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334話 ひっかけてきた!?

 エリンを連れて宿に戻ると、


「「どういうこと!? その女は誰!?」」


 ソフィアとレナに詰め寄られた。


 早朝から女性を引っ掛けてきたように思われたみたいだけど……

 いやいや、そんなことはしないからね?


「二人共、落ち着いて。あと、変な勘違いをしないで」

「私は怪しい者ではありません。私は……」


 エリンが自己紹介をして……


「「……」」


 ソフィアとレナは自分達の早とちりを悟り、落ち着いて、恥ずかしそうに顔を赤くした。


 そうして場が落ち着いたところで、エリンについての深い話をする。

 彼女は特務騎士団に所属していること。

 黎明の同盟と対決姿勢を見せていること。

 そのために協力を求められたこと。


 全部説明したところで、レナが納得顔で頷いた。


「なるほど、お姉さんがあの特務騎士団だったんだ」

「レナは知っているの?」

「かなーり手強い相手で、元部下達も何度も痛い目に遭っているからね。黎明の同盟にとっては、けっこう厄介な相手だったよ」


 すでに小さな争いは起きていたらしい。

 その時のことを思い返しているらしく、レナは苦い顔だ。


「ボクも、まだまだ未熟だった頃、何度か戦ったことがあってねー。いやー、あの時は本気で死ぬかと思ったよ。それくらいやばい相手」


 レナがそこまで言うなんて相当なものだ。


 エリンと特務騎士団。

 頼もしい味方になってくれるだろうか?


「何度か戦った? フェイト殿、そちらの女性はいったい……?」

「えっと……」


 黎明の同盟の元幹部です。

 今は僕達に協力を約束してくれています。


 って言ったら信じてくれるかな……?

 最悪、ここで戦闘が勃発するような……


「彼女は、レナ・サマーフィールド。黎明の同盟の元幹部です」

「ソフィア!?」


 あっさりとバラしてしまい、僕は、ついつい大きな声をあげてしまう。


「こういう大事なことを隠していたら、後で大きな問題になりますよ。下手をしたら共謀していた、騙していた、と勘違いされてしまうかもしれません」

「それは……」

「ならばいっそのこと、どのような事実であれ、最初から打ち明けてしまうのがベストです。それで交渉が決裂するのなら仕方ありません。そして、敵対するというのなら……」


 ソフィアが闘気を放つ。


「特務騎士団であろうと、容赦はしません」

「……ふふ」


 ソフィアの闘気を真正面から浴びているのに、エリンはまるで怯んでいない。

 むしろ、どこか楽しそうにしつつ言う。


「さすが剣聖ですね。アスカルト殿は、とてもまっすぐな方のようです」

「フェイトの方がまっすぐですよ」


 なんで、そこで僕の話になるのだろう?


「ええ、わかっています」

「レナは、まあ、生意気で小憎たらしい泥棒猫ではありますが……」

「なんかボク、ひどいこと言われてる!?」

「フェイトが信じた人です。だから、私も信じます。あなたはどうしますか? エリン・ラグスリート」

「……」


 しばしの間、二人の視線が真正面から激突した。

 火花が散るような迫力はない。

 むしろ静かなもので、とても落ち着いていた。


 だからこそ怖い。

 嵐の前の静けさのように、いつ爆発してもおかしくない気がした。


「「ふふ」」


 ややあって、二人は同時に小さく笑う。


「でしたら、私も彼女を信じなければいけませんね」

「ええ、その通りです」


 なにか通じ合うものがあったのだろうか?

 一気に二人の雰囲気が柔らかくなって、握手も交わしていた。


「なんだろう……?」

「怖い化け物同士、通じ合うものがあったんだねー、うんうん」

「「あなたに言われたくありません」」


 ソフィアとエリンは、同時にレナにツッコミを入れるのだった。


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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
さらに新作を書いてみました。
【おっさん冒険者の遅れた英雄譚~感謝の素振りを1日1万回していたら、剣聖が弟子入り志願にやってきた~】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[良い点] エリン、ひょっとしてステラとも次元の枠を超えて知り合ってたりして。なんて妄想がすぐに浮かぶなあ。
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