156話 輝く海
空を見上げると、太陽がさんさんと輝いていた。
照りつける日差しは強く、立っているだけで汗が流れてくる。
「絶好の海水浴日和かな?」
同じことを考えている人は多いみたいで、すでに砂浜はたくさんの人がいた。
あちらこちらにシートが敷かれ、パラソルが立てられている。
僕もシートとパラソルを設置して、その上に荷物を置いた。
太陽を浴びるようにしつつ、三人を待つ。
僕は男なので着替えは簡単に終わるのだけど……
ソフィア達は女性だから、ササッとというわけにはいかない。
更衣室も混んでいるみたいだから、少し時間がかかるだろう。
「……うーん」
ちょっと落ち着かない。
ソワソワとしてしまう。
もう少ししたら、水着に着替えたソフィア達が……
どんな水着を着ているのだろう?
そんなことを考えるのはどうかと思うのだけど……
でも、僕も男。
ついつい想像してしまう。
「おまたせしました」
振り返ると……
「あ……」
「ど、どうでしょうか……?」
ソフィアが選んだのは、白のビキニだった。
フレアビキニっていうのかな?
品を感じられるのだけど……
フリルがつけられていることで、胸の大きさが強調されているような気がする。
清楚なのだけど艶もある、という、一見すると矛盾した魅力が。
着痩せするタイプなのか、こうして水着姿を見ると、なんていうか……色々とすごい。
普段は見ることのない肌。
陶器のように白く、輝いているかのようだ。
「……」
「あの……フェイト?」
「……」
「その、もしかして似合っていませんか……?」
「はっ!?」
いけない。
ついつい見惚れてしまい、言葉を忘れていた。
「う、ううん、そんなことないよ! すごく似合っているよ!」
「本当ですか?」
「うん。本当によく似合っているから、なんかもう、言葉が出てこなくて……ソフィアのことで頭がいっぱいになって……うん、すごくかわいい。すごく綺麗」
「あ、ありがとうございます」
ソフィアは顔を赤くして照れる。
そんな仕草も魅力的で……
ともすれば胸に視線が吸い寄せられてしまいそうになるのだけど、我慢。
「おとーさん……わたし、どう?」
アイシャはワンピースタイプの水着だ。
色は淡いグリーン。
大きめのフリルがついていて、とてもかわいらしい。
ちゃんと尻尾用の穴があるらしく、窮屈そうな感じもしていない。
その尻尾は落ち着きなさそうに揺れていた。
たぶん、僕の感想を気にしているのだろう。
「うん。アイシャもすごくかわいいよ」
「本当?」
「もちろん。ぎゅう、って抱きしめたいくらい」
「えへへ」
アイシャは尻尾を胸元に抱きしめて、うれしそうにはにかむ。
なんだろう、天使だろうか?
「じゃあ、最後に真打ち登場ね!」
元気よく現れたのは、パレオがセットになった水着を身に着けたリコリスだ。
普段の性格というか、言動は元気すぎるのだけど……
こうしていると、とても輝いているように見えた。
元気で明るく……
なおかつ女性としての魅力もあり、リコリスの新しい一面を知ることができた。
「リコリスも似合っているよ」
「でしょ? このハイパーウルトラミラクルマジカルラブリー妖精リコリスちゃんが水着になれば、悩殺できない男なんていないわ! 世界の男は、みんな、あたしにひれ伏すのよ! はーっはっはっは!」
水着は似合うのだけど……
中身はいつものリコリスのままだった。
「あの……フェイトもかっこいいですよ?」
「そ、そうかな?」
「はい。その……引き締まっているというか、スラリとしているというか……ちょっと、見るのが大変なくらいかっこいいです」
「大変なの?」
「フェイトの水着姿なんて初めてなので……勝手に顔が熱くなってしまいます」
そう言うソフィアの頬は赤い。
ソフィアって大人なように見えて、ちょっと初心なところがあるんだよね。
まあ、それは僕も同じかもしれないけど。
「と、とにかく、今日は海を楽しもうか」
「はい、そうですね」
「わくわく」
「思いきり遊んでやるわ!」
空で輝く太陽に負けないくらい、僕達の笑顔も輝いていた。
『面白かった』『続きが気になる』と思って頂けたなら、
ブックマークや☆評価をしていただけると、執筆の励みになります。
よろしくお願いします!




