484話 デート・その2
「そろそろお腹が減ってきたね」
いくつかの店を回り、旅に必要な物を補充して……
しばらくしたところで、レナがお腹に手をやりつつ、そう言う。
「確かに……いい時間だね」
太陽は、ちょうど頭上に位置していた。
そろそろごはんの時間だろう。
「どこかで食べていこうか。レナはなにが食べたい?」
「んー……洒落たレストランで豪華なコースランチ!」
「……ごめん、お金が足りないと思う」
「あれ? 優勝賞金は?」
「えっと……大半はソフィアに預けたよ」
奴隷をやっていたから、体力的なことには自信がある。
ただ、学を得る機会はなかったので、そこは自信がなくて……
賞金はソフィアが管理した方がいいだろうという結論になり、九割を預かってもらった。
「もったいないことをするねー」
「僕が持っていても、使い道がないからね。ソフィアに管理してもらった方がいいよ」
「ボクが管理しようか?」
「……レナはちょっと心配かな」
「えー、なにそれ。ぶー」
ごめんなさい。
でも、日頃の行動を見ていると、ちょっと心配が……
「だから、もうちょっと安いところにしてもらえると」
「ふふ、冗談だよ。ボクは、フェイトと一緒ならどこでもいいかな? それこそ、そこらの露店でもいいよ」
「それは極端じゃない?」
「フェイトが一番なの」
ちょっと照れてしまう。
「美味しい食堂を街の人に聞いてみようか」
「オッケー♪」
――――――――――
「はぁー……美味しかったぁ♪」
「うん、そうだね」
街の人に教えてもらった食堂は、とても美味しいところだった。
たくさんの人がいて、とても賑やかなところ。
落ち着いて食事をするには不向きなところだ。
でも、逆に言うと活気があって楽しい。
料理も美味しいだけじゃなくて、ボリュームたっぷりだ。
それに一般的な料理から聞いたことのない料理まで扱っていて、何度も行きたいと思わせる魅力があった。
「食後の散歩をしよ」
「いいよ」
「食べた後は軽い運動をしないと、太っちゃうからね」
……やっぱり、体重は色々と気にしているのかな?
「フェイト」
「え」
「今、なにを考えていたのかなぁ……?」
「な、なんでもないよ」
レナの笑顔に恐ろしいものを感じて、軽く体が震えた。
乙女に体重の話は禁句。
話だけじゃなくて、思うことも禁止だ。
よし、気をつけよう。
でないと、とんでもなく大変なことになりそうだ。
「あー、楽しいなあ」
散歩をして、街を見て回り……
レナは笑顔だった。
ただ、その笑顔にどこか影が見える。
「……ねえ、レナ」
「ん? なに?」
「えっと、その……なにか悩みごと?」
「……どうして?」
「そう見えたから」
「くふふ。フェイトは、ボクのこと、ちゃんと見てくれているんだね。惚れた? 惚れた?」
「ごまかさないで」
「……はぁ。ごまかせないか」
レナはため息をこぼす。
それは、悩みごとがあると認めたようなものだった
◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
再び新連載です。
『堕ちた聖女は復讐の刃を胸に抱く』
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