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170話 リコリスちゃんの魔法講義

「というわけで、ウルトラメガかわいいリコリスちゃんお魔法講義を始めるわ!」


 宿に戻り。

 すぐに勉強をしたいということで、リコリスによる魔法講義が始められた。


 学習用の机や椅子はないので、ベッドを代わりにして、僕、アイシャ、ソフィアの順番で座る。

 そして、リコリスはテーブルを壇上代わりにしていた。


「そもそも、魔法ってなにかしら? はい、フェイト!」

「え、僕が答えるの?」

「講義を受けている以上、あんたも生徒よ。ほら、早く答えなさい」

「えっと……」


 魔法というのは、世界を生み出したと言われている女神さまが生み出した技術だ。

 無から有を生み出して、奇跡を体現する秘術。


 ただ、なんでもできるというわけじゃなくて……

 できることとできないこと、限度はある。


 それと、魔法を使うには、魔力を糧としなければいけない。

 魔力というのは、人が持つ精神的なエネルギーのこと。

 個人によって差があり、大きな魔力を持つ人もいれば小さい魔力を持つ人もいる。


「……という感じかな?」


 おぼろげな知識を掘り返しつつ、そう答えた。


「まあまあの回答ね。八十点、褒めてあげるわ」

「ありがとう」

「ですが、フェイトは満点の回答をしていたように思えますが? 私が同じ質問をされたら、同じ答えを返していたと思います」

「んー、そうね。人間なら、魔法の知識はそれだけで止まっているわね」

「ということは、僕達の知らないなにかが?」

「女神さまが生み出した技術を、なぜ人間が手にしているのか? それについての説明がないじゃない」

「「あ」」


 言われてみると、なるほど、と納得してしまう。


 魔法についての情報は色々と持っているのだけど……

 よくよく考えてみると、リコリスが言う通り、なぜ魔法を人間が手にすることができたのか?

 そこは謎のままだ。


 アドバンテージをとることができたのがうれしいのか、リコリスはニヤニヤとしつつ魔法について語る。


「いい? 人間は女神さまの魔法を盗んだのよ」

「盗んだ……?」

「過去、女神さまは何度か地上に降臨したわ。そして、困っている人間達の力になった。その際、奇跡……魔法を使ってみせたわ」

「ふむふむ」

「女神さまの奇跡を目の当たりにした人間は、その力をうらやましく思ったわ。自分達もあの力がほしい、って」

「それで……盗んだ、と?」

「ソフィア、正解」


 さらりと、とんでもないことが暴露された。


 魔法について、深く考えることはなかったのだけど……

 まさか、女神さまの技術を盗んだものだったなんて。


「人間が起点となって、あちらこちらの種族に魔法が伝わっていったの。それから、独自の路線を辿り、人間だけの魔法が開発されたの」

「そんなことが……」

「女神さまは怒らなかったのですか?」

「めっちゃ怒ったわよ」


 リコリスが言うと、事の重大さを理解しづらいなあ。


「だから、女神さまは人間の前から姿を消したの。ここ数千年、女神さまが現れた、なんていう記録はないでしょ? それは、魔法を盗まれたことに怒っているからよ」

「そうだったんだ……」


 魔法は僕達人間の生活に深く関わっている。

 なくてはならないものだ。


 でも、本当は女神さまから盗んだもので……

 とても微妙な気持ちになってしまう。


「まあ、女神さまの器は大きいから。怒ってはいるけど、だからといって人間をどうこうしようなんて考えてないわ。そこは安心なさい」

「質問です」

「なに、ソフィア?」

「リコリスは、どうしてそのようなことを知っているのですか?」

「あ、それは僕も気になるかも」


 人間が知らないようなことを知っているリコリス。

 彼女が特別なのか、それとも妖精が特別なのか。


「んー。あたしが超天才っていうのもあるんだけど、あと、妖精ってのが関係してるのよ」

「妖精は特別な存在なの?」

「そうね。妖精は女神さまに愛されているの」


 リコリス曰く……


 女神さまは人間に愛想を尽かしたものの、他の種族に対しては優しく、愛を持っているらしい。

 その中で特に愛されているのが、妖精だ。


 人間と違い、無邪気で汚れを知らない。

 そして優秀で、いざという時はとても頼りになる。


 そんな妖精には女神さまは心を許していて、今も時々、交流があるらしい。

 だから、女神さまに関することをそれなりに知っている……とのことだった。


「知りませんでした……まさか、妖精が女神さまと交流を持っていたなんて」

「まー、あたしら妖精はすごいからねー。プリティだからねー」


 リコリスはものすごいドヤ顔だ。


「まあ、そのうち人間も許されるんじゃない? そのためにも、あたしら妖精を見習いなさい? おほほほっ」

「……フェイト。ちょっと、リコリスにデコピンをしてもいいですか?」

「……やめてあげて。どこかに飛んでいっちゃいそうだから」


 とにかくも。


 予備知識を得るための講義はこれで終わり。

 本格的な魔法の練習が始まるのだった。


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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
さらに新作を書いてみました。
【おっさん冒険者の遅れた英雄譚~感謝の素振りを1日1万回していたら、剣聖が弟子入り志願にやってきた~】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[気になる点] カラッと揚げたり (レモン果汁添) 爆散させたり (あべシッ⁉︎) ソフィアのステータス欄に妖精始末人の 称号が付与されるのは時間の問題かも? せっかく作者様が振って下さったので…
[一言] リコリスデコピンは前例があるだけに おそろしやおそろしや
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