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424話 事件は加速度的に進んで……

 部屋に戻ると、ソフィア達が戻っていた。

 そこで情報共有をする。


 話を聞いたソフィアとレナは、なぜか極上の笑顔を浮かべ、剣を手に取る。


「ちょっと出てきますね」

「同じく」

「えっと……ふたりとも、なにをするつもり?」

「「泥棒猫を斬る」」


 ソフィアとレナはマジだった。


「いやいやいや、待って!?」

「待ちません。フェイトにチャームをかけようとするとは……断じて許せません!」

「そうだよ、フェイトはボクのものなのに!」

「誰が誰のものですか?」

「フェイトはボクのもの」

「……まず先に、あなたと決着をつけないといけないみたいですね」

「ふーん……やる?」


 二人は睨み合い、バチバチと火花を散らす。


 別の方向に気が逸れてくれたみたいだけど、よかった、というべきかな?


「とりあえず、落ち着いて。僕はなんともないから」

「なにもなければよし、なんてことは言えませんよ」

「チャームをかけてくるとか、明らかな敵対行動だからね」

「それはそうなんだけど……まだ、ナナカのやりたいことが見えてこないんだ」

「フェイトが目的なんじゃないの?」


 リコリスが僕を指さした。


「本当に一目惚れしたか、そこは知らないけどねー。でも、なんかフェイトに執着しているみたいだから。自分のものにしたいとか、強い手駒が欲しいとか。そんな感じじゃない?」

「うーん……その可能性はあると思うんだけど」


 でも、ちょっと違うような気がした。


 リコリスの言う通り、ナナカは僕を欲しているのかもしれない。

 でも、その先は?

 僕を得た上で、なにを成し遂げようとしているのか。


 そこが気になる。


「……もしかして、マシュマロでしょうか?」


 ソフィアが、アイシャとスノウとじゃれるマシュマロを見て、ぽつりと言う。


「街の近くに現れた魔物の討伐。しかし、ケルベロスだけではなくてマシュマロがいた。今にして考えると、偶然で片付けるには、ちょっとおかしいような……」

「僕を手にして、マシュマロを手に入れようとしていた?」

「というよりも、その……手にかけようとしていたのではないか、と」


 アイシャの手前、ソフィアは小さな声で言う。


「ナナカさんにとって、マシュマロは敵のような存在。だから、倒しておきたい。本当は、街の近くに現れた魔物というのは、ケルベロスではなくてマシュマロのことを指していたのでは?」

「なるほど……」

「ですが、マシュマロは私達が匿ってしまった。もちろん、討伐報告も目撃報告もあげていない。焦れたナナカさんは、フェイトを手駒にして、直接、自分が動こうとした」

「まー、話の辻褄は合っているね。なんでそんなことをするのか? ってところは、さっぱりだけど」


 レナの言う通り、ナナカの目的が見えてこない。


 今の推測が正しいとして……

 いったい、なにがしたいんだろう?


 わからない。

 わからないけど、このまま放っておいたら取り返しのつかない事態に陥るような気がした。


「フェイト、どうしますか?」

「……」


 考える。

 少しして口を開いた。


「こうなったら、ちょっと危ない橋を渡ることにしようか」




――――――――――




 夜。

 誰もが寝静まったような時間に、僕は屋敷の中をこっそりと忍び歩いていた。


 目的地は、ナナカの執務室。

 そこを調べることで、彼女の考えを知ることができるかもしれない。


 もちろん、見つかったらアウトだ。

 言い訳もできず、投獄されてしまうかもしれない。


 でも、その危険を犯してでも動かないといけないと思った。


「ふぅ……なんとか到着」


 誰にも見つかることなく、ナナカの執務室に入ることができた。

 さっそく机を調べて、書類などを見て情報を探していく。


 そして……ほどなくして、その情報に行き着いた。


「これは……聖獣の記録?」


 ただし、記されていたのはアイシャやスノウなどではなくて、マシュマロだった。

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
さらに新作を書いてみました。
【おっさん冒険者の遅れた英雄譚~感謝の素振りを1日1万回していたら、剣聖が弟子入り志願にやってきた~】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[良い点] 作者様、あの喧嘩っばやい二人をなんとかしてください。 街がそのうち被害が出ちゃいますよ。 ソラとルナみたいな雰囲気に似てるなあこりゃ。
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