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02 引き籠りニート姫誕生

 そして、ディーディラインが残念な決意を固めた一年後、ディーディラインが十八歳になった年に、彼は他国に留学することとなったのだ。

 ただし、ディーディラインの留学にティーゼリラが猛反対したのだ。

 猛反対の抗議は、ディーディラインが旅立つ直前まで続いた。ティーゼリラは、「行かないで」「わたしも行く」「離れないで」と泣き続けたのだ。

 もちろん、ティーゼリラが他国に留学することなど彼女を心から可愛がっている国王が許すはずがなかった。

 わたしもディーディラインと一緒に行くと言って駄々をこねるティーゼリラに対して、猛反対する国王。しかし、前例はあったのだ。そう、つい最近留学から戻ってきた姉のリーリエライラを引き合いに出したのだ。しかし、それでも国王は疲れたようにこう言うだけだった。

 

「駄目なものは駄目だ。それに、リーリエライラは……。あの子は特殊だから仕方ないんだ。ティーゼリラのような子が留学だなんて無理だ。リーリエライラが留学できたのは、あの子だからだ。あの子は普通の女の子の枠をはみ出して、斜め前方に二回転捻りで着地したうえで、その場に穴を掘って、掘った穴に自部の部屋を作って住み着くような猛者なのだ。リーリエライラを基準に考えてはいけない」


 その言葉に、リーリエライラが特殊なことを身に染みて理解していたティーゼリラは、自身が留学することは諦めたが、だからと言ってディーディラインと離れることに納得したわけではなかった。

 猛反対する父に、ならばディーディラインの留学を止めるように言ったのだ。

 しかし、すでにディーディラインに何かを言われていたのか、国王がそれに頷くことはなかった。

 

 こうして、ティーゼリラは、思いを寄せる相手と離れ離れになることになってしまったのだ。

 ただし、ここからがこの一癖も二癖もある王家の姫だけあるといった展開となった。

 それは、ティーゼリラがディーディラインに振られたと思い込み部屋に引き籠るようになったということなのだ。

 

 ディーディラインが旅立った後は、泣き暮れていただけのティーゼリラだったが、ある時見当違いの考えに至ったのだ。

 それは、「ディーは、あんなに素敵でチャーミングなんだからきっと留学先でモテモテになるに違いないわ……。そうしたら、わたし振られてしまうんだわ。うわーーーーん!!」

 

 別に付き合っていた訳ではないし、あのぽっちゃり少年がモテるという未来も誰も予想しなかったが、ぐるぐる一人で考えた末にたどり着いた答えはというと、他国で美女とディーディラインが付き合った結果、ティーゼリラが振られてしまうというものだった。

 

 そんな思い込みから始まった引き籠りは、ティーゼリラを立派な引き籠りニート姫へと成長させのだった。



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