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259話 はるか昔のこと

「そっか。フェイトは、ボク達、黎明の同盟の目的が知りたいんだ」

「うん。そこを知ることができれば、色々な疑問が解決されるからね」


 魔剣を作る理由。

 ブルーアイランドで事件を引き起こした理由。

 アイシャやスノウを狙う理由。


 黎明の同盟の目的を知ることができれば、それらの疑問が一気に解決されると思う。

 全て、レナ達が起点になっているのだから。


「んー」


 レナが渋い顔に。


「教えてくれないの?」

「ううん、大丈夫。約束したから教えるよ? 目的を教えたらダメ、とは言われてないからね。ただ、どこから話したものかなー、って。ホント、長い話になるから」

「ゆっくりでいいよ。今は時間があるから」

「そっか。なら……」


 レナは、近くにある倒木に腰掛けた。

 そして、隣をぽんぽんと叩く。


「ここに座って、ゆっくり話をしよ?」

「えっと……お邪魔します」


 断るのも失礼かと思い、レナの隣に座る。


「えへへー」

「ちょ」


 いきなりレナが肩に寄りかかってきた。


「な、なにをしているの!?」

「これくらい、いいじゃん」

「だ、ダメだから! ダメダメ!」

「ちぇ、ケチだなー。ま、いいや。そのうち、フェイトの方からしてして、って言うくらい魅了してあげるから」


 にっこりと笑いつつ、レナがそう言う。


 正直、その笑顔はとても魅力的で……

 ソフィアと出会っていなければ、一瞬で魅了されていただろう。


 それくらい魅力的な女の子なのに……

 レナは、どうして黎明の同盟なんてものに所属しているんだろう?

 その理由も、できるのなら聞きたかった。


「ちょっとした昔話から始まるんだけど……フェイトは、女神様は知ってるよね?」

「うん。僕達、人間の産みの親。全ての母」


 でも……

 今はちょっと人間と距離ができている、らしい。


「そうそう、基本はそんな認識になるよねー。でも、ちょっと違うんだ」

「違う?」

「全ての母、ってわけじゃないの。獣人は別」

「え?」

「獣人を生み出した神様は別にいるんだ」


 別の神様がいる?

 それは、とても衝撃的な話だ。

 もしも学会なんかで発表をしたら、大騒ぎに……


 ……ならないか。

 それよりも前に、そんなバカな、と一蹴されるのがオチだろう。


「にわかには信じられないんだけど……それ、本当のことなの?」

「マジのガチ」

「うーん」

「あ、疑っているなー?」

「だって、突然すぎるし……」

「ま、わかるけどねー。ホントなら証拠でも示したらいいんだけど、そういうの、あいにくないんだよねー。だから、ここからは私の話が正しい、っていう前提で聞いてね? 疑問とかあったとしても、ひとまず飲み込んで、最後まで聞いて」

「うん、了解」


 話を聞きたいと言ったのは僕だ。

 どんな話だとしても、ひとまず、最後まで聞かないと。


「今言ったけど、もう一人、別の神様がいるんだ。それが……神獣」

「……」


 思い切り咳き込んでしまいそうになった。


 神獣、って……

 スノウのこと?


「獣の神様だから、神獣。わかりやすいでしょ?」

「そう、だね」

「神獣は、女神と協力して自分達の子供を作ったの。人間と獣の要素を持つ、新しい生命……それが獣人だよん」

「なるほど」


 納得できる話だった。

 二人の神様が協力したからこそ、それぞれの特徴を受け継いだ、新しい種族が生まれたんだろう。


「ずっと昔……女神と神獣は仲良く暮らしていた。人間と獣人も、仲良く暮らしていた。互いに足りないところを補い、支え合い、穏やかな生活を送っていた」


 レナは、どこか遠い目をして語る。


 その横顔は寂しそうでもあり……

 迷子になった子供のようでもあった。


「人間は知恵に優れている。獣人は身体能力に優れている。だから、支え合うことで、より良い方向に発展することができたんだ」

「理想的な関係だね」

「うん、そう。ただ、やっぱり人間の方が弱くて……狩りなんかに行くと、人間の方に被害が出ることが多かった。獣人も守ったりしてたけど、限界があるからね」

「どうしようもないことだね……」

「でも、獣人はそれをなんとかしようとしたんだ。自分達が持つ力を使い、人間達に新しい力を与える……その研究を続けて、そして、完成したのが聖剣」

「えっ」


 思わぬところで思わぬ単語が出てきた。


「聖剣は、獣人によって作られたものなんだよ」

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
さらに新作を書いてみました。
【おっさん冒険者の遅れた英雄譚~感謝の素振りを1日1万回していたら、剣聖が弟子入り志願にやってきた~】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
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