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325話 思わぬところで思わぬ再会

 クリフ・ランページ。


 とある街で、冒険者ギルドのマスターを務めている。

 スタンピードが起きるという大事件で共闘することになって……

 その後、ちょくちょくとお世話になった人だ。


「やあ、スティアート君じゃないか。久しぶりだね」

「あ、はい。久しぶりです……えっと」


 突然すぎて、うまく言葉が出てこない。

 ぱくぱくと口を開け締めしてしまう。


 たぶん、僕は今、間の抜けた顔をしているだろう。


「あはは、そんなに驚かないでほしいな。まるで、幽霊に会ったような反応じゃないか」

「その……ごめんなさい」

「気にしないでくれ。それよりも、せっかくの再会だ。時間はあるかな? 少し話でもしないかい?」

「あ、はい。喜んで……って、ちょっと待ってもらえますか? その前に、宿を探しておきたいので」

「もしかして、王都にやってきたばかりなのかい?」

「はい。それで、良い宿の情報はないかな、ってここに」

「なるほど……それなら、僕が良いところを紹介するよ」




――――――――――




「ここが、僕のオススメだよ」

「うわぁ……」


 とある宿に足を運び、僕はついつい声をあげてしまう。


 二階建てのわりと大きな宿だ。

 スタンダートに一階は食堂になっていて、二階が部屋になっている。


 掃除が隅々まで行き届いていて、とても綺麗だ。

 それに、花が飾られているからなのか、ちょっと良い香りがする。


 食堂も部屋も広い。

 それでいて、リーズナブルな料金。


「ここに決めました!」

「はは、気に入ってくれたようでなによりだよ」


 まずは10日で三人部屋を取る。

 幸い空室があって、問題なくチェックインすることができた。


 あとはソフィア達と合流するだけだけど、約束の時間にはけっこう早い。

 あまりにも簡単に宿が見つかったからなあ……


「お茶でもしようか」

「はい」


 なので、クリフの誘いを受けることにした。

 それぞれ紅茶を注文して、席に座る。


「それにしても、本当に久しぶりだねえ。元気にしてたかい?」

「はい。今は別行動していますけど、ソフィアも元気ですよ」

「それはよかった。でも、どうして王都に? 観光かい?」

「えっと……はい、そんなところです」


 黎明の同盟の件は、まだ、誰にも話していない。


 というのも、彼らはありとあらゆるところに潜んでいるからだ。

 レノグレイドでも邪魔をされた。

 冒険者ギルドの内部や王国の内部に潜んでいてもおかしくはない。


 下手に話をしたら、間違いなく邪魔をされてしまうだろう。

 あるいは、罠を仕掛けられてしまうか。


 なので、話す相手は慎重に選ばないと。


「そちらはどうしたんですか?」

「近々、冒険者ギルドのマスターによる会合があってね」

「会合……ですか」

「冒険者ギルドの運営方針などを決めるものでね。年に一度、王都で開催されているんだ」

「なるほど」


 クリフは新しいギルドマスターだから、それに参加するために王都にやってきたのか。


「でも……なんか、憂鬱そうな顔ですね?」

「そうなんだよ、聞いてくれるかい?」

「は、はあ……」

「会合といっても、特にやることはなくてね。僕みたいな新参者は特にそうさ。古参連中がすでに決めていることをなぞるだけで、発言は許されていない。形式だけのもの。そんなもののために時間を使いたくないのだけど……まあ、できるなら、そういうものをなんとかしたいからね」


 クリフも色々と苦労しているみたいだ。


 冒険者ギルドの上層部は、なかなか大変なことになっているみたいだし……

 もしも改善することができたのなら、それはとても良いことだと思う。


 がんばって、と心の中で応援する。


「……」


 ふと、思う。


 黎明の同盟の件、クリフになら話してもいいのでは?

 彼は信頼できる。

 それに、きっと力になってくれるだろう。


 ただ、会合とやらで忙しそうだから、どこまで時間を割いてくれるか。

 あと、クリフは信頼できるけど、彼の周囲にいる人はわからない。


 うーん、どうしよう?

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
さらに新作を書いてみました。
【おっさん冒険者の遅れた英雄譚~感謝の素振りを1日1万回していたら、剣聖が弟子入り志願にやってきた~】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[良い点] 久しぶりの再開と言われてますが、クリフという人物はこの話で初登場でしょうかね?
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