3.「勇者ってずるい!」装備編
「勇者ってずるい!」
魔族の領土の最奥の魔王城。その中の謁見の間に魔王の声が響いた。
「・・・はい。なんですか?」ぷいっ
魔王の側近はむくれた声で聞き返した。
「だからこの間はごめんって。で、あのさ勇者って、ちょっとずるくない?」
「どこがです?」
「いや、あいつら伝説の武器とか防具にアクセサリーとか装備するじゃん。あれずるいよー。一般人持っても上級魔族といい勝負するくらい一気にスペック上がるんだぜ。しかもダメージ返すわ。状態異常効かないとか変な効果あったりするし」
「まぁ、魔族は基本創造するの苦手ですしね。その辺り人間には劣りますね。でも魔王様の持ってる杖や防具も特別製じゃないですか」
「これは俺の魔力帯びて自然に強くなったもんだから、ただ頑丈なだけ。別に特別ってわけじゃないんだわ」
「そうだったんですか。でも、わかりました。できる限り揃えてみます。ちなみに希望はありますか?」
「そうだなー。まず武器は何でも切れて、防具は何でも防げる鎧と盾かなぁ」
「魔王様・・・矛盾って言葉知ってます?」
「知ってるよ。それが?」
「・・・ほかに何か要望は?」
「うーん・・・そうだな。なんというか威厳と迫力があるデザインがいいな。ほら俺魔王だし」
「了解しました」
数日後
魔族の領土の最奥の魔王城。その中の謁見の間に側近と何かでかい金属の塊が話をしていた。
「これでどうですか?魔王様」
「なるほど!相手を威圧する華美な装飾がつきつつも、ひたすら頑強で巨大な全身鎧!龍すら断ち切れそうな超大きな剣に城壁並みの盾。これはまさに無敵!ってうごかねーよ!全力で動くのがやっとだよ!!」
「でも、魔王様の要望通りですよ。なんでも切れて、防ぐとなるとこれくらいの大きさになっちゃうんですよ」
「ちくしょう!まともにうごかない!というか一人で脱げない!あっ、鼻かゆくなってきた!ひぃぃっぃぃぃ!助けてぇぇ!側近!!」
「わかりました。あっ、言い忘れましたが、それ外すのに30分かかりますから我慢してください」
「いやぁぁぁ!!今度はまつ毛が目に入った!目がゴロゴロするぅぅ!なんかやだぁ!」
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