はじまり
四月───。
俺、本田怜華は今日から星合学園に入学する。
星合学園は能力者のための学校だ。一学年A~D組までの四クラスに分かれている。クラスによって寮も分かれており、卒業までクラス替えは行われない。能力者の学校なだけあって色々と特殊な施設やカリキュラムがあるらしい。
そして、この学園は父さんが働いていた職場であり、亡くなった場所でもある。
「兄さんはD組だよな?」
神妙な面持ちで聞いてくる彼は、俺の弟の誠華。
「ああ、誠華はA組だろ?」
「ああ、そうなんだよ…くっそー」
(何で兄さんとクラス違うんだよ)
「大丈夫だよ。休憩時間や放課後は会えるし、休日は一日自由だから」
少し不満そうだったが納得したみたいで、「そうだよなぁ」と溜息混じりに呟く。俺としては、違うクラスで良かったと思っている。情報を集めやすくなるし、交友関係も広いに越したことはない。
「そろそろ講堂に移動するか」
これから入学式がある。
講堂へ行く道には、何本も桜の木が植えられていて丁度満開でまさに見頃だった。桜は小さい頃から好きだ。
何でか分からないがとても懐かしい気持ちになる。
「似てる……」
そう呟いた誠華の目線の先に目をやると、少女が一人桜を眺めていた。金髪のロングヘアーに碧眼、桜の中に佇む少女はまるであの物語に出てくる聖女のようだった。
少女は俺たちに気づくと、見られていたのが恥ずかしかったのか、わたわたと慌てて講堂へと走っていく。
それより気になったのが、誠華の言葉だ。
「似てるって誰に?もしかして聖女?」
「聖女?ちげーよ、兄さん覚えてねぇの?」
会ったことあるってことか?記憶を探ってみるが心当たりがない。
(そういえば、兄さんあの頃の記憶が無いんだった)
「やっぱなんでもねぇ」と誠華は誤魔化したが、俺の能力者知ってるだろ?丸聞こえだ。
あの頃の記憶…何度思い出そうとしても無理だった。思い出したら、何か分かるだろうか。
はぁ、やっと入学式が終わった。学園長の話は長いし、まわりの心の声はうるさすぎるし。疲れた…
とりあえず、誠華も自分のクラスに行ったし、この学園に入学した目的の1つである能力者の友達作りだ。




