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167話 驚きの……

「じゃあ、そこの椅子に座ってくれる?」

「うん」


 言われるまま、アイシャは椅子に座った。

 椅子は普通のものだけど、周囲によくわからないものが設置されていた。


「えっと……これはなんですか?」

「魔力とかを測定するための魔道具よ。害があるものじゃないから、安心して」


 それならいいんだけど……

 でも、見たことのないものがたくさんだ。


 ソフィアも知らないらしく、一緒に首を傾げていた。


「へえ……マジックコントロールシステムに、エリアスペクトル。それに、思念測定装置まであるなんてすごいわね」

「え……リコリスは、これらの魔道具がなんなのか知っているの?」

「もちろんよ! この私を誰だと思っているの? パーフェクトビューティフル天才美少女妖精リコリスちゃんよ!」

「意外ですね……」

「ちょっとソフィア、しみじみと言わないでくれる?」

「……意外……」

「アイシャにまで言われた!?」


 いつでもどんな時でも元気なリコリスだった。


 ただ、そのおかげでリラックスできたらしい。

 検査と聞いて、ちょっと緊張した様子を見せていたアイシャだけど、今は落ち着いた様子で尻尾をゆらゆらとさせていた。


「はいはーい、じゃあ測定するわよ」


 合図をするように言うと、ライラさんは測定を開始した。


 メジャーを取り出して、アイシャの身長を測る。

 胸囲と座位も測定。


 その次は体重。

 そして、視力検査。


 それから……


「……ねえ、ライラさん」

「なにかしら?」

「せっかくの機会だから、アイシャの体についての検査もしようとしてない?」

「ぎくっ」


 わかりやすい反応だった。


「ライラさん?」

「ち、違うのよ? これは、えっと……ほら。もしかしたら、変な病気をどこかでもらっているかもしれないじゃない? あるいは、成長が遅れているとか、そういう問題もあるかもしれないし……そういうのも調べておいた方がいいかなー、なんて言い訳を……」

「「はあ」」


 ソフィアと同時にため息をついた。


 この人、獣人が関わるとちょくちょく暴走するな。

 まあ、言う通り、害があるわけじゃないからいいけど。


「一理あるので、ひとまず、ライラさんの言う通りにしますが……アイシャちゃんが嫌がることはしないでくださいね? もしも、そんなことをしたら……ふふふ」

「約束します!!!」


 ソフィアの怖い笑みに、ライラさんは直立不動で答えた。


 それから、いくつかの検査をして……

 ようやく、本題である魔力測定が行われることに。


「アイシャちゃん、そのままじっとしててね」

「ん」


 ライラさんが、周囲の魔道具を一つずつ起動させていく。


 ブゥンという音が響いた。

 ただ、それだけ。

 目に見えた変化はなにもない。


「んー」


 ただ、アイシャはなにか感じているらしい。

 落ち着きのない様子で、尻尾をパタパタとさせ始めた。


 それを見たソフィアが心配そうな顔に。


「アイシャちゃん、大丈夫ですか? なにか痛いとか、ありますか?」

「ううん、大丈夫だよ」

「そうですか……」

「お嬢さまにご不快な思いはさせないように、細心の注意を払いたいと思います!」


 ソフィアに睨まれて、ライラさんは再び直立不動で答えた。

 なんとなく、ソフィアがテイマーに見えた。


「ほうほう、これは……」


 なにかしらの検査結果が見えているらしく、ライラさんは興味深そうな顔に。


 ただ、それも少しの間だけ。

 ほどなくして驚愕の表情に変わり、目が大きく開かれる。


「え……これ、マジで? こんな数値……」


 ボンッ!」


「ひゃう!?」

「うわっ」


 いきなり周囲の魔道具が壊れた。

 一斉に煙を吹いて、停止してしまう。


「おかーさん!」

「大丈夫ですよ、アイシャちゃん。お母さんとお父さんがここにいますからね、よしよし」


 怯えるアイシャをなだめるソフィア。

 それから、ギッとライラさんを睨みつける。


「アイシャちゃんを怯えさせるなんて……どういうことですか?」

「ひぃっ」

「ソフィア、ストップ。別に、わざとやったわけじゃないと思うから」


 ライラさんの反応を見る限り、突発的なトラブルだと思う。

 それを責めるというのは、さすがに酷な気がした。


「そ、そうなのよ。フェイトくんの言う通り。まさか、こんなことになるなんて……」

「いったい、なにが起きたんですか? アイシャに害はないですよね?」

「それは大丈夫。魔道具が壊れただけで、アイシャちゃんにはなにもないわ」

「よかった……」


 でも、なにが起きたのだろう?

 ライラさんを見ると、すぐに説明をしてくれる。


「どうも、魔道具の限界を超えちゃったみたい」

「と、いうと?」

「アイシャちゃんの魔力がとんでもなさすぎて、測定しきれなくて壊れちゃった、っていう感じかな」

「アイシャの魔力が……?」


 思わずアイシャを見てしまう。


 彼女は特に自覚がないらしく、キョトンとしていた。


「それは本当なのですか?」

「十中八九、間違いないと思うわ。アイシャちゃんは、とんでもない魔力を持っている」

「どのくらいなのです?」

「規格外、って言葉がぴったりかしら? 最上位の魔法使いに送られる称号『賢者』。その賢者でさえ、足元に及ばないほどの魔力を持っていると思う」

「アイシャちゃんが……」

「そんなことに……」


 思わぬ事実を告げられて、僕とソフィアは驚きの目をアイシャにやる。


 獣人は、とても強い魂を持っているという。

 なればこそ、魔力も強いのだろうか?

次回の更新は、一回、休まさせていただきます。

詳細は活動報告にて。

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
さらに新作を書いてみました。
【おっさん冒険者の遅れた英雄譚~感謝の素振りを1日1万回していたら、剣聖が弟子入り志願にやってきた~】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[良い点] いつも、私や他の皆さんのコメント返信お疲れさまです! それらを見るのも私の楽しみなので! 大変でしょうけど・・読むのを楽しみにしてる方々のためにも、お願いします!
[一言] ソフィアの怖い笑みは天下無敵ではないのか!? なのになんだ? あのライラさんの直立不動は? ねぇ、フェイトくん?
[良い点] 『ドワーフテイマー ソフィア』始まります! (爆笑) [気になる点] 流石、遊び人から転職した賢者 (笑) 実際、大したものです。 本当に謎だらけの妖精ですね ♪ [一言] ・・・ で、…
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