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430話 思わぬ苦戦

「はぁあああっ!!!」


 ナナカに向けて突撃して、剣を振る。

 刃は寝かせて、腹で叩く。


 甘い、って怒られるかもしれないけど……

 できるなら、ナナカを傷つけたくない。

 必要以上の傷を与えることなく無力化したい。


 ……ただ、それは本当に甘い考えだったのかもしれない。


「そのような攻撃は届きませんよ」

「えっ」


 刃がナナカに届く直前、ギンッ! と甲高い音がした。

 剣が弾かれて、体勢も崩してしまう。


 なにもないはずなのに。

 いったい、なにが……


「フェイト! あいつ、魔力の鎧をつけているわ」

「魔力の鎧?」

「魔力を編んで、鋼鉄よりも固い、強固な守りを作ることができるの。生半可な攻撃は通じないわよ」

「そんなものがあるなんて……」

「防御だけじゃなくて、攻撃にも注意して! あの女は……って、来る!」


 リコリスの緊迫した声。

 その理由を説明するかのように、ナナカが手を掲げた。


 そこに雷が落ちて……

 バチバチと放電しつつ、紫電がナナカの手の平の上に滞空する。

 そして、それをこちらに向けた。


「うわっ!?」


 カッ! と光る。

 世界が一瞬、白に染まり……

 次の瞬間、雷が駆け抜けていた。


 見えていたわけじゃない。

 適当に跳んで避けることができたのは、ただ運が良かっただけだ。


「すごいですね、今の魔法を避けるなんて」

「とんでもない魔法を使うんだね……」

「ふふ、まだまだですよ。今まで見せたのは、私の力の一端にすぎませんから」


 ナナカは妖しく笑う。


 今度は両手を広げた。

 その先に冷気が集まり、氷の粒が生成されていく。


「このようなこともできますよ」

「くっ」


 矢のごとく、氷の粒が高速で射出された。

 ガガガッ! と地面を削る。

 僕達も削れてしまいそうになり、慌てて攻撃範囲内から逃げる。


「ちょっとフェイト、さっきから押されてばかりじゃない! 反撃よ! ウルトラミラクルフェイトスラッシャーを繰り出すのよ!」

「なに、それ!? そんな技、使えるようになった覚えはないんだけど!」

「あたしが今、考えた!」

「無茶苦茶言わないで!」


 どうでもいいやりとりをしつつ、さらなる魔法を放つナナカから逃げ回る。


 炎、雷、氷。

 さらに、大地を隆起させたり、風の刃を飛ばしたり、芸が豊富だ。

 多種多様な攻撃が連続して、なかなか近づくことができない。


「魔法使いとの戦いって、こんなにも大変なものだったんだ……!」


 色々な相手と戦ってきたものの……

 本格的な魔法を使う相手は、ナナカが初めてじゃないだろうか?


 だからこそ、戸惑う。

 経験の薄さが露呈してしまう。


 どれだけの距離をとれば安全なのか?

 どのようにして攻撃を判断すればいいのか?

 相手の得意な距離、不得意な距離は?


 どうやって戦えばいいかわからない。

 僕の中で、対魔法使いの戦術が確立されていないのだ。

 だからこそ、どうしていいかわからなくて、迷い、困惑して、こんなにも押されてしまう。


 これ、手加減とか考えている場合じゃない。

 とにかく、がむしゃらに、全力でいかないと、あっという間にやられてしまう。


「どうするの、フェイト!?」

「とにかく、隙を探してみるよ」


 逃げ回りつつ、ナナカの隙を探る。


 剣士であれ魔法使いであれ、戦い方の癖はあるはずだ。

 そして、隙もある。


 それをうまく見つけることができれば、どうにかこうにか付け入ることも……


「豪炎よ、汝の力をもって、我の敵を共に打ち倒そうではないか」

「うわっ……」


 隙なんてない。

 そう言うかのように、ナナカは巨大な炎球を生み出した。


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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
さらに新作を書いてみました。
【おっさん冒険者の遅れた英雄譚~感謝の素振りを1日1万回していたら、剣聖が弟子入り志願にやってきた~】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[気になる点] ウルトラミラクルフェイトスラッシャー 是非、フェイトの必殺技として正式採用をw
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