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348話 聖女

 ソフィアとレナは、クリフと一緒に冒険者ギルドを尋ねた。


 エリンとアイシャとリコリスとスノウも一緒だ。

 フェイトの件があるため、宿に残せなかった。


 レナが用意した簡易結界があるため、黎明の同盟に探知されることはないだろう、とのことだけど……

 それでも心配なものは心配で、ソフィアはなかなか落ち着くことができなかった。


 ただ、いつまでもそんな体たらくではいけないと、気を引き締め直してアルマリアとの面会に挑む。


「失礼します」

「ようこそ」


 客間に入ると、一人の女性が迎えてくれた。


 歳は二十代後半だろう。

 芸術品のような美を持ち、異性だけではなくて同性も目を奪われてしまうほどだ。


 静かな笑みを浮かべているからだろうか?

 その身にまとう雰囲気は柔らかく、全てを受け止めるかのように優しい。


 アルマリア・ユーグレット。

 聖女と呼ばれている、冒険者ギルドの幹部の一人だ。


「ユーグレット様。この方達が……」

「ええ」


 アルマリアは一つ頷いて、ソフィア達に視線をやる。


「あなたが、剣聖ソフィア・アスカルト様ですね? はじめまして。アルマリア・ユーグレットと申します」

「ソフィア・アスカルトです。よろしくお願いします」


 二人は握手を交わす。


 ソフィアは、多少は警戒していた様子だけど……

 アルマリアのまったく邪気のない笑顔にやられたらしく、いくらか警戒心を解いていた。


 出会ったばかりの人の心を解きほぐす。

 彼女が聖女と呼ばれている所以だ。


「そちらは……」

「あたしは、激ミラクル美少女妖精、スーパースターのリコリスちゃんよ!」

「アイシャ……です。この子はスノウ」

「オンッ!」


 リコリスはいつもの様子で。

 アイシャは人見知りを発揮しつつ、ソフィアの影に隠れつつ。

 そして、スノウは元気よく吠えた。


「リコリスさん、アイシャさん、スノウさん、よろしくお願いします」

「……うん」


 アルマリアの優しい笑顔に、アイシャもいくらか警戒心を解いた。

 小さく笑い返す。


「そして……」


 アルマリアの視線がレナに向けられた。

 この時ばかりは、さすがに緊張感が漂う。


「ボクは、レナ。レナ・サマーフィールド。黎明の同盟の元幹部だよ」

「話を聞いてまさか、とは思いましたが……嘘ではないみたいですね。それに、特務騎士団の方も一緒とは……」

「エリンと申します」

「……レナさんが味方についてくれた、というのは信じざるをえませんね」


 アルマリアの表情から険が消えた。

 さきほどまでピリピリと空気が震えていたのだけど、それもなくなる。


「どうぞ」


 アルマリアに勧められるまま、ソフィア達はソファーに座る。


 ソフィアは紅茶を一口。

 リコリスとアイシャとスノウは、クッキーをぱくぱくと食べる。

 こういったものが用意されているところを見ると、色々と気遣いができるのだろう。


「報告はクリフから受けていましたが、なにやら、今はさらに状況が変わっている様子。改めて、事態の説明をお願いしてもいいですか?」

「ええ」


 ソフィアは頷いて、現状を説明した。


 黎明の同盟の本拠地を突き止めたこと。

 目的はわからないものの、なにかしら企んでいること。

 色々な情報を得て……

 しかし、仲間であるフェイトが行方不明になったこと。


 全てを聞いたアルマリアは難しい顔に。


「なるほど、そのようなことに……」

「レナは協力を約束してくれました。特務騎士団も同じです。なので……冒険者ギルドも協力してくれませんか?」

「……メリットは?」

「メリット、デメリットの話をする段階はとっくに過ぎています。ここで黎明の同盟を止めないと、とんでもないことになる……それこそ、王都が壊滅するかもしれません」

「そのようなことは……」

「言い過ぎ、なんて私は思いませんよ? 連中は、それだけの力を持っていますからね。事実、いくつかの街は壊滅の危機に遭いました」

「……」

「協力してください」

「……私は」


 しばらく考えた後、アルマリアはゆっくりと口を開いた。

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
さらに新作を書いてみました。
【おっさん冒険者の遅れた英雄譚~感謝の素振りを1日1万回していたら、剣聖が弟子入り志願にやってきた~】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[気になる点] エリン・リコリス・アイシャ・スノウは、宿にいる筈では? ギルドで挨拶したのは誰?
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