4.「勇者ってずるい!」蘇生編
「勇者って・・・!」
魔族の領土の最奥の魔王城。その中の謁見の間に魔王の声が響いた。
「はい。魔王様。勇者ってずるいですよね?」
魔王の側近は慣れた声で聞き返した。
「勇者ってずるい・・・って、え?言いたいこと言う前に分かったの!?俺、知らずテレパシー使ってる?」
「いいえ、適当に合わせただけです。で、何がずるいんです?また装備品ですか?」
「あれはもういいや。とりあえず適当にいい武器と防具見繕って魔力注ぐことで妥協したよ。じゃなくて!違う話!あいつら死んでも死んでも女神の加護とやらで復活しまくりだぜ。こちとら1回やられたら終わりで、復活するにしても面倒くさい儀式しないといけないし。ずるいだろ?そりゃ、ひたすらやってれば負けちまうよ」
「そうですね。魔王様は強いからあまり負けるイメージないですが、確かに無限コンティニューされたら危ないですね。かといって魔王様を完全に不死身にというのも難しいですしね。なにせ魔王様の復活は儀式しかありませんし。しかも魔力と時間ひたすら喰いますし」
「凄い、だろ?」
「四天王の風ばりのドヤ顔やめてください。皮肉ですよ」
数週間後
魔族の領土の最奥の魔王城。その中の謁見の間に煌びやかなブレスレットを持った側近が魔王に説明をしていた。
「魔王様。これどうぞ、死んだら自動的に復活する効果を持ったブレスレットです。これさえあれば死んでも復活します!」
「すげー!側近すげー!」
「ふふーん、いかがです?不足すれば量産しますよ?」
「おー!側近パーフェクト!頼む頼む!これさえあればもう無敵じゃん!」
「喜ばれて何よりです。復活の石を持っていた魔物達も浮かばれることでしょう」
「へ?」
「この素材に必要な復活の石は特定の魔物が死ぬときに極低確率で発生するレアドロップアイテムですからねー」
「はぁ」
「魔王様が必要というと、魔物達がぜひ私のを使ってくださいと言って自ら・・・」
「ひぃぃぃぃぃ!?このプラン中止―!!というか今、魔物“達”って言った?」
「ええ。だってこれ数千体に1個くらいしか出ませんし。しかも魔王様級の復活となると複数必要ですから。あ、安心してください。今回は運よく完成まで500体ほどで」
「いやぁぁぁぁ!!」
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