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332話 騎士

 翌朝。


「……うーん、あまり眠れた気がしない」


 昨夜遅くまで、ソフィアとレナは争っていた。

 その仲裁で心底疲れて……

 ようやく眠りにつけたのは深夜だ。

 眠れた気がしないのも当然か。


「よいしょ……っと」


 みんな、まだ寝ていた。

 最初に目を覚ましたのは僕みたいだ。


 起こしたら悪いので、そっと部屋を出る。

 そのまま外に出て、朝の新鮮な空気をいっぱいに吸う。


「んーーー……ふぅ。気持ちのいい朝だなあ」


 すでにたくさんの人が外に出ていた。


 僕と同じように、外の空気を吸いに出た人。

 ジョギングをする人。

 仕事の準備をする人。


 王都だからなのか、たくさんの人がいる。

 そして、誰もが笑顔で、今日一日をがんばろうとしていた。


 とても平和な光景だ。

 でも……


「この平和を壊そうとしている人がいるんだよね」


 黎明の同盟にも言い分はあるかもしれない。

 でも、過去の復讐に今を生きる人は関係ないはずだ。

 親の罪が子供に受け継がれるなんて、そんな話、認めたくない。


 だから……


「なんとしても守らないと」


 改めて決意を固めた。


「すみません」


 ふと、声をかけられた。

 振り返ると、見知らぬ女性が。


 歳は……二十代半ばくらいかな?

 凛とした表情と、強い意思を感じる瞳が特徴的な顔だ。


 ショートヘアーの美人。

 街を歩けば、ほとんどの男性がついつい振り返ると思う。


 鎧を身に着けて、腰に二本の剣を下げている。

 ソフィアがそうしているように、予備の剣なのかな?


「突然、失礼します。フェイト・スティアート殿でしょうか?」

「え……あ、はい。そうですけど、あなたは?」

「私は、とある騎士団に所属する者で、エリン・ラグスリートと申します」

「あ、どうもご丁寧に……フェイト・スティアートです」


 丁寧に頭を下げられて、こちらも慌てて頭を下げた。

 なんだか、取り引きをする前の商人みたいだ。


「少し、お時間をいただいてもよろしいでしょうか?」

「えっと……大丈夫です」


 出会ったばかりだけど、なんとなく、エリンは悪い人じゃないと思った。


 話をするくらいなら、と了承する。


「ありがとうございます。では、こちらへ」

「どこか移動するんですか?」

「往来でする話ではないので」

「……わかりました」


 ちょっと迷うけど、やはり了承した。


 ハッキリとした根拠はないのだけど、彼女は信じられるように気がする。

 アイシャのような、純粋な心を感じるんだよね。


「では、こちらへ」


 エリンが先導して、その後をついていって……

 そして、小さな家に到着した。

 部屋にあるのはイスとテーブルなどの最低限の家具だけ。

 殺風景なところだ。


「ここは、私達騎士団が保有するセーフハウスの一つです。普段は利用することがないためこのような内装となっていますが、ご容赦いただければ……」

「特に気にしていません。それで、話っていうのは……?」


 エリンは鋭い表情になり、そっと口を開く。


「黎明の同盟について……です」

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さらに新作を書いてみました。
【おっさん冒険者の遅れた英雄譚~感謝の素振りを1日1万回していたら、剣聖が弟子入り志願にやってきた~】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
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