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06 再会?

 無いものはしょうがないと、身近な歳の近い同姓であるソフィエラとレインに可愛いドレスを借りようと思ったが、それは到底できそうになかった。

 レインとは比較的似たような身長だったが、如何せん胸周りに驚異的な格差があったのだ。

 ティーゼリラも昔は、同年代に比べれば身長も大きく、それなりに成長するだろうと思っていたが、十四歳くらいから、成長がパタリと止まっていたのだ。

 胸部もしかりだった。

 考えてみれば納得もできた。

 王妃もリーリエライラも所謂絶壁と呼ばれる体格だった。

 リーリエライラは、それなりに身長があったため、スレンダーに見えなくもなかったが、ティーゼリラは、背も低く胸は絶壁という状態だった。

 本人は、自分をちんちくりんと思っていたが、合法ロリと言われても仕方ない美少女だということに、本人だけが気が付いていなかった。

 母親は別として、同年代のソフィエラとレインの豊満なバストを知っているせいか、自分のすべてが貧相に見えていたのだ。

 尊敬する兄ではあるが、カウレスとスイーティオを密かに「おっぱい紳士」と呼んでいた。

 意味は読んで字の如く、おっぱいを崇拝する変態という名の紳士の皮をかぶった変態だ。

 要は、二人の兄を尊敬しながらもその性癖はバッサリと変態カテゴリにぶち込んでいるティーゼリラだった。

 

 

 そんなことを考えながら、下着姿でああでもないこうでもないと悩んでいると、再び部屋をノックする音がした。

 考え事をしていたティーゼリラは、意図せずそのノックを無視することとなった。

 すると、扉の外にいた人物は、一縷の望みをかけるかのように中に声をかけたのだ。

 

「ティーゼリラ様? もう寝てしまったのですか? 私です。貴方様のディーディラインです」


 突然、懐かしい声が聞こえてきたためティーゼリラは、動揺してしまっていた。

 そのため、あたふたとした弾みにベッドから滑り落ちていたドレスを踏んで転んでしまったのだ。

 ティーゼリラは、小さな「きゃっ」という、悲鳴を上げていた。


 その小さな悲鳴が聞こえたのだろう、扉の外にいたディーディラインが焦ったように扉を叩いて声を上げたのだ。

 

「ティーゼリラ様? どうされたのですか? ティーゼリラ様?」


 心配そうなディーディラインの声が聞こえたティーゼリラは、さっきまでの不安が吹き飛んでいた。

 どうしてもあのモチモチでぽよぽよの彼に会いたいという思いを止めることができなかったのだ。

 

 自分の状態も忘れて、すっと立ち上がったティーゼリラは、会いたいという思いだけで扉を開けていた。

 そして、扉の外にいる懐かしい人に、昔のように飛びついていたのだ。

 

 がちっ!! 

 

 扉の外の何か硬いものにぶつかった瞬間、ティーゼリラの思考は完全に停止していた。

 本来ならば、ぽよよんとした柔らかい感触に包まれているはずが、硬い壁にぶつかるという謎展開に呆然としていたのだ。

 

 しかし、そんなティーゼリラの頭上からは、懐かしい声の慌てふためくような言葉が聞こえて首を傾げる。

 

「ティーゼリラ様! だ、駄目ですよ。年頃の女性が無闇に男に……。いえ、それよりもふ……服を!!」


 その懐かしい声に「なんだ。変な壁はあるけど、ディーは近くにいるのね」などと考えながら、自分がぶつかった謎の壁に視線を向ける。

 とても仕立てのいい布とボタンが目に入った。

 それを不思議に思い視線を徐々に上に向けると、視線の先で頬を赤く染めた、栗色の髪の麗しい青年が居たのだ。

 優しいグリーンの瞳と視線がぶつかった後、改めてその女性にもてそうな端正な顔を見つめたティーゼリラは、唖然と口にした。

 

「誰?」



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