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344話 裏

 ソフィアは、圧倒的な身体能力を持つ剣聖で……

 レナとエリンも、彼女に匹敵する力を持つ。


 そんな三人が本気になって逃走すれば、誰も追いつくことはできない。

 見事にリケンを撒くことに成功した。


「うん、ばっちり。完全に撒いたよ」

「ふぅ……さすがに疲れましたね」

「王都を横断するようなコースでした。街の人々を驚かせていないといいのですが……」

「騎士さんは真面目だねー」

「あなたが適当すぎるのです」


 エリンはレナを睨みつけるが、適当にスルーされてしまう。


「ところで」


 ちょうどいい機会だ。

 そんな感じでソフィアはレナに尋ねる。


「あなたが使う剣術ですが、あれはどういうことですか?」

「どういうことって?」

「神王竜に別の流派があるなんて、聞いたことがないのですが」

「あー……ま、そうかもね。普通は知らないよね」


 どうしようかなー、とレナは少し迷った後、口を開く。


「ま、いいか。リケンにああした以上、もう完全に敵対しちゃったからね」

「その言い方……もしかして、黎明の同盟と関係が?」

「そゆこと。神王竜は、元々、神獣に授けられた剣技なの」

「なっ……!?」


 思いもしなかったことを聞かされて、ソフィアはついつい大きな声をあげてしまう。


「遥か昔、神獣は人間のために剣を授けた。まあ、詳細はちょっと違うけど、そんな感じで……それが聖剣。でも、それを扱うだけの技術がないと、宝の持ち腐れだよね?」

「……だから、扱う術も授けた?」

「そそ。それが、神王竜の始まりなんだよね。で、ボクが使う真王竜は『裏』になるの。復讐を果たすことを目的として、殺傷能力を極限まで高めた剣術」

「なるほど……色々と納得です」


 元々は同じ神王竜。

 対立によって二つの流派に別れ、それぞれ成長を続けていくものの……

 元が同じなので、根本的な技は似ている。


 疑問の一つが解けて、ソフィアは少しスッキリした。


「ということは、黎明の同盟は……その、真王竜とやらを使うのでしょうか?」


 話を聞いていたエリンが、そう質問をした。


「そだね。ボクを含めて、全員、真王竜の使い手だよん」

「それはまた……」

「厄介ですね……」


 エリンとソフィアがしかめっ面に。


 神王竜は国内最強の流派と言われている。

 それに匹敵、あるいは凌駕する剣術を敵が使うとなると、厳しい戦いになるだろう。


 対するレナは、あくまでも気楽な様子だ。


「ま、そこまで深刻にならなくていいんじゃない? 厄介なのはゼノアスだけで、リケンはボクよりちょっと下かな? だから、ボクとフェイトと剣聖……それと、特務騎士団いっぱいでかかれば、なんとかなると思うよ」

「だといいんですけど……」

「というか……フェイトがいれば、大抵のことはなんとかなるかも」

「どういう意味ですか?」


 フェイトは強い。

 地力がとんでもないだけではなくて、剣の才能もあって、驚異的な速度で成長している。


 しかし、まだソフィアやレナには及ばない。

 身体能力はほぼ互角ではあるが、技術は一朝一夕というわけにはいかず、まだまだ。


 そんなフェイトが鍵をにぎるとは、どういうことなのか?


「んー……ボクも確信があるわけじゃないんだけどね。フェイトが持っている剣って、なんか特別な気がするんだ」

「流星の剣が?」

「前に戦った時、なんかこう……魔剣の力が削がれるというか、そんな感じがしたの。もしかしたら、魔剣の天敵なのかも」

「そんなことが……」

「だから、フェイトがいれば、最終的になんとかなると思うんだよねー。逆に、フェイトになにかあったらやばいけど、あっはっは」

「縁起でもないことを言わないでください」


 ソフィアが睨みつけるものの、レナは飄々とした顔だ。

 フェイトになにかあるなんて欠片も思っていないのだろう。


 実際、フェイトは数々の修羅場を潜り抜けてきた。

 たくさんの強敵と戦ってきた。

 それらの全てを乗り越えて、そして、大きく成長している。


 ただ……


「ソフィアっ!!!」

「おかーさん!!!」

「オンッ!」


 運悪く、という事態はいつでもありえるのだ。

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
さらに新作を書いてみました。
【おっさん冒険者の遅れた英雄譚~感謝の素振りを1日1万回していたら、剣聖が弟子入り志願にやってきた~】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
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