455話 予選終了
『はい、そこまで! これにて、予選を終了します!』
……と、いう感じで。
僕、ソフィア、レナは無事に予選を突破した。
僕は最後の三人まで残り……
ソフィアとレナは、自分以外全てを吹き飛ばす勢いで暴れていたため、審判が慌ててストップに入っていた。
うん。
やりすぎだからね?
「フェイト、フェイト! ボクの活躍、見てくれた?」
「いいえ。フェイトは、私の活躍を見ていましたよね?」
「えっと……僕は僕の予選試合で忙しかったから、なかなか難しくて」
「「……残念……」」
この二人、実は仲が良いのでは?
「おとーさん!」
「オンッ!」
「にゃん」
アイシャとスノウとマシュマロが駆けてきて、そのままタックル。
もとい、抱きついてきた。
「おとーさん、かっこいい! すごい!」
「ありがとう、アイシャ」
「えへへー♪」
「アイシャちゃん、私は?」
「おかーさんも、かっこいい!」
「ボクは?」
「えっと……怖い?」
「ボクの感想だけおかしくない!?」
「いや、仕方ないでしょ。あんた、対戦相手を笑いながら吹き飛ばしていたもの」
リコリスが呆れたように言う。
それが真実なら、レナは言い訳のしようがない。
「とにかく、みんな、予選突破だね」
「本戦は3日後だっけ?」
「うん。2日に分けて開催されるみたいだよ……って、さっきそう説明を受けたよね?」
「ボク、人の話を聞くの苦手で」
気まぐれな猫みたいだ。
「開催まで時間があるので、敵情視察をしましょうか」
「いいえ、それは違うわ!」
リコリスが反論を入れる。
「なによりもまず、やるべきことがあるでしょう!?」
「なんですか、それ?」
「予選突破おめでとうー! の祝勝会よ!」
「「「なるほど」」」
ついつい納得してしまう僕達なのであった。
――――――――――
「では、みんなの予選突破をお祝いして……」
「「「かんぱーーーいっ!!!」」」
宿へ戻り、さっそく祝勝会を開催する。
僕達はエール。
アイシャはジュース。
スノウとマシュマロはミルクだ。
「それにしても、三人ともいい調子だったじゃない。これなら、優勝を狙えるんじゃない?」
「そういうことは、あまり大きな声では……」
他の出場者に聞かれていたらトラブルの元になってしまう。
「んー……でも、わりとリコリスの言うことも正しいかもしれませんよ」
「ソフィアまで」
「私のいる予選ブロックでは、気になる人はいませんでした」
「ボクのところでも、これ、っていうような狩りごたえのある人はいなかったかなー」
「それを言われると、まあ……」
僕のいたブロックでも気になる人はいなかった。
ただ、予選ブロックは四つに分けられている。
もしかしたら、残りの1ブロックにとんでもない人が紛れているかもしれない。
だから、優勝決定! なんて考えるのは気が早いのだけど……
「今日くらいはいいよね」
本気で優勝が決まり、なんてことは考えていないけど。
でも、こうしてみんなで楽しい時間を過ごすことは好きだ。
だから、機会があれば一緒の時間を過ごしたい。
「……でも」
もしもライバルになるような人がいないとしたら、たぶん、僕達は順調に勝ち上がることができると思う。
そうなった時、僕は、ソフィアかレナと戦うことになるんだよな。
……勝てるのだろうか?




