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268話 VS・レナその2

「うあああああぁっ!!!」


 獣のように叫びつつ、レナが突撃をする。


 速い!


 まるで風の化身だ。

 目で追うことができなくて、気がつけば距離を詰められている。


 僕が対処するのは難しい。

 でも……


「甘いです!」


 ソフィアが前に出て、レナの突撃を止めてくれた。


「ありがとう、ソフィア」

「どういたしまして」


 僕ができないことは、素直にソフィアを頼ればいい。

 そして、頼った分、働いてみせればいい。


 それだけのこと。


「破山!」


 ソフィアがレナの動きを止めている間に、横から技を叩き込む。


 レナはちらりとこちらを見た。

 魔剣を右手だけで持ち、再び左手に短剣を抜く。


 ギィンッ!


 左手の短剣をこちらに叩きつけて、僕の剣の軌道を逸らしてみせた。


 やっぱりというか、多対一の戦いに慣れている。

 目が倍あるかのように、正確に戦場を把握していて、隙がまるでない。


 でも……


「負けてたまるもんか!」


 手数を増やしても意味がない。

 そう考えた僕は、攻撃頻度を減らし、代わりに精度と威力を高めた一撃を繰り出していく。


 一方のソフィアは、ひたすらに加速。

 秒間、三撃放つような神業を披露しつつ、ひたすらに手数を増やしていく。


「くっ……!?」


 対称的な攻撃を繰り出されて、レナは苦い顔に。


 僕もそれなりに経験を積んだからわかる。

 こんな攻撃をされると、ものすごくやりにくい。

 レナも同じ気持ちらしく、苛立ちが溜まり、次第に攻撃が荒くなる。


「こんなところで、ボクは……!!!」

「ぐ!?」


 ここに来てレナの剣が加速した。

 それだけじゃなくて、重さも増す。


 まだ全力じゃなかった!?


 そう思うほどの急加速で、一気に戦況を盛り返していく。


 僕とソフィアの二人がかりなのに、それでも押されてしまう。

 それほどの相手……ということ?


 いや、でも……


「ボクは、ボクは……もう二度と負けるわけにはいかないんだ!!!」


 魂を震わせているような、そんな叫び。

 その迫力に押されてしまいそうになる。


「フェイト」

「……あ……」


 静かな声をかけられた。

 ちらりと見ると、ソフィアが優しく笑う。


 言葉はない。

 でも、私が一緒にいます、と言っているかのようだった。


 うん、そうだ。

 僕は一人じゃない。

 ソフィアがいる。

 大好きな人が隣にいる。


 それだけで人はどこまでも強くなれる。


「フェイト!」

「うん。いこう、ソフィア!」


 ソフィアと一緒に前へ出た。

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
さらに新作を書いてみました。
【おっさん冒険者の遅れた英雄譚~感謝の素振りを1日1万回していたら、剣聖が弟子入り志願にやってきた~】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
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