表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
195/520

194話 真の狙い

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!」

「ふっ……ふっ……ふっ……!」


 ソフィアとレナは剣を構え、互いに睨み合う。

 どちらも息が切れていて、体のあちらこちらが傷ついていた。


 全力全開で戦うこと、数十分。

 未だ決着はついていない。


「あははー……ごめんね。ちょっと剣聖を侮っていたかも」

「私なんか、すぐに倒せると思っていましたか?」

「うん」

「……素直に肯定されると、それはそれで頭にきますね」

「ボク、素直なところが売りだから」

「減らず口を」


 イライラとするソフィアは、今すぐにレナを叩き切りたい衝動に駆られる。

 ただ、迂闊に飛び出すことはできない。


 とっておきの切り札は温存しているものの……

 現状、ほぼほぼ全力を出している。

 それなのに、レナを仕留めることはできず、互角。


 もしも、レナが力を温存していたら?

 自分と同じように、とっておきの切り札を隠し持っていたら?


 その危険性を考えると、無闇に斬りかかることはできない。


「まさか、ここまで強いなんてなー、ちょっと予想外。仲間は、剣聖なんて大したことないよー、っていうから侮っていたんだ。ごめんね?」

「余裕がありますね?」

「いや、そんなことはないよ? ぶっちゃけ、ほぼほぼ全力を出していたからね」


 ほぼほぼ、ということは、全てを出し切っていないということだ。

 ソフィアと同じように、切り札を温存しているのだろう。


 やはり、迂闊に飛び込むことはできない。

 ソフィアは、レナに対する警戒度をさらに上げた。


「んー……ボク、君にも興味が出てきたかも」

「えっ」


 ソフィアは顔を青くする。


「わ、私はそういう趣味はないのですが……」

「ボクだってないよ!? そういう意味じゃないからね!?」


 レナが慌てて否定した。


「恋愛的な意味じゃなくて、ライバル的な感じ。ボクと全力で戦って、生き延びた人なんてほとんどいないからね」

「なるほど、そういう意味ですか」

「ボク、戦うことも好きなんだー。だから、ここで決着をつけておきたいんだけど……」


 レナの殺気がさらに鋭くなり、ソフィアは自然と構えを取る。


 しかし、次の瞬間、レナの殺気が消えた。

 そのまま剣を鞘に収めてしまう。


「ひとまずの目的は達成したから、それはまた今度の機会にしておくね」

「目的を達成した……?」


 そこで、遅れながらソフィアは気がついた。


 魔剣を持った暴漢達が暴れ、街は混乱に飲み込まれていたが……

 さらに様子がおかしくなっていた。


 街の中心から巨大な圧を感じる。

 同時に、獣の雄叫びも聞こえてきた。


 レナを警戒しつつ、視線をそちらに向けると、巨大な獣が見えた。


「あれは……?」

「ふふ、うまくいったみたいだね」

「あなたがなにかしたのですか!?」

「そういうこと。ごまかしても意味ないし、素直に認めるよん」


 レナは得意げに語る。


「ボクらの目的は、アレさ。魔剣をばらまいて、負の感情で街を満たして、封印を崩壊させる。それと同時に神獣を暴走させて、後で、ぱくりとおいしくいただく。うん、そんなところかな」


 ソフィアは混乱した。


 レナの語る内容が半分も理解できないこともあるのだけど……

 なぜ、そんなことをわざわざ口にする?

 本当の目的だというのなら、どうしてわざわざ教える?


 こちらの疑問を察した様子で、レナがニヤリと笑う。


「君とフェイト……それと、あの獣人の女の子は、けっこう重要な立ち位置にいるからね。色々と本当のことを知れば、ボク達の仲間になってくれるかもしれない。だから、知るべきことは知っておいてほしいんだ。まあ、全部語るのはサービスが良すぎるから、こうしてヒントを与えるくらいにしておくけどね」

「こんなふざけたことをする、あなたの仲間になるなんて、本気で思っているのですか?」

「思っているよ? 本当のことを知れば、きっと心が揺らぐと思うからね」

「……」


 いったい、レナはなにを知っているのか?

 本当のことというのは、どのようなものなのか?


 ソフィアは考えて……


 そして、思考を放棄する。

 代わりに、聖剣を強く握りしめた。


「ヒント程度と言わず、ここで全部、語ってもらいましょう。無理矢理にでも!」

「えっ、そういう考えになるの? もしかして、脳筋?」

「失礼ですね。ますます、斬りたくなりました」


 とっておきを使おう。

 ソフィアは、レナを鋭く睨みつけるが……


「ホントは戦いたいけど、でも、ごめんねー。こうなったら、ボクも色々とやらないといけないことがあるんだ。じゃあね」

「待ちなさい!」


 ソフィアは、音速に近い速度で剣を振る。

 しかし、刃はレナを捉えることはなく……

 幻だったかのように、レナの姿は消えていた。


「逃しましたか……」


 ソフィアは軽く唇を噛んだ。


 ただ、いつまでもぼーっとしているわけにはいかない。

 すぐに気持ちを切り替えて、巨大な獣がいる街の中心へ向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
さらに新作を書いてみました。
【おっさん冒険者の遅れた英雄譚~感謝の素振りを1日1万回していたら、剣聖が弟子入り志願にやってきた~】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[気になる点] ※この状況ならあの二人が出てきそうな? 「んー……ボク、君にも興味が出てきたかも」 「えっ」 ソフィアは顔を青くする。 「わ、私はそういう趣味はないのですが……」 「ボクだってな…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ