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217話 不思議な出会い

「おや?」


 ある程度、探索をしたところで初老の男性と遭遇した。


 歳は……たぶん、六十以上。

 髪は全部白髪になっているところを見ると、もっと上かもしれない。


 ただ、そんな見た目とは正反対に、とても鋭いプレッシャーを放っていた。


 体は木の枝のように細い。

 軽鎧を身に着けているが、サイズが合っていない。


 それでも、こうして相対していると冷や汗が流れてしまいそうだ。

 この人はとてつもなく強い。

 多分、ソフィアに匹敵するか……

 下手したらソフィア以上だ。


「こんにちは」


 ソフィアは臆することなく、にっこりと挨拶をしてみせた。

 こういうところ、本当にすごいと思う。


 僕も慌てて挨拶をする。


「こ、こんにちは」

「やっほー」

「うむ、こんにちは」


 こちらが挨拶をすると、老人から放たれていた圧が消えた。

 僕達のことを盗賊かなにかと警戒していたのかもしれない。


「お嬢ちゃん達は冒険者かね?」

「はい。私は、ソフィア・アスカルトといいます」

「フェイト・スティアートです」

「ふふん、美少女妖精リコリスちゃんよ」

「ほう……お嬢ちゃんが、あの剣聖なのかね」


 ソフィアのことを知っているらしく、老人は驚いたように目を大きくした。

 その反応に、こちらも驚いてしまう。


「ソフィアのこと、知っているんですか?」

「ふぉっふぉっふぉ、冒険者で嬢ちゃんのことを知らぬ者はおらんよ。史上最年少で剣聖の称号を授かり、聖剣エクスカリバーを手に入れた。儂ら冒険者の憧れじゃな」

「そんな、憧れだなんて……」


 ソフィアが顔を赤くして照れていた。

 こんなに年上の人に憧れなんて言われたら、さすがに恥ずかしいのだろう。


「おっと、名乗り遅れたのう。儂は、ホルン・エイズフランという。同じく冒険者じゃ」

「ん?」


 老人の名前を聞いて、リコリスが眉をたわめるのが見えた。

 なにか気になることがあるんだろうか?


「ホルンさんは、こんなところでなにを?」

「冒険者がすることは一つ。お宝探しじゃよ」

「なるほど」


 当たり前のことを聞いてしまい、ちょっと恥ずかしかった。


「お主らは?」

「僕達は、この塔にあるって言われているミスリルを探しに来たんです」

「ほう、ミスリルか。それはまた、珍しいものを探しておるのう」

「どうしても必要なので……見たことないですか?」

「うーむ。力になりたいが、まだ見ていないのう」

「そうですか……」

「ただ、儂も塔の探索を始めて間もないからのう。上層は調べておらん。もしかしたら、上層にはあるかもしれんぞ」

「ありがとうございます」


 貴重な情報を得ることができた。

 感謝だ。


「ところで……」


 ホルンさんの視線がリコリスに向けられる。


「その子は妖精なのか?」

「当たり前でしょ。こんなにもかわいくてキュートで可憐でビューティフルでわんだほーな女の子、妖精以外にいるわけないじゃない」

「ふぉっふぉっふぉ、それもそうじゃな、すまんすまん」

「まったくよ」


 なんとなく息の合いそうな二人だった。


「いや、すまぬな。妖精を見かけるのは本当に久しぶりじゃから、つい」

「ということは、以前にも妖精を?」

「うむ。妖精は滅多に人前に姿を見せることはないが……若い頃、運良く出会うことができてのう。いやはや、あれは良い思い出になった」


 リコリス以外の妖精か……

 どんな子だったんだろう?

 気になる。


「よかったら、その妖精について話を聞かせてもらえませんか?」

「うむ、構わないぞ」


 長い話になるのだろう。

 ホルンさんは手近な場所に腰をおろした。


「あれは、儂がまだ若い頃の話じゃ……ちょっとした縁から、ノノカという妖精と出会ったのじゃよ」

「ノノカですって!?」


 飛びつくような反応を見せたのはリコリスだ。


 いつものふざけた雰囲気はどこへやら、とても真面目な顔をしている。

 ヒュンとホルンさんの目の前に飛んで、ぐいっと詰め寄る。


「ちょっと、おっさん! あんた、ノノカの知り合いなわけ!?」

「うむ、そうなるが……妖精の嬢ちゃんもそうなのかい?」

「当たり前よ! ノノカは、あたしの友達なんだから!」


 もしかして……


「リコリス。そのノノカっていう子は、雪水晶の剣を作ったっていう……?」

「そうよ。ノノカが雪水晶の剣を作ったのよ」

「雪水晶の剣じゃと!?」


 予想外の展開にこちらが驚いていると、今度はホルンさんが話に食いついてきた。


「ど、どうしたんですか?」

「どうしたもこうしたも、雪水晶の剣は、以前、儂が使っていたものじゃ!」

「えっ!?」


 なんかもう……

 衝撃的な事実が次々と判明して、頭が追いついていかなかった。


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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
さらに新作を書いてみました。
【おっさん冒険者の遅れた英雄譚~感謝の素振りを1日1万回していたら、剣聖が弟子入り志願にやってきた~】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[良い点] あらら、リコリスの友達と? 妄想シリーズでそのリコリスの友達に関するのを書いたが性格はあのような感じなのかな??
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