表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
411/520

410話 新しい依頼

「フェイトさまは、先日、王都で起きた事件を解決に導いた方ですね?」

「それ……」


 事件のことは隠していない。

 というか、あれだけの大立ち回りをしたのだから、隠すことは難しい。


 でも、王都から離れたこの街で僕のことを知る人はいない。

 わざわざ調べないといけないんだけど……


 ナナカは、この短時間で僕の……いや。

 僕達のことを調べ上げたようだ。

 ただのお嬢様と侮ってはいけない。


「うん、そうだよ」

「やはり」


 ナナカは嬉しそうに手を合わせる。


「英雄様にお会いできて光栄ですわ」

「英雄なんて、そんな……」


 あれは僕だけの力じゃない。

 ソフィア、リコリス、アイシャ、スノウ、レナ。

 クリフ、エリン、騎士団、冒険者のみんな。


 たくさんの人がいたからこそ災厄を退けることができた。


「僕は、そんな大層なものじゃないよ」

「ですが、恐ろしい怪物と戦い、生き残ったのでしょう? フェイト様はそれだけの力があると思っていますわ」

「それは……まあ」


 否定できない。

 そこも否定したら、謙遜じゃなくて嫌味になりそうだ。


「なので、そのようなフェイト様に、ぜひお願いしたいことが」

「……それは、冒険者である僕達に対する依頼?」

「はい。そう捉えていただいて構いませんわ」

「……告白とは別?」

「それは別ですわ。告白に関しては、また後日、返事をお聞かせいただければ♪」

「まあ、そういうことなら、とりあえず話くらいは」


 無下に断るのもなんだと思い、話を聞くことにした。

 ナナカの話によると……


 最近、オーシャンホエールの周囲の魔物が増えたらしい。

 それだけではなくて、見たことのない新種が確認されているとか。


 冒険者ギルドに依頼を出しているものの、なかなか解決されない。

 それどころか、返り討ちに遭う冒険者も出る始末。


 困り果てたところに僕達が現れて……

 という流れだった。


「魔物が増えて、それに新種か……」

「領主の娘としてどうにかしなければいけないのですが、なかなか……幸い、まだ被害はありませんが、それも時間の問題です」

「そういえば、領主様は?」

「父は今、王都へ赴いています。先の事件で、色々と協力を要請されて……」

「なるほど」


 だから、ナナカが代理としてがんばっているのか。

 街の外に出ていたのも、他の街に協力を要請していたからだという。


「うーん」


 話を聞くと、けっこう困っている様子だ。

 このまま放置したら大変なことになるかもしれない。


 協力したいけど……


 ただ、依頼は別として、オーシャンホエールという街を楽しみたい、っていう気持ちもあるんだよね。

 だからこそ、観光で有名なここにやってきたんだし。


 まあ……


 依頼を片付けて、それから遊べばいいか。


「基本、引き受ける方向で行きたいけど、でも、一度みんなで相談してもいい?」

「はい、もちろんですわ」

「うん。じゃあ、相談してから答えを出す、っていうことで」


 そんな感じで話がまとまる。


「リコリスは……」

「はぐはぐはぐっ」


 食べることに夢中で話を聞いていない。


「アイシャとスノウは……」

「ふぁ?」

「オフゥ?」


 話は聞いていたみたいだけど、よく理解できなかったみたいだ。

 仕方ない。

 後でゆっくり丁寧に説明しよう。


 ……ソフィアとレナにも説明しないと。


「では、今はお食事を楽しみましょう」

「うん、そうだね」

「それと、よろしければフェイト様の冒険のお話などを……」

「おとーさん、すごくかっこいい!」

「あら、そうなのですか?」

「うん!」

「では、アイシャさんのお話を聞かせてください」

「むふー」


 ナナカは優しい顔でアイシャと話をする。

 こうしていると姉妹みたいだ。


 ちょっと歳は離れているけど……

 アイシャの友達になってくれないかな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
さらに新作を書いてみました。
【おっさん冒険者の遅れた英雄譚~感謝の素振りを1日1万回していたら、剣聖が弟子入り志願にやってきた~】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ