表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
147/520

147話 ソフィアの想い

 私には友達がいませんでした。


 あまり体が丈夫ではなくて……

 少し無理をしてしまうと、そのまま寝込んでしまうことが多々ありました。


 そのせいか、運動は得意ではありません。

 体を動かすことも避けていました。


 だから、友達はいませんでした。

 家でじっとしているだけなんて、子供にとってはつまらないし……

 一緒に遊ぶことができないのだから、それも仕方ないと思います。


 なので、私は一人でした。

 いつも一人で遊んでいました。


 家の中で本を読んで……

 お人形さんで遊んで……

 ずっと一人だけど、でも、そういうものなんだな、と認識していました。

 一人でいることが普通なのだと、そう思っていました。


 ……あの日までは。


「~♪」


 その日は散歩をしていました。


 体は丈夫ではないものの、散歩もできないほど軟弱というわけではありません。

 天気の良い日。

 気分が良い日。

 のんびりと散歩をするのが日課でした。


「うわっ!?」


 すると、男の子が飛んできました。


 訂正。

 少し話を盛りました。


 男の子が転びそうになっていて……

 私は手を伸ばして、助けました。


 それがフェイト。

 私の王子さまとの出会いです。


 街の子供は、私と一緒にいるとつまらない。

 そう言って、一緒に遊んでくれません。


 でもフェイトは最近引っ越してきたばかりらしく、一緒に遊んでくれました。

 うれしいというよりは……

 すごく楽しかったです。


 一人で遊び慣れていた私。

 でも、本当は誰かと一緒に遊びたかったんだな……と。

 フェイトと一緒にいることで、そう自覚することができました。


 そして、ある日のこと。


「僕は、ソフィアと一緒にいられるだけで楽しいから」


 大したことのない言葉。

 なんてことのない言葉。


 でも、私にとっては衝撃的なことでした。


 みんな、私と一緒にいるとつまらないと言いました。

 最初は笑顔を浮かべていた子も、すぐに苦い顔になって……

 私のところに来なくなりました。


 だけど……


 フェイトは、そんなことはありませんでした。

 私と一緒にいてくれました。

 楽しいと言ってくれました。


 その言葉がどれだけうれしかったか……


 たったの一言。

 些細な言葉。


 でも、私はそれに救われたのです。


 ここにいてもいい。

 一緒にいるから。

 そう言ってくれたような気がしたんです。


 運命の出会いというものがあるのなら、今がそれなのだと思います。

 フェイトは、私にとって運命の相手。

 王子さま。


 大げさ?

 いいえ、そんなことはありません。


 この時に感じた胸の熱。

 心の温かさ。

 安らぎ。


 それは確かなものだから。

 大事な宝物だから。


 その日から、私にとってフェイトは特別になりました。

 なによりも大事な存在となりました。


 ずっとずっと一緒にいたいと思い……

 そのための努力を始めて……


 うん。


 フェイトに出会えたことが。

 あの日の言葉が。

 私にとっての人生のターニングポイントだったのではないかと思います。


「これからもずっと一緒に……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
さらに新作を書いてみました。
【おっさん冒険者の遅れた英雄譚~感謝の素振りを1日1万回していたら、剣聖が弟子入り志願にやってきた~】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[良い点] ほんわかした気持ちになりました ♪ 甘酸っぱくて良いですね ♪ 汚れた自分には眩し過ぎます (笑) [気になる点] 良くも悪くも純情一途で猪突猛進 (笑) 相手が同じく一途なフェイトで幸…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ