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403話 約束と誓い

 数時間かけて、ようやくモデルの仕事が終わった。

 途中、何度か休憩を挟んだものの、けっこう疲れた。


「ふぅ」


 誰もいなくなった式場で、僕は一人、キラキラのステンドグラスを見上げていた。


 ソフィアは着替え中。

 アイシャ達は疲れて寝てしまい、控え室で休んでいる。


「なんか、夢のような時間だったなあ……」


 モデルの仕事だけど、ソフィアのドレス姿を見ることができた。

 それがとにかく嬉しい。


「でも、いつかは……」


 仕事とかじゃなくて、本当の式を挙げたい。


「フェイト」

「あれ、ソフィア?」


 振り返るとソフィアがいた。

 着替えていたはずなのに、まだドレス姿のままだ。


「どうしたの?」

「私が使っていた控え室は、ちょっと今別の方が使っているみたいで……それまで、私はここで待機となりました」

「そうなんだ、大変だね」

「そうでもありませんよ? こうして、フェイトと二人でいることができますからね」

「え、えっと……」


 ソフィアが隣に並ぶ。


 ドレス姿のソフィアは本当に綺麗だ。

 女神様のようだ。

 誇張表現じゃなくて、心の底からそう思う。


 ドキドキしてしまう。

 ものすごく緊張してしまう。


「ねえ、フェイト」

「う、うん。なに?」

「いつか、こうして式を挙げたいですね」

「ソフィア……うん、僕も今、同じことを考えていたよ」


 恥ずかしくて。

 ちょっと照れてしまうけど、でも、これはしっかりと言っておかないといけないと思った。


「だって……ソフィアのことが好きだから」

「……はい、私もフェイトのことが大好きですよ」


 ソフィアは顔を赤くしつつ、嬉しそうにはにかんだ。


 本当に綺麗だ。

 彼女から目を離すことができない。

 視線と……そして、心を奪われてしまう。


 僕の心を知っているのか知らないのか、ソフィアはこちらをじっと見つめていた。

 その瞳はしっとりと潤んでいるようだ。


「……フェイト……」

「……ソフィア……」


 互いに名前を呼ぶ。

 それから、そっと距離を寄せていく。


 心が惹かれて。

 体も引かれていく。


 そして……


「……ん……」


 二人の距離がゼロになった。


 唇に広がる柔らかい感触。

 温かくて。

 幸せで。

 いつまでも、ずっとこうしていたいと思う。


「「……」」


 ややあって、どちらからともなく唇を離した。


 ソフィアは真っ赤だ。

 たぶん、僕も真っ赤になっていると思う。


「キス……しちゃいましたね」

「うん、そうだね……」

「なんていうか、本当の結婚式みたいです……」

「また今度……そう遠くないうちに、本当の結婚式をしよう」

「……フェイト……」


 ソフィアの手を取り、その顔をじっと見つめる。


「僕と結婚してくれませんか?」

「……はい、喜んで……」


 ソフィアは花が咲くような笑顔を浮かべて、しっかりと頷くのだった。

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
さらに新作を書いてみました。
【おっさん冒険者の遅れた英雄譚~感謝の素振りを1日1万回していたら、剣聖が弟子入り志願にやってきた~】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
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