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233話 雪の牢獄

 父さん達に事情を説明して……

 準備を整えて……


 それから、僕とソフィアは家を出た。


「うん、準備はバッチリだね」


 動きを邪魔しない程度に防寒着を着込み、その下に軽鎧を。

 軽鎧ではあるものの、鍛冶の神様と呼ばれている父さんが作ったものだ。

 とても頑丈で、魔法に対する耐性もある。


 そして、腰にはソフィアに貸してもらった剣。

 銘はないものの、とある匠によって打たれた剣らしい。


 切れ味だけじゃなくて、耐久力も抜群。

 僕にピッタリの剣だ。


 その後、街の入り口でホルンさんと合流した。


「待っておったぞ」


 ホルンさんは重装備だった。

 防寒着が膨れ上がるほどの防具を着込み……

 さらに、背中に大きな荷物袋を抱えている。


「すごい装備ですね……」

「大丈夫なのですか?」

「うむ、問題ないぞ。若干、機動性は落ちるが、全て必要なものじゃ。ポーションや爆弾など、色々と詰め込んでいてな。戦いの最中にどんどん消費していくだろうから、すぐに身軽になるじゃろう」

「なるほど」


 逆に言うと、それだけの準備をしないといけない相手……か。


 伝説と言われている煉獄竜。

 その強さは、いったいどれほどのものなのか?

 倒すことができるのか?


 ちょっと不安になってしまうのだけど……


「フェイト」

「……あ……」


 そっと、ソフィアに手を握られた。

 手袋越しだけど、彼女の温もりが伝わってくる。


「大丈夫ですよ」

「……うん、そうだね」


 弱気は消えた。

 勇気も湧いてきた。


 うん。

 やっぱり、ソフィアと一緒ならなんでもできるような気がした。


「やれやれ、老人の前で見せつけてくれるわい」


 ホルンさんがからかうように言って、僕とソフィアは顔を熱くするのだった。


 決戦の前にこんな調子でいいのかな? なんて思わなくもないけど……

 でも、いい感じに緊張がほぐれたと思う。


 さあ、行こう。

 いざ決戦の地へ。




――――――――――




 今日はあいにくの天気で吹雪いていた。

 視界が塞がるほどひどくはないけれど、移動に時間がかかり、体力が奪われてしまう。


 それでも焦らないでしっかりと足を進めて……

 悪天候の中ではわりと早く、目的地に到着することができた。


「ここに煉獄竜が……」


 雪に埋まってしまうほど小さな洞窟だ。


 しかし、それは入り口だけ。

 奥に進めば進むほど広くなっていく。

 いくら歩いても終着点が見えてこない。


「すごい洞窟ですね」

「最初はとても狭かったのに、今はこんなにも広く……大きな城が入ってしまうほどです」

「天然の牢獄といったところじゃな。ノノカの力も借りて、ここにやつを封印したのじゃ」


 そう語るホルンさんは、どこか寂しそうな声をしていた。

 当時を思い出しているのだろう。


「……そろそろつくぞ」


 ホルンさんの言葉通り、さらに十分ほど歩いたところで最深部に到着した。

 そして、僕達は思わず言葉を失うことになる。


「これが……」

「煉獄竜……」


 巨大な氷塊の中で、同じく巨大な竜が眠っていた。

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こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
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