506話 終わりよければすべてよし……なわけがない!
「獅子戦吼っ!!!」
レナが放つ極大の斬撃。
それは全てのアイスゴーレムを飲み込み、無に返していく。
抗うことは許されない。
防ぐことも不可能。
そうなることが運命というかのように、十を超えるアイスゴーレムは全て消失した。
複数のアイスゴーレムが放つ魔力が雪に影響して、次々と出現していたのだろう。
原因となるアイスゴーレムを全て討伐して、魔力を断つことで、増援も停止したようだ。
「ふふんっ、やってやったよ!」
レナはドヤ顔を披露するものの、
「なんてことをしてくれるのさ!?」
僕は顔を青くして、こんなことはしたくないのだけど、ついつい怒鳴りつけてしまう。
「な、なにさ。なんで、そんなに怒るの……?」
「怒るというか慌てているというか、ああっ、もう! 今すぐ、ここから逃げないと!」
「なんで? アイスゴーレムなら、ボクが一掃したじゃん」
「アイスゴーレムなんかよりも、もっと厄介なものが……」
ゴゴゴゴゴッ……!
最後まで言い終わらないうちに、地鳴りが聞こえてきた。
「お? なにこれ?」
「雪崩だよっ!!!」
ここは雪山で……
あんな極大の斬撃を繰り出したら、あちらこちらに衝撃が伝わり、雪崩が引き起これてしまう
だからこそ、慎重に戦う必要があった。
そのことはレナもわかっていると思っていたんだけど……
「えっ、雪崩!? やばいじゃん。どうしよう!?」
「レナって、けっこう考えなしなんだね……」
「うぐっ……ご、ごめんなさい」
さすがに反省した様子で、レナはしょんぼりとした。
が、すぐに慌てる。
「うわっ、やば!?」
レナの視線を追いかけると、雪の津波が押し寄せてくるのが見えた。
このままだと、あと1分もしないうちに飲み込まれてしまう。
防ぐことは無理。
逃げることも、もう遅い。
なら……
「迎え撃つ!」
「えぇ!?」
幸いというか、雪の量はそこまでではないと思う。
また雪崩を誘発する恐れはあるものの……
ここで飲み込まれてしまうよりはマシだ。
「……」
剣をしっかりと握り、目を閉じた。
集中。
集中。
集中。
そうして全身に魔力を巡らせて……
それらを一気に解き放つ!
「破山っ!!!」
山を断つ一撃。
それは雪崩を切り裂いて……
「……ふぅ、なんとかなったかな?」
どうにかこうにか、雪崩の方向を逸らすことができた。
「おーっ、すごいすごい! 雪崩って、斬ることができたんだねー」
「そうやって、呑気に言わないように。こうなったのは、誰のせいだと思っているの?」
「ご、ごめんってば。反省しているよ。てへ♪」
あまり反省していなさそうだ。
「じー……」
「え、えっと……」
「じー……」
「……ごめんなさい」
うん、今度こそ反省したみたいだ。
「って……フェイト、あれ、見て!」




