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287話 嵐の中の進撃

 嵐の中、僕とリコリスは外に出た。


「ひゃあ!?」

「危ない!」


 リコリスが飛ばされそうになるので、慌てて掴まえた。

 そのまま、ポケットに運ぶ。


「ここなら大丈夫」

「ふぅ、助かったわ。このまま飛ばされてどうにかなったら、世界の損失よ。その時は、今日は、リコリスちゃん喪失記念日として、後世まで語り継がれちゃうわね」


 記念日にしていいの……?


「すごい風と雨だね。歩くだけじゃなくて、目を開けるのも大変かも」


 ゴウッ! と風が吹く度に、体が飛んでいってしまいそうになる。

 その度に足腰に力を入れて、ふんばらないといけない。


 それに、叩きつけるような雨も厳しい。

 目を開けていると雨が飛び込んできて、痛い。


 細目にしないと前を確認することができない。


「ソフィアにもついてきてもらった方がよかったんじゃない?」

「そういうわけにはいかないよ。黎明の同盟の件があるから、アイシャとスノウを二人だけにするわけにはいかないし……」

「いかないし?」

「こんな大変なこと、ソフィアにはさせられないよ」

「でもぶっちゃけ、ソフィアの方が強いでしょ」


 本当にぶっちゃけられた。


 まあ、その通りだ。

 剣聖であるソフィアの方が何倍も強い。


 でも……


「それでも、女の子だから」

「……」

「時代錯誤な考えかもしれないけど、僕は男で……なるべく、彼女を大変な目に遭わせたくないんだ。守れる時は守りたいんだ」

「ふーん」


 リコリスがニヤニヤと笑う。

 そして、小さな肘で小突いてきた。


「なによ。フェイトってば、なかなかやるじゃない。かっこいいわよ。世界のリコリスちゃんが認めてあげる」


 いつの間にか、ワールドワイドになっているリコリスだった。


「見えてきた!」


 嵐の中、ジリジリと前に進んで……

 ようやく川が見えてきた。


 川は荒れ狂う魔物みたいで、轟音を立てていた。

 もしも足を滑らせたら、一瞬で飲み込まれて、戻ってこれないだろう。


「……いるわね」


 ポケットに収まるリコリスが、真面目な顔で川を睨みつけた。

 水神のことを言っているんだろう。


「わかるの?」

「いやーな気配がするわ。集中すれば、フェイトにもわかるはずよ」

「えっと……」


 ゴォオオオッ!!!


「……ごめん。この状況だと、集中するのは難しいかも」

「まったく、仕方ないわねー。このゴッドリコリスちゃんに任せなさい」


 ついには神様に!?


「んー……上流の方から気配を感じるわね」

「上流だね? 了解」


 川沿いに歩いて、上流へ向かう。


 街を出て、さらに三十分ほど歩いて……

 ほどなくして、湖が見えてきた。


 大きな湖で、アクアレイトと同じくらいの広さがある。

 ここが川の起源になっているのかな?


「ここから気配がするわ。油断しないでね」

「うん」


 いつでも剣を抜けるように体勢を整えて、湖に近づいていく。


 川と同じように、湖も激しく荒れていた。

 湖全体がうねり、雄叫びをあげているかのようだった。


 そんな中……


 湖底に大きな影が見えた。

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
さらに新作を書いてみました。
【おっさん冒険者の遅れた英雄譚~感謝の素振りを1日1万回していたら、剣聖が弟子入り志願にやってきた~】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
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