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398話 ボクを忘れていないかな?

 話がまとまりかけた時、レナが立ち上がり、ストップをかけた。


「そういうことなら、ボクが立候補するよ!」

「え? でも……」

「元黎明の同盟のボクとフェイト……それはそれで絵になると思わない?」

「ふむ。確かにそれもアリかもね」


 クリフが流されていた。


「でしょ? でしょ?」

「勝手なことを言わないでください。フェイトのパートナーは私が務めます!」


 ソフィアがレナをギロリと睨みつける。

 熊も逃げ出すような迫力があった。


 でも、レナは気にすることなく平然としたものだ。


「レナの出番なんてありません。おとなしく引っ込んでいてもらいましょうか。しっしっ」

「むかっ。そういうソフィアの出番こそないんじゃない? ボクの方が『き・れ・い』だから、きっと絵になると思うよ」

「むかっ。あなた、確か歳下ですよね? 以前、ちらりとそういう話を聞きましたが……年上は敬うものですよ。素直に退いてください」

「そっかそっか。確かに、年上は敬わないとだねぇ……お・ば・さ・ん」

「……うふふ」

「……にひひ」


 二人は笑顔で……

 しかし、その裏に壮絶な怒気を隠して、睨み合う。

 バチバチと火花が散る様子が見えた。


「あぅ……」

「キューン……」


 アイシャとスノウは尻尾を丸めてお腹の辺りにやっていた。

 それほどまでに今の二人は怖い。


「……ちょっとフェイト、あれ、なんとかしなさいよ」

「……無茶振りしないで」

「……あんたが相手を決めれば解決するでしょ」

「……それ、僕に生贄になれ、って言っているようなものだよね?」


 今更、僕の言葉で二人が止まるとは思えない。

 止まるとしても、多大な犠牲を払うことになるだろう。


 ……主に僕が。


「いいでしょう……ならば決闘です!」

「受けて立つ!」

「勝った方がフェイトのパートナーになります、文句はありませんね!?」

「ふふーん、けちょんけちょんにしてあげる!」


 二人は不敵な笑みを浮かべて、ギルドの訓練場に移動した。

 ややあって……


 ドガンッ!


 ゴガァッ!!!


 ズガガガガガッ!!!!!


 轟音が連続で響いてきた。

 ジャガーノートが再来したのでは? と思うほどに激しい。


「そりゃそうだよね……剣聖と黎明の同盟の幹部が本気でケンカをしたら、こうなるよね……」

「フェイト、あれ……」

「無理。僕にも、どうにもできないよ」

「そうね……あたし、もう知らない」

「自然災害のようなものだね、きっと」


 リコリスと二人、妙な悟りを開いてしまう。


「あー……相手は変わるかもしれないとして、この依頼、請けてくれるのかい?」


 クリフが困った様子でそう尋ねてきた。


「どうしても?」

「どうしても」


 この状況……断れないか。


「うん、了解。引き受けます」

「よかった、ありがとう」

「でも、本当にモデルの真似はできないよ?」

「いいんだよ。英雄の姿を残したい、っていうのが目的だからね。それを見て、たくさんの人が希望を抱くはずさ」

「英雄……か」


 くすぐったい話だ。


 僕は元奴隷で……

 パーティーにいいように利用されるだけだった。


 それが今は英雄と呼ばれていた。

 その鍵となったのはソフィアだ。

 彼女と再会したことで全てが変わった。


 いや、ソフィアだけじゃないか。


 リコリスにアイシャにスノウ。

 レナにゼノアス。

 クリフやソフィアの両親や、その他、色々な人達。

 たくさんの出会いが僕の経験となって、そして力になっている。


 今は、その出会いに感謝しかない。

新作始めてみました。

『執事ですがなにか?~幼馴染のパワハラ王女と絶縁したら、隣国の向日葵王女に拾われて溺愛されました~』

こちらも読んでいただけると嬉しいです。

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
さらに新作を書いてみました。
【おっさん冒険者の遅れた英雄譚~感謝の素振りを1日1万回していたら、剣聖が弟子入り志願にやってきた~】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[良い点] 作者様、その英雄が私情でギルドの広場を壊しているんですけど、この釈明は何かありますかな?
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