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256話 どこか既視感が

「ふう……」


 どうにかこうにか魔物を撃退することができた。


 個々の強さはそれほどでもなかったんだけど……

 数が多いから大変だった。


 単純に敵を倒せばいい、っていうわけじゃない。

 里に被害が及ばないように、守りながらの戦いだ。

 防戦というのは経験した回数が少なくて、ちょっと苦戦した。


 できるなら、今後に備えて訓練しておきたいんだけど……

 防戦の訓練ってどうすればいいんだろう?

 今度、ソフィアに聞いてみよう。


 それはともかく。


「ありがとうございます! 姫様と神獣様を助けていただくだけではなくて、里も救ってくださるとは!」

「あんた達は、この里の英雄だ!」

「よし、みんな! 宴の準備をするわよ!」


 たくさんの獣人達が、僕達に笑顔を向けてくれていた。


 里が襲われたことは残念だけど……

 でも、魔物を撃退したことで、僕達のことを信頼してくれたみたいだ。

 不幸中の幸い……っていうのかな?


「えっと……宴の準備なんてしていいんですか? 怪我人の治療とか、家屋の修復を優先するべきじゃあ……?」


 そう長老に尋ねると、笑顔を返される。


「あなた達のおかげで、怪我人はほぼほぼいません。逃げる時に転んだ、というくらいです。家屋の被害も、すぐに修理できるものです。なればこそ、今はあなた達を歓迎したい」

「ありがとうございます」


 ここまで言われたら断る方が失礼だ。

 素直に歓待を受けることにした。


 準備ができるまでの間、長老の家の客間で待機することに。

 客間は広く、ベッドも四つ、設置されていた。


 その一つに座りつつ、ソフィアに声をかける。


「ねえ、ソフィア」

「なんですか?」

「さっきの魔物の襲撃だけど……」


 ちょっと迷う。

 でも、そのまま言葉を続けることにした。


「なんか、ブルーアイランドの時と似ていないかな?」


 根拠はない、直感による話だ。

 だから迷ったのだけど……


 でも、ソフィアなら真剣に向き合ってくれる。

 そう判断して、話をすることにした。


「ブルーアイランドは、魔剣を手にした人がおかしくなったんだけど……なんていうか、その時の空気と似ていたような気がして」

「……フェイトもそう思っていたんですね」

「ということは……」

「はい、私も同じ考えです」


 ソフィアは考える仕草をしつつ、小さく頷いてみせた。


「普通、魔物は群れをなしません。同じ個体同士でなら群れを作ることはありますが、異なる種となると、組織だった行動は不可能です。それらを統率する強力な個体がいるのなら、話は別になりますが……」

「そんな強い魔物はいなかった」

「はい。なので、あれだけの魔物が一斉に里を襲う理由が不可解なのです。納得できません」

「ブルーアイランドの時のように、誰かが先導していた……って考えるのが自然かな?」

「はい。そして、その犯人は……」

「あのボクっ娘ってわけね!」


 最後、リコリスが結論をかっさらっていく。


「あ、リコリス」

「おとーさん、おかーさん!」

「オンッ!」

「アイシャとスノウも」


 三人共、無事ということは聞いていたけど……

 里の様子を確認したり話を聞くことを優先していたため、顔を見れていなかった。


「その様子だと、なにもなかったみたいだね」

「大丈夫よ。魔物達は二人が追い払ってくれたんでしょ? ま、あたしのところまで来たとしても、リコリスちゃんミラクルパワーでギッタギタにしてたけどね!」


 頼もしい……のかな?


「リコリスも同じ結論に達していたのですか?」

「まーねー。けっこう状況が似てるし、あの時と同じヤナ感じもしたし。関連を疑わない方がおかしいっしょ」

「なるほど」


 三人の意見が一致した。


 まあ、それでも確定とは言えないのだけど……

 でも、そうだと仮定して動いた方がいいだろう。


 つまり……

 今回の獣人の里の襲撃にレナが関わっている、と。


「断定はできないけど、可能性は高いですね」

「でも、なにが目的なんだろう?」

「獣人が目的なんじゃない? あいつらいてこましたる、みたいなー?」


 そういう言葉、どこで覚えてきているの?


「レナが……黎明の同盟の目的に獣人が絡んでいるのは間違いないと思うよ? でも、どうして、っていうところはわからないよね」

「それはまあ……」

「なんで獣人を狙うのか? なんでアイシャを狙うのか? なんでスノウを狙うのか? わかりそうでわからないというか……うーん」


 なかなか判断が難しい。

 本人から話を聞くことができれば、それがベストなんだけど……うーん?


「……」


 考えて。

 考えて。

 考えて。


「あ」


 ピコーンと閃いた。

アニメ化記念で、ビーストテイマーのスピンオフを書いてみました。

↓になります。

https://ncode.syosetu.com/n3478hr/

こちらも読んでもらえたらうれしいです。

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
さらに新作を書いてみました。
【おっさん冒険者の遅れた英雄譚~感謝の素振りを1日1万回していたら、剣聖が弟子入り志願にやってきた~】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[良い点] おーい、誰か訓練用のカカシ持ってきて〜! さあ、リコリス、前回の「リコリスちゃんパンチ」の時は有耶無耶になってしまったが、今度こそは見せてもらいましょうかその「リコリスちゃんミラクルパワー…
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