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262話 楽しい

「……」


 剣を突きつけられたレナは、信じられないという様子で目を丸くした。


 そのまま、しばらくの間、呆然として……

 やがて、ニヤリと笑みを作る。


「あはっ」


 小さな笑い声。

 それは哄笑に変わる。


「あはははははっ!!!」


 レナの戦意が膨れ上がる。

 やる気か……?


 距離を取り、剣を構える。


 ただ、レナは剣を抜くことなく、とにかく楽しそうに笑っていた。


「あーもうっ、ものすごくおもしろいんだけど。まさか、そんな風に言われちゃうなんて……ふふ、あははっ。思い出したら何度でも笑っちゃう」

「……」

「ボク、本気でフェイトのことが好きなんだよ?」


 笑顔を消して。

 冷たい表情でレナがこちらを見る。


「っ……!?」


 その瞳は、深い深い闇で満たされていた。

 どれだけの修羅場を潜れば、こんな目ができるようになるんだろう?


「本当に好きなんだけど……」


 ゆっくりと、レナは剣を抜いた。


 魔剣ティルフィング。

 修理は終わっていたらしく、刃には傷一つない。


「ボクの邪魔をするなら、死んでもらうしかないね」

「っ!?」


 強烈な殺気が放たれた。

 質量を感じてしまうほどのもので、思わず、一歩後ろへ下がってしまう。


 って……ダメだ!

 戦う前から気持ちで負けていたら、絶対に勝つことはできない。


 負けるわけにはいかない。

 絶対に!


「……」


 軽い深呼吸をして、乱れた心を落ち着かせる。


 体の震えが止まる。

 呼吸が正常に戻る。


 剣を構えて、レナをまっすぐに見据えた。


「へぇ」


 レナが笑う。

 楽しそうに笑う。

 心底楽しそうに……嗤う。


「この殺気は本物で本気なんだけど……耐えるんだ。耐えるだけじゃなくて、立ち向かおう、って思えちゃうんだ。これに耐えられるのって、あの剣聖くらいだと思っていたんだけど……」

「いつまでもソフィアに守られてばかりじゃいられないから」

「あはっ」


 レナが笑い声をこぼした。


「うんうん、うんうんうん! いいよ、すごくいいよ。ボクの予想をこんなにも上回ってくるなんて……あー、ホントにやばい。もうダメ。今日、絶対にフェイトをボクのものにしてみせるんだから」


 レナも剣を構えた。

 そして、笑みを消す。


「フェイト……ボクのものになって?」


 その問いかけに、僕は……

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
さらに新作を書いてみました。
【おっさん冒険者の遅れた英雄譚~感謝の素振りを1日1万回していたら、剣聖が弟子入り志願にやってきた~】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
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