表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
475/520

474話 VSソフィア・その3

「ぐっ……うぅ!!!」

「なっ……フェイト!?」


 痛みを無視して立ち上がり、無防備に近づいてくるソフィアに木剣を向けた。


「まだ……終わって、いないよ……」

「し、しかし、その怪我では……」


 ある程度、こちらの怪我の状況を正しく推察できているのだろう。


 ソフィアは戸惑い……

 審判を見た。


 その視線を受けて、審判が僕を見る。


「まだ続けられますか?」

「はい」


 しっかりと答えると、審判は後ろに退いた。

 試合続行、という意味だ。


 よかった。

 ここで止められる可能性もあったから、そうならなくて助かった。


「……」


 ソフィアはとても苦い顔をして、


「……その怪我で、まだ続けるんですね?」


 渋々という様子で木剣を構えた。

 絶対に退かない、という僕の意思を感じ取ってくれたのだろう。


 戦いを続けてくれることは嬉しいけど……


 でも、うん。

 ちょっと舐めすぎじゃないかな?


「もちろん」

「なっ……」


 仕切り直しの合図なんてものを待たず、僕は前に出た。


 ちょっと卑怯だけど、手段を選ぶつもりはない。

 そもそも、まだ試合中だ。

 審判もそれを認めている。


 気を抜いているのはソフィアの方、ということで自分を納得させる。


「はぁっ!」

「くっ、速い……!?」


 上段からの一撃。

 さすがというか、不意をつかれていたはずなのに、ソフィアは防御をしっかりとこなしていた。


 ただ、余裕はあまりない。

 即座に反撃が飛んでこないのがその証拠だ。


 さらに前に出た。


 右から左へ。

 そこで返して、右に戻して……

 そこから斜め左上に跳ね上げる。


 あらゆる角度からの攻撃。

 自分で言うのもなんだけど、それなりに良い変幻自在の攻撃なんだけど……


 やっぱりというか、ソフィアは全て防いでいた。


 でも、反撃はない。

 カウンターを繰り出す余裕がないわけじゃなくて……

 どうして僕がここまで動くことができるのか? と疑問に思い、なかなか行動に移ることができないでいるようだ。


「本当に怪我をしているんですか……? 私の見当違い……?」

「さて、どうだろうね」


 ハッタリは大事。

 僕は不敵に笑ってみせた。


 でも、内心、泣いていた。

 痛い痛い痛い、ものすごく痛い。

 体を動かす度に、脇腹に耐え難い激痛が走る。

 無理をしているから、ヒビだけじゃなくて、ちょっと折れてきたかも。


 だけど……うん。


 これくらいなら我慢することができる。


 ソフィアは忘れているかもしれないけど、僕は、元奴隷だ。

 死ぬような目に何度も遭ってきたし、今以上に酷い目に遭っていたこともたくさんある。


 だから、痛いは痛いけど、耐えることはできる。

 そこが僕の強みだ。


◆ お知らせ ◆

新連載です。

『ネットゲームのオフ会をしたら小学生がやってきた。事案ですか……?』


https://ncode.syosetu.com/n6423iq/


こちらも読んでもらえたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
さらに新作を書いてみました。
【おっさん冒険者の遅れた英雄譚~感謝の素振りを1日1万回していたら、剣聖が弟子入り志願にやってきた~】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[良い点] ソフィアに後で「もう、あんな無茶しちゃだめです!」って後で怒られるんじゃないかな〜
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ