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50話 討伐完了

「神王竜剣術・壱之太刀……破山っ!!!」


 威力重視の剣技を、地面に向けて放つ。

 ついでに言うと、剣を横にして、刃の腹で地面をすくい上げるようにして放つ。


 ゴガァッ!


 隕石が着弾したかのように、大量の土砂が舞い上がる。

 さらに、地中に埋もれていた石が吹き出して、矢のごとく飛ぶ。


 それらはゼフィランサスを飲み込む。


「キィイイイゥ!?」


 土と石のカーテンが直撃して、ゼフィランサスが悲鳴をあげた。

 直接的なダメージは少ないだろう。

 たぶん、驚いただけだと思う。


 でも、それで十分。

 敵は僕の姿を見失い、混乱している。


 この隙、逃すつもりはない。


「いっけー、フェイト!」

「うん!」


 リコリスの応援を受けて、一気に突撃した。


 蔦の迎撃が繰り出されるものの、その狙いは甘い。

 土と石のカーテンを浴びたことで、集中することができないのだろう。


 避けて、あるいは斬り。

 道を作り、ゼフィランサスに接近した。


「もう一回……破山っ!!!」


 ゼフィランサスの巨体を断ち切るため、ありったけの力で剣を振り下ろした。


 ザンッ!!!


 人型の部分を叩き潰す。

 巨体が仰け反り、そのまま地面に倒れた。


 しかし、死んだわけではないらしい。

 地面に倒れているものの、その状態でのたうち回り、蔦を暴れさせている。


「すごい生命力だね……」

「SSランクとなれば、あれくらい普通よ。頭消し飛んでも再生するヤツもいるって聞くし、まあ、再生しないだけマシじゃない?」

「とんでもない相手だね」


 でも、そういう連中と渡り合えるようにならないと、ソフィアの足を引っ張ってしまう。

 それはイヤだ。


「なら、何度でも……」

「フェイト! 下!」

「っ!?」


 リコリスの声で、咄嗟に横に跳んだ。

 直後、蔦が槍のように生えてきて、さきほどまでいた場所を貫く。


「うっわ、あぶな」

「やられたフリをして、こっそりと攻撃の機会を伺っていたんだ……それなりに知恵もある、っていうことか。油断はできないね」


 僕の方が有利、という考えは捨てた。

 気を引き締める。


 もう一度、破山を叩きつければ、たぶん、倒せると思う。

 ただ、今の一撃で距離が開いてしまった。

 ゼフィランサスは防御に徹している様子で、蔦を不気味にうごめかせている。


 もう一度、土と石を浴びせるか?

 でも、知能は高いみたいだから、同じ攻撃が通じるかどうか。


 なら……


「これだ!」


 雪水晶の剣を鞘に戻して、再び別の剣を手に取る。

 そして、それを……おもいきり投擲した。


「ッ!?」


 武器を矢の代わりに使うという戦い方に、ゼフィランサスが驚いたように体を震わせる。

 なまじ知能があるせいで、動揺しているのだろう。


 ゼフィランサスは蔦をぐるりと回転させて、迫りくる剣を叩き落とす。

 でも、それは予想通り。


 僕は、さらに二本目、三本目を投擲する。


「キィ!」


 ゼフィランサスは驚きつつも、全ての剣を蔦で防いだ。

 残りは、雪水晶の剣、一本。

 さすがにこれは手放さないだろうと、そう思っているだろう。


 だから……これも投擲した。


「ギギッ!?」


 狂ったか?

 ゼフィランサスは、そう言っているかのようだった。


 雪水晶の剣の軌道は、ゼフィランサスの巨体の横、少し離れたところを通る。

 これならば当たることはない。

 そう判断して、ヤツは蔦で防ぐことをやめた。

 代わりに、武器をなくした僕を狙うのだけど……それこそが、致命的なミスだ。


「ふっ!」


 前かがみに、地面を這うようにして駆ける。

 ゼフィランサスの蔦をかいくぐり、その巨体の横をすり抜けて……

 投げた雪水晶の剣に追いつく。


「キャッチ!」

「うっそぉ……自分で投げた剣を自分で取るなんて、ありえないでしょ……」


 リコリスが驚いていたけど、今は後回し。

 これで、完全にゼフィランサスの虚を突くことに成功した。


 後ろに回り込み、雪水晶の剣を上段に構える。


 そして……


「破山っ!!!!!」


 横に薙ぐ。

 残された本体部分が上下に分かたれて、さらに、爆発したかのように吹き飛ぶ。


 土煙が舞い上がり、視界が塞がれる。

 もしもゼフィランサスが生きていたら、かなり致命的な状況だ。


 でも、その心配はしていない。

 僕は落ち着いて、雪水晶の剣を鞘に収める。


 それと同時に土煙が晴れて……

 今度こそ、絶命したゼフィランサスの姿が見えた。


「討伐完了」

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こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 上段から横に薙ぐに違和感。 頭上にある剣を横に振っても力入らないし、当たらないのでは? 上下に切り分けてるから袈裟斬りにした? 上段霞の構えから横一文字かな? どんな動きなのかイメ…
[気になる点] 冗談(上段の誤字?)に構える⇒横に薙ぐ 振り下ろすのではなく?
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