453話 予選大会
結局、剣術大会に出場することにした。
出場資格は、年齢を満たして、出場料金を払うことができれば問題なし。
殺傷禁止。
途中辞退をしてもペナルティはなし。
大きなデメリットはないから、参加しても問題はないという結論に。
僕、ソフィア、レナで登録をして……
そして、ほどなくして予選大会が開かれることになった。
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『さあ、今年もこの時期になりました! 剣術大会! ソラスフィールを守るための英雄を選ぶための神聖な儀式……ではあるのですが、現在はお祭り的な要素もあり、たくさんの方々が英雄の誕生をこの目で見ようとしています! 参加者のみなさん、英雄を目指してがんばってください!』
特殊な道具を使い、解説の声が響き渡る。
予選会場である広場に移動すると、周囲に観客席が設置されていた。
席のほとんどが埋まっている。
大人気だ。
それと、その近くに露店がたくさん。
ソラスフィールの商人は、チャンスを逃さないしっかりとした人達みたいだ。
「まずは予選ですが、どのような内容なのでしょうね?」
「戦うことは間違いないでしょ。ふふん、全部なぎ倒そうっと」
ソフィアは落ち着いているものの、でも、闘気が隠しきれていない。
レナは、とても楽しそうに、わりと物騒なことを口にしている。
僕だけじゃなくて、ソフィアとレナも参加することになった。
優勝を目指すのなら、少しでも可能性を高くしたいからね。
「おとーさん、おかーさん。がんばれー!」
「負けたら承知しないわよー!」
「オンッ!」
「にゃー!」
アイシャ達の応援が飛んできた。
見ると、観客席の脇にアイシャ達の姿が。
アイシャはスノウに乗り、リコリスはアイシャの頭に乗り。
それと、マシュマロはスノウの頭の上に乗っている。
……スノウ、大丈夫かな?
「君達ならやれるさ、期待しているよ」
ライラからも声援が飛んできた。
うん、がんばらないと。
『では、そろそろ予選を開始します。参加者の方は、事前に配られたカードの表記に従い、担当の場所に移動してください』
幸いというか、僕達は予選でぶつかることはない。
「フェイト、がんばってくださいね」
「うん。ソフィアとレナもがんばって」
「任せて! フェイトの愛があれば楽勝さ」
「それは私のものです」
「あはは……」
大丈夫かな?
ちょっと不安になりつつ、それぞれ、担当の場所に移動した。
僕は、予選会場の北にある、簡易リングで戦うことになる。
簡易リングはとても広く、大人数のスポーツができるほどだ。
いったい、どんな予選なのだろう?
『みなさん、配置につきましたか? では、これよりルールを説明します』
少ししたところで解説者の声が響く。
『予選のルールは、至って簡単。同じリングにいるライバル達と戦い、そして生き延びるバトルロワイヤルです! みなさんには、各リング、三人だけになるまで戦って戦って戦い抜いてもらいます!』
「シンプルだけど……ちょっと厄介だな」
周囲を見ると、100人くらいの参加者がいた。
一つのリングでこれだけの人数がいると、乱戦必須。
かなりカオスな状況に陥るかもしれない。
『ルールは事前に伝えた通り、刃のついた武器は禁止。こちらが提供する、木製の武器だけを使ってもらいます。剣術大会なので、もちろん魔法も禁止。それと死に至るような過剰な攻撃も、もちろん禁止です。これは失格となるだけではなくて、逮捕されることもあるので注意してください』
その後、いくらか細かいルールが伝えられて……
『では……予選試合、開始ぃっ!!!』
剣術大会、予選が始められるのだった。