、さすがにロッドのことはごまかせなかった。
冒険者として活動していることがばれた。
エンシェントドラゴン関連で俺が戦ったことはばれていたものの、冒険者登録をしていることまでは知られてなかった。
俺の存在はロールレイン伯爵家との結びつきに欠かせない。これからは簡単に危険地帯へおもむくこともできなくなる。
そろそろ潮時かもしれない。
紙を用意して白い面にペン先をつけた。
覚悟したことをつづってスキルビルダーを起動する。夕飯の時間まで術式の構築に励んだ。




