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399話 まずは準備を

 半日に及ぶ決闘の末、ソフィアが勝利を掴み取った。


 半日も戦わなくても……

 と思うのだけど、本人達にとってはとても大事なことらしく、ツッコミを入れられないほどに真剣な様子だった。


 とにかくも、パートナーが決定した。


 依頼のため、まずは服飾店に。

 ドレスなどはすでに用意されているけど、サイズなどを調整しないといけない。


「いらっしゃいませ」


 店に入ると、オーナーらしき綺麗な女性に迎えられた。


「今日はどのような服をお探しでしょうか?」

「あ、えっと……」

「すみません。私達、クリフの紹介で来たんですが……」

「あら。それじゃあ、あなた達がモデルに?」

「はい」

「ふむ」


 じっと見つめられる。

 女性はソフィアを見て、次いで僕を見る。

 じーっと見る。


 僕を見る時間がやけに長い。

 うぅ……

 もしかして、こんな子供っぽい男がモデルに? と反対されているのかな。


「いいわね」

「え?」

「あなた、とてもいいわ……可愛らしさが前面に出ているものの、その奥に隠された芯の強さ。凛とした瞳に、意思の強さを感じさせられる。体はしっかりと鍛えられていて、しかし、無駄に肉はついていない……あぁ、なんて最高なのかしら!」

「は、はぁ……」


 褒められているのかな?


 ソフィアは、なんでドヤ顔をするの?


「ねえ、あなた!」

「は、はい?」

「結婚式だけじゃなくて、その後も私のところでモデルをやらない?」

「えぇ!?」

「色々な服を着てもらって、私の店の服をアピールしてほしいの。それと、案内用に絵に残して……あ、女性用の服を着るのもありね」


 今、とんでもなく不穏な言葉が聞こえてきたような。


「え、えっと……とりあえず、依頼を先にしたいんですけど」

「あ、それもそうね。みんな!」


 奥から複数人の女性が現れた。


「こちらの方のサイズを測ってちょうだい。私は、この子のサイズを測るわ」

「「えっ」」


 僕とソフィアの驚きの声が重なる。


「待ってください。フェイトのサイズはあなたが測るんですか?」

「ええ、そうよ」

「そんな美味しい役目を他の人に……」

「ソフィア?」

「私がやります! フェイトに堂々と触れるチャンス……ではなくて、私がフェイトのパートナーですから!」

「ソフィア?」


 欲望が漏れているよ?


「でもあなた、きちんと測ることはできるの? こういうのって、適当にやるだけじゃダメなのよ。きちんと正確に測らないとダメ」

「うっ、それは……」

「知識がないならダメ。悪いけど、ここは譲るつもりはないわ」

「フェイトに変なことをしませんか?」

「……しないわよ」


 今の間は!?


「さあさあ、剣聖様はこちらへ」

「ふふ、こんなにも極上の素材がやってくるなんて……」

「測るついでに、色々と教えてさしあげましょう」

「え? え?」


 ソフィアの顔が青くなる。

 僕の心配をするどころじゃないと気づいたらしい。


「さあ、行きましょう」

「みっちりねっとり丁寧に測ってあげますわ」

「ふふ、楽しみね。どんな声で鳴いてくれるのかしら」

「あ、いえ、その……やっぱり私は……」

「「「さあ、行くわよ!!!」」」

「いやぁあああああーーーーー!?」


 ソフィアは引きずられるようにして店の奥に消えた。


 だ、大丈夫かな……?


「それじゃあ」


 がしっと、肩を掴まれた。

 恐る恐る振り返ると、にっこりと笑う女性が。


「私達も仕事をしましょうか」

「え、えっと……はい」


 ダメだ、逃げられない。

 観念した僕は、罠にかかった鹿のような気持ちで頷くのだった。




――――――――――




 その夜。

 採寸を終えてソフィアと合流したけど……

 僕もソフィアもものすごく疲れて、魂が抜けたような顔をしていたけど、互いに深く追求することはしないのだった。

新作始めてみました。

『執事ですがなにか?~幼馴染のパワハラ王女と絶縁したら、隣国の向日葵王女に拾われて溺愛されました~』

こちらも読んでいただけると嬉しいです。

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
さらに新作を書いてみました。
【おっさん冒険者の遅れた英雄譚~感謝の素振りを1日1万回していたら、剣聖が弟子入り志願にやってきた~】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[一言] ある意味 『大人の階段』昇ったのですね? (爆笑) レナだったら上手く捌いたのかな?
[良い点] 号外!号外!! 剣聖のソフィアが遂に陥落! 相手は服屋の女性達!これは大スクープだーー!
感想一覧
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