447話 獣人研究家、再び
ライラ・イーグレット。
メガネをかけた幼い子……に見えるけど、れっきとした大人だ。
そして、獣人に関する研究をしている。
以前、とある街で知り合い、その知恵を借りたことがあるんだけど……
まさか、こんなところで再会するなんて。
「やあやあやあ、久しぶりだね! 元気にしていたかい?」
「あ、うん。ライラこそ元気そうだね」
「研究家は健康が一番だからね。不健康になってしまったら、大好きな研究が続けられないからね。はっはっは」
以前、出会った時よりも元気に明るくなっているような気がした。
学問の街にいることで、いつもよりテンションが上がっているのかな?
研究家としての性なのかもしれない。
「せっかくだから、一緒してもいいかい?」
「あ、はい。どうぞ」
「お邪魔するよ」
ライラが席についた。
キョロキョロと周囲を見る。
「ところで、剣聖や獣人の子は……」
「今は別行動中ですよ」
「そっか……そうなんだ、はぁ……」
ものすごく落ち込んでいた。
この人、獣人のことが好きすぎやしないかな?
「まあ、いいや。久しぶりの再会に乾杯しようじゃないか」
「あんた、お金ないとか言ってなかった?」
「……一杯でいいからおごってくれないかい?」
「妖精にたかるとか、どんだけプライドないのよ……」
「まあまあ。それくらい構いませんよ。ちょうど、聞きたいこともあるので」
「やった、ありがとう!」
ライラは笑顔で注文をした。
エールだけじゃなくて、ソーセージとポテトのセットも楽しんでいたけど……
まあ、いいか。
「いやー。それにしても、こんなところで再会するなんて、本当に奇遇だね。この縁に感謝したい!」
「あれから元気にやっていましたか?」
「そうだね。元気、元気。今日もがんばって獣人の研究を続けているよ、はっはっは!」
「ねえ、フェイト」
レナが、この人だれ? という感じでこちらを見た。
ちゃんと紹介をしたことはないか。
「この人は、ライラ・イーグレットさん。獣人に関する研究をしている人だよ」
「よろしく、ライラ・イーグレットだ。ライラちゃん、って呼んでくれてもいいよ」
「オッケー」
ライラちゃんとは呼ばないようだ。
それから互いに近況を話して。
世間話に花を咲かせて。
楽しい食事を過ごしていく。
特別親しいっていうわけじゃないけど……
それでも、久しぶりに会うと話が弾む。
「ところで、君達は、どうしてこんなところに来たんだい? なにか知りたいことでも?」
「ちょっとした問題というか、うーん……やっぱり問題かな? まあ、知りたいことがあって」
「せっかくの縁だ。私でよければ力になるよ。まあ、獣人以外のことはさっぱりだけどね、はっはっは!」
相変わらずだった。
でも、変わりないようでなによりでもある。
とはいえ、マシュマロのことを簡単に話してもいいものか。
少し迷う。
「どうすんの? 前も思っていたけど、けっこう口軽そうよ」
「本当に大事なことは、黙ってくれてると思うんだ。アイシャのことも、誰にも話していないみたいだし」
「ライラ・イーグレットといえば、同盟でも話題になっていたよ。研究を進めるために拉致っちゃおうか♪ なんて話もあったし」
「可愛く恐ろしいことを言わないでよ」
三人でこそこそと話し合い……
結論が出て、ライラに向き合う。
「ちょっとしたお願いというか、協力してほしいことがあるんだけど、今、時間は?」
「問題ないよ。ここには、知識を広めるために来ただけで、特にこれといった目的はないからね」
「なら……最初に約束してくれないかな? これからする話は、絶対に秘密にすること。そうすいれば、もっと良いことがあると思うよ」
「んー……
ライラは少し考えて、小さく頷いた。
「オッケー。約束するよ、他言無用だね?」
「うん。なら……」
僕達は、マシュマロについての話をした。




